まず結論から
- 吃音のある人が集まる場は、歴史の長い団体だけではありません。近年は若者を対象とした団体や、女性の集いを開催する団体など、特色のある団体が設立されています。
- 会は当事者の集まりで、専門的な指導や訓練を受ける場ではありません。その代わり、当事者同士でないと得られないものがある場だと公的な解説は書いています。
- 吃音のある小学3年生から高校生までを対象にした例会や、保護者・学校関係者も入れる親子交流会を、大人の例会とは別に開いている会があります。
- ビデオもマイクもオフのまま入れるオンラインの交流会もあり、申し込みフォームから登録する形で案内されています。
- 吃音のある成人のうち当事者のコミュニティに関わっている割合は、国際的な団体で0.99%、全国規模で0.63%、地域で1.01%と推定されています。行っていない人のほうが、ずっと多いということです。
ただし、ここに挙げた開催日・対象・参加方法は、いずれも各団体の案内をその時点で写し取ったものです。会ごとに違い、休止になる回もあると団体自身が書いているので、行く前にその会のページで必ず確かめてください。
「サークル」と呼ばれている場には、いくつかの形がある
日本には吃音の自助団体がいくつもあります。団体によって目的も規模も違いますが、活動の中心はおおむね共通していて、吃音のある当事者が「吃音があるのは自分だけではない」ということを認識し、共通の体験を語り合い、苦悩を分かち合い、互いに援助し合うことだと学会の公開解説は説明しています。そのなかで1965年に発足した言友会がいちばん歴史が古く、定例会や全国大会を開くなど活発に活動している団体だとされています。言友会そのものについては別の記事に、名前の似た学会・協会・研究会の見分け方はこちらの記事と日本吃音協会の記事にまとめています。
同じ解説は、近年になって若者を対象とした団体(うぃーすたプロジェクト)や、女性の集いを開催する団体(全言連 吃音のある女性の取り組みチーム)など、特色のある団体が設立されていることにも触れています。世界的には1995年に国際吃音連盟(ISA)が設立されています。「サークル」という言葉で探している人が見たいのは、たいていこちら側です。
ひとつの団体の中でも、対象ごとに部屋が分かれていることがあります。よこはま言友会は、横浜例会・川崎日曜例会・こども若者例会・吃音改善トレーニング部という複数の集まりを、それぞれ違う曜日・時刻・会場で月ごとの予定に並べており、曜日がずれる回や中止になる回まで明記しています。初めての参加もでき、分からない点は問い合わせてほしいとも書かれています。
団体の例会という形をとらない場もあります。「注文に時間がかかるカフェ」は、吃音の有無を問わず誰でも気軽に利用でき、吃音のある人同士の交流というよりは一般のカフェだと自ら書いています。接客をしたい若者や企業からの依頼で開催するため、決まった地域での定期開催や常設店はありません。東京で開かれる回については吃音カフェ東京の記事に分けて書いています。
探すときの注意がひとつあります。全国組織が公開している加盟団体の一覧に載っているのは団体名だけで、連絡先も例会の日時も、そのページには書かれていません。全国組織自身も、子どもの吃音への対応方法の確認や医療機関の紹介といった個別の相談には原則として応じられないとし、希望する場合は近くの加盟団体に連絡してほしいと明記しています。実際の窓口になるのは、地域の会のほうです。
同じ吃音のある人と、話したことが一度もない
会を探し始める理由は、たいてい「治したい」ではありません。自分と同じように言葉が出なくなる人に、まだ一人も会ったことがない——その事実のほうが先に来ます。学生の場合は、就職活動が近づいた時期にそれが表面に出てきます。
当事者の声(26卒・都内在住の文系男子大学生/個人ブログ・note)
社会人もいれば、同年代の大学生もいるのですごく参加しやすいです。
私が行ったときはみんなでタコパしました。それまで吃音当事者と話をしたり、吃音について誰かと話したりしたことが無かったので、とても新鮮な体験でした。同じ悩みを共有できて、共感してくれる仲間が多くいることが実感出来て、参加してとてもよかったと感じました。また、吃音の社会人の方ともお話させてもらって、吃音者でも社会にでて活躍できると希望が見えました。
この人が足を運んだのは、大学3年生の夏、就職活動への不安で爆発しそうになったころでした。行った先は吃音当事者の若者を対象とした自助グループで、その回はみんなでたこ焼きを囲んでいます。同じ場には、吃音の当事者でありながら吃音を研究している人や、当事者向けの器具を開発している人も居合わせたと本人は記しています。行ったのはその一回だけだったと書き添えたうえで、一人で悩んでいるときはぜひ参加してみてほしい、と結んでいます。会に通う理由を当事者に尋ねた研究でも、挙がった主題のひとつは仲間意識が増すことでした。
出典: 【就活体験記】吃音と就活。(note)(台帳: V0077)
南アフリカで自助グループに通う20〜58歳の当事者13人に半構造化面接を行った質的研究は、通う理由として4つの主題を挙げています——吃音の受け止め方が変わること、仲間意識が増すこと、支え合いが一方通行ではないこと、そして場の雰囲気・参加者・話題です。同じ研究の序論は、吃音は目に見える話しにくさだけの問題ではなく、社交不安から話す場面を避けるようになり、それが社会的な孤立の感覚につながりうると整理しています。「同じ人に会いたい」という気持ちは、話し方そのものよりも、その周りに積み上がってきたもののほうから出てくることがあります。
若い人が中心の会では、何をしているのか
「例会」と聞いて思い浮かぶのは、椅子を丸く並べて順番に話す場面かもしれません。ただ、若い世代が中心の会の記録を開くと、そうでない日もあります。
当事者の声(吃音のある10〜30代が集まる交流サークル「うぃーすた関西」のスタッフ/団体公式noteの署名記事)
さっそくグループ分けをして館内を回ったのですが色々な植物を見ている中で、当事者ならではの吃音あるあるを話したり、吃音からは離れ、植物の話などしてとても楽しかったです✨️
この日の例会は、大阪の公園にある植物館を、グループに分かれて回るというものでした。書いているのはこのサークルのスタッフで、後半の散策は雨で中止になったこと、それでも開催できて話ができたこと自体が意義ある時間だったことを、同じ記事に並べています。普段の例会はレンタルルームや会議室を借りてグループで話すことが多いので、こういう例会もあるのかと新鮮だった、とも書いています。自分の職場では毎日朝礼があり、日替わりの当番が回ってきた前日は緊張と嫌悪で眠れないほどだったこと、それでも盛大にどもりながらやり遂げ、その話を例会で参加者と交換できたことが素敵だったことまで、続けて記されています。会に出ることで何が起きるのかは、若い世代についてはまだ分かっていないことが多いと、研究の側は断っています。
出典: 【うぃーすた関西例会感想】メンバー投稿(note)(台帳: V0535)
学会の公開解説が挙げている「若者を対象とした団体」が、うぃーすたプロジェクトです。一方で研究の側は、自助団体への参加が成人では吃音の否定的な影響を減らし、考え方や気持ちの面に良い変化をもたらしうるという証拠がある一方で、若い人にとっての利点は現時点では分かっていないと明記しています。会の形も一種類ではなく、同じ団体が横浜例会・川崎日曜例会・こども若者例会・吃音改善トレーニング部といった複数の集まりを、別々の曜日と会場で並べている例もあります。「吃音の会」とひとくくりにして中身を想像するより、行こうとしている会のその月の告知を開くほうが早い、というのが正直なところです。
人数の多い集まりで、一人で来た人はどうなるのか
数十人が集まる交流会や大会になると、心配の種類が変わります。知り合いが一人もいない自分が、その場で浮いてしまわないか。これについては、参加した側が具体的に書き残しています。
当事者の声(会社員女性・当事者団体に12年関わる/個人ブログ・note)
ひとり参加の方が参加しやすいように、最初から最後までずっとグループ単位の活動。 グループはプログラムごとに変わるため、多くの人と関わる機会ができるしくみになっています。(私はありがたかった)(グループ考える人大変…) グループトークでは、ファシリテーター中心で進めるもの、短時間でメンバーを入れ替えるものもあり、とてもいいなと思いました。
書いているのは、言友会に初めて参加してから12年になる当事者の女性です。この夏は、若い世代が中心の全国交流会に、スタッフではなく一参加者として初めて加わっています。会場は大阪で、同じ日程で吃音のある中高生の交流会も開かれ、あわせて96名が参加したと記録しています。プログラムの前には短い動画が流れ、記念グッズの販売があり、バーベキューやボードゲームの時間もある一方で、体験談を発表する時間もしっかり取られていたと書き添えています。自分は年齢的に最年長だったとしたうえで、初めて参加した人が「これからうぃーすた絶対参加します」と言っていたことが印象的だった、と続けています。
出典: 若者の吃音イベントに参加して、ミドルエイジの私が考えたこと(note)(台帳: V0537)
こうした何日かにわたる大会に参加した10代に何が起きるのかを測った研究があります。アイオワ大学の研究者らは、吃音のある若い人の全米組織が開く2016年の年次大会から10〜18歳の22人を募り、吃音が生活に与える影響を測る質問紙を、大会の前・直後・3か月後の3時点で実施しました。うち7人には半構造化面接も行っています。分析の結果、大会の前と直後のあいだで、吃音の否定的な影響が有意に下がっていました。
ただし、これは無作為に振り分けたわけでも、比べるための対照群を置いたわけでもない小規模な研究です。原典自身も、自助団体は吃音の否定的な影響を減らすうえで有益でありうる、従来の言語療法に加える選択肢として検討する価値がある、という慎重な言い方で結んでいます。言語療法の代わりになるとは書かれていません。
近くに無ければ、自分で作った人がいる
地図を広げても、自分の住む場所の近くに会が見つからないことがあります。とくに中高生の年代は、そもそも行ける場所の数が少ない。その空白から動き出した人の記録があります。
当事者の声(女性・現在は介護の仕事/吃音の情報サイトのインタビュー記事。引用は記事の地の文と本人の発言)
自身の経験から、特に中高生の吃音当事者への支援が必要だと、せいなさんは感じている。 当事者同士が話せるようなイベントがあったらいいだろうな。そんな思いから、中高生を対象としたイベントを、社会人になった今でもずっと続けている。
“自分のイベントがきっかけで、中高生の子が誰かと思いを共有できているのを見ると、やりがいを感じます。”
この人が自分以外の吃音のある人と初めて出会ったのは、大学3年生のときでした。その友人と二人で開いたオンラインの交流会には、6人の当事者が集まっています。小中学生のころは発表や音読をできるだけ避ける学校生活で、親にも先生にも吃音のことを切り出せず、相談するという選択肢自体を消していた、と本人は語っています。小学校低学年で「ことばの教室」に通った以外に、支援を受けたり相談したりする機会は無かったとも記事は書いています。作る側に回った人の出発点が、相談先の無さだったということです。
出典: 「相談する発想がなかった」吃音当事者の女性が「諦めた夢」と中高生支援への想い(きつおんりんく)(台帳: V0224)
地域の空白は、全国組織の側も自分で書いています。全国言友会連絡協議会は、吃音のある人同士が自らの体験を語り、分かち合うためのセルフヘルプグループを全国に広げていきたいとしたうえで、すべての都道府県に少なくとも1カ所の活動拠点を築きたいがまだゴール地点が見えてはいない、と述べています。加盟団体のない都道府県として青森県・秋田県・福島県・鳥取県・長崎県・沖縄県が名指しで挙げられ、自分の住む地域で立ち上げたい人・立ち上げに協力したい人に連絡が呼びかけられています。
子どもと中高生に向けた場も、すでに動いています。よこはま言友会は毎月第一日曜日に川崎で「こども若者例会」を開いており、対象は吃音のある小学3年生から高校生、参加費は無料で、参加には申し込みが必要だと案内しています。大人の例会とは別部屋で行うことも明記されています。吃音のある子どもと保護者、学校関係者など吃音に関心のある人を対象にした親子交流会は、会場とオンラインの両方で参加でき、事前の申し込みが必要です。支援する側の大人に向けては、全国組織が、ことばの教室の先生や言語聴覚士など支援者を主な対象とした指導教材と、吃音についての啓発資料を作っています。子どもと保護者が一緒に行く場については、親子サマーキャンプの記事と園や学校にリーフレットを渡す記事にも分けて書いています。
行ってみて、合わないと感じることもある
会に行くことが、いつも良い方向に働くとは限りません。合わなかった側の記録は数が少ないのですが、無いわけではありません。
当事者の声(19歳・教育学部の学生・吃音の啓発活動をしている/個人ブログ・note)
正直にお話します。私は今まで、「俺と同じくらいどもってる」「俺よりどもってる」と思った吃音当事者の方と出会えたことがありません。
もちろん、私と話した時に調子が良かっただけかもしれません。もっと緊張感のある場であれば私以上に吃りが酷かったのかもしれません。
3歳で吃音が始まり、5歳から6歳まで言語聴覚士のもとで発話訓練を受け、5歳から15歳までの10年間は通級指導教室に通ったと、この人は同じ記事の前段に書いています。19歳の学生で、Xで吃音について発信してきた1年半のあいだに400人を超える人が見守るようになったこと、ここ数か月は投稿の頻度が激減していたことを冒頭で明かし、その理由として上の一節を置いています。同じ苦労をしている仲間のはずなのにどこかギャップを感じている自分がいた、と本人は書き、7月末に予定されていた催しへの参加を直前で辞退したのも同じ理由で、こんな精神状態で他の当事者と会うことに恐怖心を感じてしまっていた、と続けています。会に出ることが誰にとっても同じ結果になるわけではないことは、研究の側も記録しています。
出典: 自分の吃音に思うこと(note)(台帳: V0292)
先ほどの南アフリカの研究では、会に参加して自分の吃音の見方が肯定的に変わったかを尋ねたところ、13人中12人(92.3%)が変わったと答え、1人(7.7%)は変わらなかったと答えています。変わらなかったと答えた人は、その理由として周囲の聞き手の反応や世間の見方を挙げ、流暢に話せないことへの否定的な見方が自分のなかに残っていると語りました。同じ研究の考察は、会が受容を助けたというこの結果が、支援グループと自己受容のあいだに関連を見いだせなかった先行研究とは食い違うことも、はっきり書いています。
公的な解説のほうは、期待の置き場所に線を引いています。セルフヘルプグループは当事者の集まりなので、言語聴覚士のように、吃音についての学術的な知識や、吃音改善のための専門的な指導や支援が受けられるわけではありません。そのうえで、自分と同じ問題を持つ仲間と出会い、当事者同士でないと感じることのできない連帯感のなかで悩みを聞いてもらったり、同じ悩みを持つ者同士という立場で具体的なアドバイスをもらったりできる、これはセルフヘルプグループでないと得られないものだ、とも書かれています。得られるものと得られないものを取り違えると、「合わなかった」という感想だけが残ります。
そもそも、どれくらいの人が会に行っているのか
「みんな行っているのだろうか」という問いに数字で答えた資料は、ほとんどありません。成人の吃音の有病率を計算し直した2025年の研究が、そのうちのひとつです。英語圏のオンライン支援グループ、英国の全国団体、地域の自助グループから集めた原データをもとに、当事者コミュニティへの関与の割合を、国際的な団体で0.99%、全国規模で0.63%、地域で1.01%と推定しています。原典は、脱退や重複の数え上げがあるため実際の関与はこれより低かっただろう、とも注記しています。
つまり、会に行っていない人のほうが圧倒的に多い、というのが分かっている範囲の姿です。行っていないことは例外ではありませんし、行かないと決めることも、この数字の中では普通のことです。
日本の吃音のある成人180人を対象にしたオンライン調査は、自分から吃音を打ち明ける度合いが、米国の調査より低かったと報告しています。同じ調査の回帰分析では、自分で男性と答えたこと、自助グループの経験があること、自己受容が高いこと、自分に向けた否定的な決めつけ(自己スティグマ)が低いことが、より高い自己開示と結びついていました。ただしこの調査の参加者は日本の自助グループと著者らの伝手を通じて集められているので、吃音のある成人全体を代表しているわけではありません。会に出たから打ち明けられるようになる、という順序を示したものでもありません。
対面が怖いときの入口と、個別の困りごとの持っていき先
人前に出ること自体が不安なら、入口は対面だけではありません。東京言友会はZoomでのオンライン交流会を開いており、自己紹介と近況報告、テーマを決めたスピーチとディスカッション、感想の共有という1時間ほどの流れであること、参加時はビデオオフ・音声オフでも問題ないことを明記しています。申し込みフォームから登録すると、参加リンクが登録したメールアドレスに届く形です。
オンラインだけで完結するかどうかについては、研究は慎重です。対面の自助グループを補い、広げるものとして作られた非公開のフェイスブック上の吃音グループを質的に調べた研究は、参加することの利点と課題という二つの主題を挙げたうえで、対面の経験と組み合わせて使うことで、当事者が他の当事者から心理社会的な支えを得る有用な手段になりうる、とまとめています。オンラインが対面を置き換えられる、とは書かれていません。
個別の困りごとは、会ではなく専門機関のほうが確実です。国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターは、通っている学校か地域の教育委員会に相談すればその地域の学校に設置されている「ことばの教室」などを紹介してもらえること、学校以外で吃音の相談を受け入れている専門機関については各都道府県の言語聴覚士会や発達障害者支援センターに問い合わせるとよいこと、本人が望むなら吃音のある人たちの自助グループに参加してみることも心を開いて自分のことを話す突破口になりうること、その情報はホームページか言語聴覚士会で分かることを、ひとつの回答の中に並べています。
言語聴覚士は、言語障害や聴覚障害がある人に対する指導や支援を行う国家資格の専門職で、養成課程の中に吃音が含まれています。ただし業務が多岐にわたるため、必ずしもすべての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではなく、希望する場合はあらかじめ病院等に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会や各都道府県の言語聴覚士会に尋ねるよう案内されています。相談先の全体像は、吃音の相談先の記事にまとめています。
なお、医療の側が当事者の会をどう位置づけているかについては、ドイツの診療ガイドラインに記述があります。同国の吃音自助連盟などの自助グループへの参加を、臨床的コンセンサスにもとづいて推奨する、というものです。これは専門家の合意にもとづく推奨であって、効果を測った研究の結果ではありません。
吃音のサークルを探すときに陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 一つ見て「当事者の会はこういうものだ」と決める
同じ団体の中でも、大人の例会、日曜の例会、小学3年生から高校生までの例会、トレーニングの部と、対象も曜日も会場も分かれています。若者を対象とした団体や、女性の集いを開催する団体も別にあります。日によっては公園を歩くだけの回もあれば、数十人が二日間集まる交流会もあります。一度の印象で決める前に、別の回や別の会の告知も開いてみてください。年代が合わないと感じたなら、そこで終わりにしなくてよい枝分かれが実際にあります。
落とし穴2 − 一覧に名前があることを、いま開いている証拠だと思う
全国組織の加盟団体一覧に載っているのは団体名だけで、連絡先も例会の日時も、そのページには書かれていません。地域の会の側を見ると、曜日がずれる回や中止になる回まで月ごとの予定に明記されています。近くに加盟団体が無い県もあり、全国組織自身が、すべての都道府県に少なくとも1カ所の拠点を築きたいがまだゴール地点が見えていないと書いています。名前を見つけた時点で終わりにせず、その会の予定表まで開くことと、無ければ立ち上げへの協力が呼びかけられていることの両方を覚えておくと動きやすくなります。
落とし穴3 − 会に、専門的な指導まで期待する
セルフヘルプグループは当事者の集まりであって、言語聴覚士のような専門的な指導や支援を受けられる場ではない、と公的な解説は明記しています。改善のための指導を希望しているなら、行くべき先は言語聴覚士です。会でしか得られないものは別にあり、それは同じ問題を持つ仲間と出会い、そこでしか感じられない連帯感のなかで話を聞いてもらえることだと書かれています。あわせて、どんな場面で話しにくかったか、そのとき周りがどう応じたかを書き留めておくと、会でも専門機関でも、自分の困りごとを言葉にする手がかりになります。まずは記録から小さく始め、具体的な困りごとがあれば言語聴覚士やことばの教室に持っていくのが確実です。
よくある質問
吃音のサークルや交流会は、どうやって探せばいいですか?
全国言友会連絡協議会が加盟団体をブロック別に並べた一覧を公開していますが、載っているのは団体名だけなので、連絡先や日程は各団体のページで確かめる必要があります。公的な案内としては、ホームページで調べるか、各都道府県の言語聴覚士会に問い合わせると近くの自助グループの情報が分かる、と示されています。学会の解説には、若者を対象とした団体や女性の集いを開催する団体の名前も挙がっています。
若い人だけが集まる会はありますか?
あります。学会の公開解説は、近年になって若者を対象とした団体(うぃーすたプロジェクト)が設立されたことに触れています。ただし、自助団体への参加が若い人にとってどんな利点を持つのかは現時点では分かっていない、と研究の側は明記しています。何日かにわたる大会に参加した10〜18歳の22人を調べた研究では、大会の前と直後で吃音の否定的な影響が有意に下がりましたが、対照群のない小規模な研究です。
中高生や小学生が行ける会はありますか?
よこはま言友会は毎月第一日曜日に川崎で「こども若者例会」を開いており、対象は吃音のある小学3年生から高校生、参加費は無料で、参加には申し込みが必要だと案内しています。大人の例会とは別部屋で行われます。吃音のある子どもと保護者、学校関係者などを対象にした親子交流会も、会場とオンラインの両方で開かれています。休止になる回もあると団体自身が書いているので、直近の予定を確かめてください。
人前で話すのが不安です。オンラインだけの参加はできますか?
東京言友会はZoomでのオンライン交流会を開いており、参加時はビデオオフ・音声オフでも問題ないと明記しています。一方で、対面の会を補うオンラインのグループを調べた研究は、利点と課題の両方を挙げたうえで、対面の経験と組み合わせて使うことで支えを得る手段になりうるとまとめています。オンラインが対面を置き換えられるとは書かれていないので、まず入りやすいところから、と考えるのが現実的です。
行ってみて合わなかったら、どうすればいいですか?
会に出ても自分の吃音の見方が変わらなかったと答えた人はいて、その理由として周囲の聞き手の反応や世間の見方が挙げられています。そもそも当事者コミュニティに関わっている割合は0.63%から1.01%程度と推定されており、行っていない人のほうがずっと多いのが現状です。会は専門的な指導の場ではないので、個別の困りごとがあるなら、ことばの教室や言語聴覚士会・発達障害者支援センターといった窓口に持っていくほうが確実です。
まとめ
- 吃音のある人が集まる場は歴史の長い団体だけではなく、若者を対象とした団体や女性の集いを開催する団体も設立されている。同じ団体の中でも、大人の例会と子ども若者の例会が別に開かれていることがある。
- 若い世代の会では、公園を歩く回もあれば、数十人が二日間集まる交流会もある。ただし、自助団体が若い人にとってどんな利点を持つかは分かっていないと研究は明記しており、大会前後の変化を見た研究も対照群のない小規模なものだった。
- 近くに会が無い地域は実際にあり、全国組織自身が加盟団体のない県を名指しで挙げ、立ち上げへの協力を呼びかけている。中高生向けの場を自分で開いて続けている当事者もいる。
- 会は専門的な指導の場ではない。その代わり当事者同士でないと得られないものがあると公的な解説は書いており、期待の置き場所を取り違えると「合わなかった」だけが残る。会に出ても見方が変わらなかったと答えた人も研究には記録されている。
- 当事者コミュニティに関わっている割合は0.63〜1.01%と推定されており、行っていない人のほうがずっと多い。ビデオも音声もオフで入れるオンラインの交流会もあるが、オンラインは対面の代わりではなく併せて使うもの、というのが研究の言い方である。