まず結論から
- はかたみち耳鼻咽喉科の吃音診療のページには、子どもから大人まで受診することができると書かれています。公的医療保険や自治体の医療証も使用できる、とされています。
- 受診は電話予約制で、予約なしの来院やWeb予約では対応できないこと、吃音の初診は原則平日の午前中に限ることが案内されています。
- 当日の流れは4段階です。問診の記入、医師の診察(耳や鼻、口腔内の問題の有無を確認して診断し、治療内容を説明)、そして担当の言語聴覚士による検査や訓練と非常勤医師の診察、と示されています。
- 支援方法として挙がっているのは、合理的配慮のための診断書などの作成、吃音が生じにくい話し方を練習する方法、周りの環境のほうを整える方法、幼児向けのリッカムプログラム、成人向けのメンタルリハーサルです。オンラインの訓練にも対応しているが保険適応外、とされています。
- 耳鼻咽喉科が吃音を扱うのは、この医院に限った話ではありません。吃音の評価と対応の総説は日本耳鼻咽喉科学会の会報に載っており、そこでは診断基準が吃音検査で中核症状が100文節あたり合計3以上あることと示されています。言語聴覚士も、主に病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などに勤務している場合が多いとされています。
ただし、ここに書いたのは公開ページを開いた時点の案内で、対象も受付の方法も変わりえます。受診を決める前に、必ずご自身で医院のページを開き直して確かめてください。また、これは一つの医院の運用であって、他の耳鼻咽喉科が同じことをしているという意味ではありません。
耳鼻咽喉科に行って、「専門外」と言われないか
吃音で医療機関を頼ろうとするとき、多くの人が最初に思い浮かべるのは耳鼻咽喉科です。喉と声の科だからです。ところが、たどり着いた診察室で断られることがある——それが、この入口をためらわせています。
当事者の声(研究職。大人になって吃音が悪化し、通院中の心療内科から耳鼻咽喉科へ行くよう言われた日の記録/日本吃音協会のメディア)
私はその足で以前鼻炎でかかっていた耳鼻咽喉科に向かいました。
久々に相対したその先生も、私の様子をみて一言「悪いけれど、私も吃音は専門外なんだ。だから申し訳ないけど何もできないんだよ」
何もできなかった証明のように、わずかな会計をして医院を出ようとしました。
そのとき、受付の人が急に私を呼び止めました。
「先生から連絡先を聞いておいてくれ、後で連絡するとの伝言です」
会議の場で語頭の繰り返しが止まらなくなった日から、この人の受診は始まっています。通っていた心療内科では薬の一つを変えてもらい、それでも変わらず、主治医から耳鼻咽喉科へ行くよう勧められました。訪ねたのは、以前に鼻炎でかかったことのある医院です。そこで返ってきたのが、上の一言でした。ただ、話はそこで終わりません。数日後にその医師から直接電話があり、後輩に吃音外来をやっている医師がいる、と伝えられます。本人は3か月の予約待ちののち、特急列車に乗って自宅からやや離れた都市の病院へ出かけました。耳鼻咽喉科は「必ず診てくれる窓口」ではなく、「次につなぐ場所」にもなる、ということです。吃音の評価と対応をまとめた総説が載っているのも、日本耳鼻咽喉科学会の会報でした。
出典: 大人になり悪化した吃音「先生、私はこのままなんですか?」(HAPPY FOX・日本吃音協会)(台帳: V0093)
なぜ耳鼻咽喉科なのか、から確かめておきます。この総説は、吃音を、呼吸と発声・構音器官に器質的な障害や可動制限が原則としてなく、中核症状(繰り返し、引き伸ばし、阻止・ブロック)を生じる発話障害だと定義しています。つまり、喉や舌そのものの形や動きに原因が見つからないことを確かめる仕事が、まず要る。はかたみち耳鼻咽喉科の受診の流れでも、医師の診察の段階で耳や鼻、口腔内の問題の有無を確認して診断を行い、治療内容について説明する、と書かれています。同じ総説は、鑑別すべきものとして言語発達遅滞・異常、構音障害、発声障害、チック、場面緘黙、脳損傷などを挙げ、早口言語症(クラタリング)は鑑別も必要だが吃音との併発もある、としています。
そして、診察のあとに続く担当者がいます。はかたみち耳鼻咽喉科の受診の流れの4段階目は、担当の言語聴覚士による検査や訓練と、非常勤医師による診察です。問診で得た情報をもとに詳しく話を聞き、検査や訓練、家や園・学校・職場での対応について説明する、とされています。言語聴覚士(ことばや聞こえ、飲み込みの専門職)は、主に病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などのリハビリテーションスタッフとして勤務している場合が多いとされ、養成課程には吃音が含まれています。ただし、業務の範囲が広いため、必ずしも全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではない、とも明記されています。看板が耳鼻咽喉科かどうかではなく、その医院に吃音を担当する言語聴覚士がいるかが、実際の分かれ目になります。
子どもを連れて行くと、まず「様子を見ましょう」と言われる
小さな子どもの場合、耳鼻咽喉科は自分で選ぶというより、案内されて行く場所です。そして、そこで返ってくる言葉は、しばしば治療の説明ではありません。
2歳半の息子の吃音に気づいた母の声(市の子育て相談から紹介された病院で、耳鼻咽喉科を受診した日の記録/個人ブログ)
耳鼻咽喉科の年配の医師の診察でした。「二歳半という時期はまだ言語訓練をするには早過ぎるが、受けたければ受けることも可能です。この年頃の吃音であれば、もしかしたら一時的なものかもしれないので様子見でもいいと思います。あとは、お母さんの受け止め方次第でもあって、そこまで深刻に考えなくても大丈夫ですよ。」と言われました。
この母親が最初に電話したのは市の子育て相談でした。保健師から、住んでいる所からいちばん近い、子どもの言語訓練をしてくれる病院を紹介されます。その病院に吃音の言語訓練について相談したいと伝えると、まずは耳鼻咽喉科へ受診というかたちで予約になりました——子どもの吃音で耳鼻咽喉科にかかる道筋は、こうして自然に生まれます。診察の結果は「様子見でもいい」。母親は様子見をする判断をし、3歳半で、治りも悪化もしないまま、言語訓練に通うことを決めました。この1年の空白をどう読むかが、この節の主題です。
出典: 吃音症の息子との関わりについて(個人ブログ)(台帳: V0284)
「様子を見る」は、放っておくという意味ではありません。日本耳鼻咽喉科学会会報の総説は、発達性吃音は3歳前後に好発し、発吃(吃音が出はじめること)から2〜3年程度までの経過で7割以上が自然治癒すると述べたうえで、幼児期には楽に話せる環境を整えながら経過を追うことを基本に置いています。そのうえで言語治療を開始する目安を2つ挙げます。発話に苦悶・努力や悪化傾向があるか、就学1年前頃になっても改善傾向がない場合です。幼児期の言語訓練は有効率が比較的高いとも書かれています。上の家庭が3歳半で訓練を決めたのは、この目安より早い時期の判断でした。
子どもの吃音をどこで専門家につなぐかは、国際的にも整理が試みられているところです。小児科領域の総説は、2歳から5歳の子どものうち一時的に話がなめらかに出なくなる時期を経験する子は少なくなく、通常は就学前に自然に回復するとしたうえで、だれにでも起きる言いよどみと、子どものころに始まる吃音をどう区別するか、そして紹介の基準はどうあるべきかに焦点を当てる、と述べています。この総説の目的そのものが、早期に見つけて適切な先へ送るための注意喚起でした。裏を返せば、見分けと紹介は、それだけで一つの論点になるほど難しいということです。
はかたみち耳鼻咽喉科の支援方法の一覧にも、年齢で分かれた項目が並んでいます。幼児にはリッカムプログラム(オーストラリアで開発された方法で、子どもの発話に対して保護者がことばがけを行う方法。毎週の通院と毎日15分程度の練習を家庭で取り組む必要がある、と説明されています)、成人にはメンタルリハーサル、そのほかに、吃音が生じにくい話し方を練習して徐々に普段の会話でも話せるようにする方法と、家庭や園、学校などで吃音のある子どもが話しやすく、吃音が出にくい環境を作る方法が挙げられています。「様子を見る」と「訓練を始める」の間に、環境を整えるという段があることが、ここからも読めます。
診察室では、いつものようにはどもらない
受診を決めた人が直前に不安になるのが、これです。ふだんいちばん困っている症状が、診察室に限って出てこない。伝わらないまま「軽いですね」で終わってしまうのではないか、という心配です。
吃音のある耳鼻咽喉科医の手記(大学病院に勤務する医師本人が、自身の吃音と診療の両方について書いたもの/医学教育の特集「インクルーシブ教育を考える」)
幼児や学童の語彙が少ない時期だけではなく,ある程度語彙力が増え,社会人として働いている人の中にも吃音と分からない例がたくさんある.初診時に診察した耳鼻咽喉科医師が,当科で思春期以降の吃音を主訴として46 名中に対して,吃音があると診断できた例は59%であり,41%は吃音とは分からなかった.そのため,約4 割の成人は初診の会話ではどもっていないように見えるのである.
書いているのは、吃音のある本人であり、同時に診る側でもある医師です。同じ手記には、保護者や本人ががっかりする一言として、医師の「軽い吃音ですね」が挙げられています。表面に出る吃音は非常に変化しやすく、幼児は音節の繰り返しや引き伸ばしが主体でも、学童・成人になるにつれて、見慣れないと分かりづらい難発性吃音が中心になっていく、とも書かれています。だから、初回の面接ではどもっていてもどもっていなくても、吃音があることを前提に相談に乗ることがポイントだ、というのがこの医師の立場です。この手記では、診察室で症状が出ないことは例外ではなく、むしろ前提として扱われています。
出典: 4-5.発達障害(吃音)のある医師(医学教育 55巻2号)(台帳: V0020)
この「出ないこと」が紹介の判断に影響することは、調査でも示されています。米国の小児科医を対象にした研究は、吃音を疑う家族が最初に接することの多い相手が小児科医であることを踏まえ、吃音を見分けられるか、そして言語聴覚士へ紹介するかを、症例の描写を使って調べました。用いられたのは、吃音の家族歴がある4歳の男児について母親が吃音の兆候を報告している、という共通の設定で、診察中に吃音が出るかどうかと、話すことへの否定的な受けとめがあるかどうかの2つが操作されています。結果は、小児科医の見分けと紹介は、目に見える発話の様子や否定的な受けとめの観察に大きく促されていたというものでした。著者らは、今日の小児科医は以前ほど「様子を見る」方針を取らなくなっている一方で、他のよくある小児期の診断とは違い、保護者が気づいて報告するだけでは専門家への紹介につながらないと結論づけ、今後の教育では、その場で吃音を観察できたかどうか以外の要素も紹介の理由に含めるよう強調すべきだとしています。
日本の診断基準も、頻度だけで決める作りにはなっていません。総説は診断基準を吃音検査で中核症状が100文節あたり合計3以上あることとしたうえで、自分の名前のみ吃る症例なども見られるため頻度は絶対基準ではないと断っています。話そうとするときに顔をしかめる、手足を動かすといった、声を出そうとして一緒に出てしまう体の動きは、吃音にかなり特徴的だ、ともされています。そして吃音検査法そのものが、出にくさを織り込んで設計されています。検査は自由会話・課題場面(呼称・説明・創話・応答・音読)・被刺激場面(復唱・斉唱・随意吃など)から構成され、これらは吃音の特徴である場面や内容による差を知るために必要な発話様式の種類だ、と説明されています。とくに被刺激場面は、症状の可変性を知ろうとするもので、訓練への糸口をつかむための指針になるとされています。「今日はうまく話せてしまった」は、検査の側が想定している事態です。
本人が「病院に行きたい」と言えないまま、時間が過ぎる
受診の入口をふさぐのは、予約の方法や診療科の分かりにくさだけではありません。行きたいと言い出すこと自体が、いちばん難しい場合があります。
吃音のある医師の回想(中学1年当時を本人が振り返った記事/note)
昔は”どもり”だったけど、今は、別の声が出ない病気になってしまったのではないかと。
「病院に行けば、なんとかなるのではないか」と思いました。でも、自分が「病院に行きたい」と言うと、親に「なんで?」と質問するときに、自分の悩みを打ち明けられるほどの
オープンな親子関係ではありませんでした。
中学に入って環境が変わり、思春期で内面に目が向く年齢になって、吃音のことが頭から離れなくなった時期の回想です。症状の名前を知らず、声が出ない別の病気になったのではないかと考え、病院に行けばなんとかなるのではないかと思いながら、その一言を家で切り出せない。本人はこのあと「自分が病院の先生になれば」と考えて医学部へ進み、現在は医師になっています。子どもが自分から相談を求めてくるとは限らない——受診の時期を決めているのは、しばしば周りの大人のほうです。学齢期の困りごとは、統計の上でも見えています。
出典: 吃音ドクター菊池良和の幼稚園・小学校時代(note)(台帳: V0128)
総説は、8歳頃以降は自然治癒が少なくなる一方、独り言ではほぼ吃らなくなり、状況依存性が強くなると述べ、学齢期に約半数がいじめやからかいを経験するため対策が重要で、診断書等で対応するとしています。学齢後期以降には、吃音を隠そうとして多彩な、しばしば不適切な対処が生じるとも書かれています。隠すのが上手になるほど、周りからは問題が見えなくなる。時間が経ってから相談に来ることになるのは、この構造のためです。
相談先の側は、その年齢を待っていません。はかたみち耳鼻咽喉科のよくある質問には、年齢制限があるかという問いに対して、子どもから大人まで受診することができると書かれています。同じ欄には、本人に吃音を意識させない方がいいか、症状が悪化しないかという問いも置かれており、吃音をオープンにしても吃音が悪化することはない、本人のいやな思いを減らすために吃音についてオープンに話して、からかわれていないかを確認する必要がある、と答えられています。支援方法の一覧の先頭にあるのも、不当な差別的扱いをされないように合理的に配慮を受けるための診断書などを作成し、吃音について正しい理解や対応をするよう学校や職場に促す、という項目です。話し方を変えることだけが、医療にできることではありません。
検査では何を見られるのか — 吃音検査法の中身
「担当の言語聴覚士による検査」と案内されても、その中身はふつう説明されていません。日本で共通して使われてきた吃音検査法の報告を開くと、何を測る設計なのかが分かります。
この検査法は、吃音問題の検査・評価を目的とし、幼児・学童・成人(中学生以上)を対象とすると定められています。構成は、検査材料、検査結果記録用紙、関連情報・吃音症状記録用紙、吃音検査・評価結果記録票、手引の五つです。検査材料の選定にあたっては、語音のレパートリー、語・文の長さ、文構造、韻律、検査所要時間などを考慮し、その年齢層になじみのある意味・内容のものにした、と説明されています。年齢によって材料も課題も変わる、ということです。
場面の作り方は前の節で見たとおり、自由会話・課題場面・被刺激場面の三本立てです。では、そこで見た症状をどう記録するのか。症状は話し方に出る症状・声を出そうとして一緒に出てしまう体の動き・言いにくさへの工夫・気持ちの反応の四つとして把握されます。言語症状はさらに、吃音に特徴的なもの、発話直前の症状、正常な話者にもよくみられるもの、プロソディー(話すときの抑揚やリズム)などに表れた症状に分けられており、これは臨床上の扱いを考慮して群化したものだと明記されています。声を出そうとして一緒に出てしまう体の動きは、出現した部位とその広がりによって分けられ、工夫はほぼ吃音の進展順に配列されています。言いにくい言葉を別の言葉に置きかえる、話す場面を避けるといった「工夫」も、検査の対象に入っているということです。
結果の表し方にも設計の意図があります。重症度の尺度は文献と臨床経験に基づいて操作的に設定され、6側面について7段階の評定を行います。報告はその理由をはっきり書いています。6側面はそれぞれ吃音の特徴や進展のし方を知るために必要なもので、1つの側面で代表させたり、1つにまとめて単一の尺度にすると臨床上の意義が弱まるため、プロフィールとして表現する形を採用した、というものです。総合評価にあたっては、6側面について最も重いランクと最も軽いランクを全会話場面から選んで描き、特徴を把握するとされています。吃音の重さは、一つの数字では表さない——これが、検査を作った側の判断でした。ですから「重症度はいくつですか」という問いに一つの数字が返ってこなくても、それは説明を省かれたからではありません。なお、この報告は1981年の〈試案1〉のもので、現在市販されている版とは版が異なります。
その医院に通えないときの、探し方
名前を知った医院が遠い、予約の電話が難しい、対象の時間帯に行けない——そうしたときに、どこから探し直すか。手順は公開されています。
まず、言語聴覚士は国家資格で、養成課程の中に吃音が含まれ、吃音がある方の指導・支援の中核を担う存在として役割が期待されています。ただし業務が多岐にわたるため、全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではありません。そのため、あらかじめ病院などに直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会や各都道府県の言語聴覚士会に尋ねる、という手順が案内されています。「吃音外来」という名前を探すのではなく、「吃音のある方を担当していますか」と聞いて回るほうが、届く範囲は広くなります。近年、吃音の指導・支援に意欲的に取り組む言語聴覚士が増えつつあり、今後の体制の拡充が期待される、とも書かれています。
大人の専門外来としては、国立障害者リハビリテーションセンター病院の成人吃音相談外来があります。これは初診専用の外来で、受診を希望する場合は予約センターでその専門外来の予約を取ったうえで受診する形です。ただし案内には、受診希望者が多く予約が取りにくくなっている旨も添えられています。初診日には問診票の記載に30分程度かかる場合があるので早めに来てほしいこと、紹介状がある場合は持参することも書かれています。名前のついた専門外来は数が少なく、どこも同じように混んでいる、というのが実情です。
離れている場合の選択肢も、案内の中にあります。はかたみち耳鼻咽喉科のよくある質問では、オンライン訓練について、対応しているが保険適応外となる、と説明されています。費用の扱いが対面と変わるということなので、通う回数と負担の両方を含めて、事前に確かめる項目になります。
耳鼻咽喉科を受診先に選ぶときの3つの落とし穴
落とし穴1 − 「耳鼻科なら吃音を診てくれる」と考えて一軒だけ訪ねる
耳鼻咽喉科は吃音の入口になりやすい診療科ですが、どの医院でも吃音を担当しているとは限りません。言語聴覚士は病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などに勤務していることが多い一方、全員が吃音の指導や支援を行えるわけではないと明記されています。上で見たように、訪ねた先で「専門外」と言われることも起こります。行く前に、吃音を担当しているかを直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会や都道府県の言語聴覚士会に尋ねておくほうが、空振りを減らせます。
落とし穴2 − 予約の方法と時間帯を確かめずに出向く
はかたみち耳鼻咽喉科のページでは、予約なしでの来院やWeb予約では対応できないこと、予約の電話は診療時間内で受け付けること、吃音の初診は原則平日の午前中に限ることが案内されています。電話予約が難しいという事情は、吃音のある人にとって受診そのものの障壁になりますが、条件を知らずに出向くと、その日は受けられないまま帰ることになります。問診はWeb問診で自宅などから事前に入力できる、とも書かれています。なお、ここに書いた条件はいずれも取得時点の記載です。
落とし穴3 − 診察室で症状が出なかったことを、自分の問題だと思う
診察の場で吃音が出ないのはよくあることで、ある大学病院の耳鼻咽喉科では思春期以降の初診時に約4割が吃音と分からなかった、と当事者でもある医師が書いています(台帳: V0020)。米国の研究でも、小児科医の紹介はその場で見えた発話の様子に大きく促されており、保護者の報告だけでは紹介につながりにくいと報告されています。だからこそ、困っている場面を先に書き出して持っていくことが効きます。検査の側も、復唱や斉唱といった被刺激場面を用意して症状の可変性を見ようとしています。
よくある質問
はかたみち耳鼻咽喉科は、大人の吃音も診てもらえますか?
吃音診療のページのよくある質問では、年齢制限について、子どもから大人まで受診することができると書かれています。公的医療保険や自治体の医療証も使用できるとされています。いずれもこの記事を書いた時点の記載ですので、受診を考えるときはご自身でページを開いて確かめてください。
予約はどうやって取るのですか?
受診の流れの1番目が電話予約で、予約なしでの来院やWeb予約では対応できないこと、予約の電話は診療時間内で受け付けることが案内されています。あわせて、吃音の初診は原則平日の午前中に限るとされています。問診についてはWeb問診があり、自宅などで事前に入力することが可能だと書かれています。
受診した日は、何をするのですか?
公開されている流れは、電話予約、問診の記入、医師の診察、担当の言語聴覚士による検査や訓練と非常勤医師による診察の4段階です。医師の診察では耳や鼻、口腔内の問題の有無を確認して診断を行い、治療内容について説明するとされています。言語聴覚士の行う吃音検査は、自由会話・課題場面・被刺激場面から構成され、症状を、話し方に出る症状、声を出そうとして一緒に出てしまう体の動き、言いにくさへの工夫、気持ちの反応の四つとして把握する設計になっています。
子どもがまだ2歳です。すぐ受診したほうがよいですか?
日本耳鼻咽喉科学会会報の総説は、発吃から2〜3年程度までの経過で7割以上が自然治癒するとしたうえで、幼児期は楽に話せる環境を整えながら経過を追い、発話に苦悶・努力や悪化傾向がある場合、または就学1年前頃になっても改善傾向がない場合に言語治療を開始する、という目安を示しています。小児期の吃音については、だれにでも起きる言いよどみとの見分けと、専門家へつなぐ基準そのものが難しい論点だと総説が述べています。判断に迷う段階で相談に行くこと自体は、妨げられていません。
診察のときに、いつものようにどもれませんでした。伝わらないのでは?
診断基準は吃音検査で中核症状が100文節あたり合計3以上あることとされていますが、自分の名前のみ吃る症例なども見られるため、頻度は絶対基準ではないと明記されています。検査にも、復唱・斉唱・随意吃などの被刺激場面が用意されており、症状の可変性を知るためのものと位置づけられています。どの場面で詰まりやすいかを書き留めて持っていくと、その場で出なかった分を補えます。
まとめ
- はかたみち耳鼻咽喉科の吃音診療のページには、子どもから大人まで受診できること、公的医療保険や自治体の医療証が使えることが書かれている。
- 予約は電話で、予約なしの来院やWeb予約では対応できず、吃音の初診は原則平日の午前中に限るとされている。いずれも取得時点の案内なので、必ず自分で開き直して確かめる。
- 当日は、問診の記入 → 医師の診察(耳や鼻、口腔内の問題の有無を確認して診断・説明)→ 担当の言語聴覚士による検査や訓練と非常勤医師の診察、という流れが公開されている。
- 耳鼻咽喉科が吃音を扱う背景には、日本耳鼻咽喉科学会会報に載る評価と対応の総説があり、診断基準や鑑別すべき疾患、言語治療を始める目安(就学1年前頃)まで示されている。
- 診察室で症状が出ないことは珍しくなく、小児科医の紹介は目に見えた発話の様子に促されやすいと報告されている。吃音検査は被刺激場面を含めて可変性を見る設計になっている。
- 通えないときは、病院に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会や都道府県の言語聴覚士会に尋ねる手順が案内されている。大人の専門外来としては国立障害者リハビリテーションセンター病院の成人吃音相談外来があるが、予約は取りにくいとされている。