吃音カフェ東京|常設店が無い理由と、今月行ける3つの場所

吃音カフェ東京|常設店が無い理由と、今月行ける3つの場所
目次

「吃音カフェ 東京」と打ってみたのに、店の名前も住所も出てこない——そんな検索結果を前にしていませんか。地名を足せばその土地のお店が見つかるはず、という探し方は、ふつうのカフェなら正しいやり方です。ところが、この言葉に限ってはうまくいきません。東京にあるはずのものが、いくら探しても場所として出てこないのです。

この記事では、まず「なぜ東京の店舗が出てこないのか」を公式ページの記述で確かめます。そのうえで、東京で来月も再来月も開かれている場——当事者どうしの例会、公的な施設での無料相談、子どもと保護者の集まり——を、出典と閲覧日をつけて並べます。行かないという選択についても書きます。

ソンタクマン(toVoice 運営)
吃音当事者。研究論文と当事者の声をもとに、吃音の情報を出典つきで発信しています。

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の判断に代わるものではありません。気になる症状があるときは、言語聴覚士やことばの教室にご相談ください。

まず結論から

  • 「吃音カフェ」の正式な名前は「注文に時間がかかるカフェ(Slow Order Cafe)」です。公式ページは、接客をしたい若者や企業からの依頼を受けて開くため、決まった地域での定期開催や常設店はないと書いています。
  • 東京では、2021年8月の世田谷区を皮切りに、世田谷・中野・品川・大田・渋谷・港・台東・荒川の8つの区での開催が公式ページに並んでいます(2026年8月30日に閲覧した時点の記載です)。
  • 予約制の回は開催の約2週間前あたりに公式サイトとXで案内され、主催者の希望でお客さんを一般募集しない回もあると明記されています。
  • 公式ページはこのカフェを「吃音のある人同士の交流というよりは、一般のカフェ」と位置づけています。当事者どうしで話せる場を探しているなら、行き先はここではありません。
  • 東京で毎月開かれている場としては、東京言友会の例会(月2回・入会前の見学は事前連絡なしで参加できると案内)と、東京都障害者福祉会館での無料の吃音相談(毎月第4日曜の午後)があります。

ただし、ここに書いた日程・会場・費用は、いずれも2026年8月30日に各サイトを閲覧した時点の記載です。こうした情報はいちばん先に古くなりますし、公式ページの一覧そのものにも表記の揺れがあります。出かける前に必ず、主催者の予定表や会場に直接ご確認ください。

「東京の吃音カフェ」を探しても、お店は出てこない

検索する人の多くは、これを「お店」だと思っています。だから地名を足す。東京のどこにあるのか、行けば入れるのか、を知りたいからです。

けれども、この催しを知った人の多くは、そもそも店として出会っていません。画面の向こうで知るのです。

専門学校生のころ、チェーンのカフェで食器洗いのアルバイトをしていた吃音当事者(個人ブログ note)

YouTubeで「注文に時間がかかるカフェ」というプロジェクト動画を見たことがある。これは吃音を持ちながらも接客業に憧れる学生たちが店員として1日カフェに立つ、というものだ。

なんて素敵な企画なのだろう。もっと若い時に知っていたら参加してみたかった。

吃音が理由で将来に不安や自身が持てない若者たちの背中をそっと押してくれるような、こんなやさしいプロジェクトがもっと増えたらいい。

高校を卒業して地元の専門学校に進んだとき、この人はアルバイトを探していました。本当にやりたかった接客業は自分にはハードルが高すぎると考え、選んだのはチェーンのカフェの食器洗いの仕事でした。面接で吃音のことを話し、店長は快く迎え入れてくれたと書いています。仕事に慣れたころ「レジをやってみないか」と声をかけられましたが、その誘いは断りました。この企画を知ったのは、それよりずっとあと——動画のなかでのことです。多くの人にとって「注文に時間がかかるカフェ」は、訪ねていく店ではなく、映像やニュースで知る催しです。それは偶然ではなく、公式ページ自身がその開き方を説明しています。

出典: 吃音があったってカフェ店員やりたいし、やっていい(note・shima)(台帳: V0153)

公式ページの「スケジュール」の欄には、こう書かれています——接客をしたい若者や企業からの依頼で開催するので、決まった地域での定期開催や常設店はない。つまり、地名を足して店を探すというやり方そのものが、この催しには合っていません。見つからないのは、あなたの検索の仕方が悪いからでも、東京だけ開かれていないからでもありません。

同じページの一覧には、東京都内での開催として8つの区・16行が並んでいます。いちばん古いのは2021年8月21日の世田谷区で、そのあと中野・品川・大田・渋谷・港・台東と会場が変わり、いちばん新しい行は2026年11月7日の荒川区です。会場も、企業のオフィス、大学、区の施設、個人の開催とばらばらです。

この一覧には、同じ日付が曜日ちがいで二重に載っている行があるなど、表そのものに揺れがあります。この記事では「公式ページにそう書かれている」という事実として扱い、個々の開催が実際にあったかどうかまでは確かめていません。ここに挙げた日付や区は、2026年8月30日に閲覧した時点の記載です。

予約はいつ出るのか。そして、入れない回がある

「では、次の東京の回に行きたい」と思ったとき、次に知りたいのは告知のタイミングです。ここも、ふつうの飲食店とは仕組みが違います。

神戸で期間限定で開かれた「注文に時間がかかるカフェ」に接客スタッフとして応募した20歳の大学生(放送局の特集・2022年10月。東京の回ではありません)

今までの人生の中でチャレンジをしてこなくて、私には無理だと決めつけていたんですけど、吃音症の自分でもやりたいことをできるのだと思えて、すごくほんとにいい機会です。ほんとに生きてるだけで…ここまで正直生きられると思っていなかったです。こんなに報われる日がくるとは思っていなかったので

この人は、高校1年から始めたアルバイトに、人と話すのが苦手だからと荷物を仕分ける仕事を選んでいました。本当は人と話すのがすごく好きで、接客業をしたかったのだと番組では語っています。高校生のときに「吃音者の生きづらさ」と題した論文を書いたことが転機になり、カフェに応募しました。開店3日前、学生スタッフとの顔合わせで、自分の名前を名乗るその一言がなかなか出ず、自己紹介にはおよそ1分かかったと伝えられています。それでも当日は接客に立ち、上の言葉を残しました。一日から数日で終わる場にも、参加の前後で測られた変化の報告があります。

出典: 「注文に時間がかかるカフェ」吃音症の若者たちが接客スタッフ(関西テレビ カンテレ・特集)(台帳: V0244)

お客さんとして行く場合、予約制の回は開催の約2週間前あたりに公式サイトとX(旧Twitter)で案内されると書かれています。逆に言えば、それより前には日程が分かっても申し込み口が開いていないことになります。さらに、主催者の希望でお客さんを一般募集しない回もあると明記されています。実際、公式ページの東京の一覧にも「お客様一般募集なし」と併記された行があります。日程が出ているのに入れない、ということが起こりうる仕組みです。

入れた回で、客として何をすればいいのかも書かれています。公式サイトは「吃音当事者への対応は人それぞれ違います」と前置きしたうえで、一般的な対応方法として4つを挙げています——言い終わるまで待つ(遮ったり、憶測して代わりに言ったりしない)、アドバイスしない、真似しない、他の人と同じように接する。2つめの理由も添えられていて、緊張していて吃っているわけではないので「リラックスして」「ゆっくり話せばいいよ」と言わないでほしい、と書かれています。特別なことをするのではなく、待つことと、言わないでおくことのほうが中身です。緊張と吃音の関係そのものは緊張と吃音の記事で扱います。

接客する側として立ちたい場合は、公式サイトにスタッフ応募の窓口が置かれています。吃音のある若者の全国組織が開いた年次大会では、参加した10〜18歳の22人について、吃音が生活にどれくらい否定的な影響を与えているかを測る質問紙の得点が、大会の前と直後を比べて下がったと報告されています。ただしこれは比較のための対照群を置かない前後比較なので、効果が確かめられたという意味ではありません。原典の抄録は同じ質問紙を大会の3か月後にも実施したと書いていますが、そこまで差が続いたかどうかは書かれていません。

東京で、来月も再来月も開いている場所

ここからが、この記事のいちばん実用的なところです。一日限りの催しではなく、毎月決まった日に開かれている場が、東京にはあります。

社会人になってから東京言友会の例会に初めて参加した、二児の父の吃音当事者(個人ブログ note)

金曜日、仕事を終え、山手線に乗って金曜例会のある田町へ向かいました。東京都障害者福祉会館が例会の会場でした。会場となる部屋へ入ると、10人くらいの人が部屋の中心を囲むように並べられたテーブルに座っていました。学生らしい若い人から白髪の年長者まで、幅広い年代の人がいました。

……正直、この日に何をしたかはあまり覚えていません。確か、皆で軽く自己紹介をして、そのあと、何かお題のようなものについて皆で和気あいあいと話し合ったように思います。そして、僕を含め初参加の人が、吃音についての悩みなどを話したような気がします。

就職活動で吃音に苦労した経験があり、社会人になってからも吃音が常に意識のなかにある状態だった、とこの人は書いています。いずれ会社で電話に出なければならない、という予感もありました。ネットで調べるうちに「言友会」という集まりがあることを知り、東京にも団体があって金曜の夜に定例会をやっているらしいと分かって、行ってみることにした——そういう経緯です。それまで自分以外に吃音のある人と会ったことはありませんでした。例会のあとは、希望者で近くのカフェへ行ったとも書かれています。この文章にある田町の東京都障害者福祉会館は、いまも第4週金曜の例会の会場として案内されています。

出典: 僕の吃音歴(吃音に関わる活動編① セルフヘルプグループとの出会い)(note・hiro)(台帳: V0011)

東京言友会は、吃音のある人どうしが集まって話す会です。こうした会はセルフヘルプグループ、あるいは自助グループと呼ばれます。公式サイトによれば、例会は月2回。第2週土曜が巣鴨の事務所で15時から17時まで、第4週金曜が三田の東京都障害者福祉会館で18時30分から20時45分までと案内されています。入会前の見学は歓迎で、事前の連絡もいらず、途中から参加しても途中で退室してもかまわないと書かれています。参加費は、会員以外は初回無料・2回目以降500円と案内されています(2026年1月1日改定)。オンラインの交流会が別に開かれることもあります。

もうひとつ、同じ東京都障害者福祉会館(港区芝5-18-2)では、会館が主催し、東京言友会の相談員が対応する吃音の相談枠があります。毎月第4日曜の13時30分から16時30分まで、費用は無料で、会場へ直接行っても電話でも利用できると案内されています。同じ立場の人が相談に乗る形で、こうしたやり方はピアカウンセリングと呼ばれます。

東京で毎月開かれる3つの枠の曜日と時間帯。東京言友会の例会は、第2週土曜が巣鴨で15:00〜17:00、第4週金曜が三田で18:30〜20:45。東京都障害者福祉会館の吃音相談は第4日曜の13:30〜16:30で、費用は無料。土曜の午後・金曜の夜・日曜の午後と、時間帯が分かれている
図1: 東京言友会の例会と、東京都障害者福祉会館の吃音相談は、曜日も時間帯も違う。出典: 一般社団法人 東京言友会 公式サイト/同「東京都吃音者相談会」(2026年8月30日閲覧).

なお、全国組織である全国言友会連絡協議会は、子どもの吃音への対応の確認や医療機関の紹介といった個別の相談には原則として応じられないとし、希望する場合は近くの加盟団体に連絡してほしいと明記しています。同会の加盟団体一覧の関東ブロックには、東京言友会などが並んでいます。つまり、入口になるのは全国の窓口ではなく、住んでいる地域の団体のほうです。

こうした団体が何をしている場なのかは、学会の公式解説がまとめています。吃音のある当事者が「吃音があるのは自分だけではない」ということを認識し、共通の体験を語り合い、苦悩を分かち合い、互いに援助し合うことが、おおむね活動の中心だとされています。

「行けばいい」で終わらせない——行っていない人のほうが、ずっと多い

ここまで読んで、場所は分かったけれど足が向かない、と感じた人がいると思います。その感覚のほうが、実は多数派です。

20代の吃音当事者(個人ブログ note。学生時代の配慮について書いたエッセイ)

吃音のある人が生きやすくなる配慮があっても、用意してもらっても、そこに入れない人がいる。遠くに、息がしやすい島を見つけても、そこに行くのが怖かったり、その島に行くことを許せなかったり、その島にいる自分が嫌だったり。つまりそれは、自分に吃音があることを認めたくないということ。認められないということ。痛いほど分かる、その気持ちが。きっと、私だけじゃないと思う。

静かに、諦めたり我慢したり黙ったり、そういうことで自分を守っている人がたくさんいる。私と同じ人がきっといる。

この人は、高校生までどんなに辛くても配慮を一切お願いせず、一人で耐えていたと書いています。大学生のとき、英語の授業でどうしても言葉が出ず、先生に吃音のことを打ち明けて配慮を受けました。それでもクラスの人の前で症状を見せることに耐えられず、授業を休み続けて単位を落としています。翌年、いちばん下のクラスに移ってようやく単位を取りました。用意された手を掴むまでには段階がある——エッセイはそのことを、自分の学生時代を並べながら書いています。数字の側から見ても、案内された場に行っている人はごく一部です。

出典: 配慮を掴めない(note・ちな)(台帳: V0152)

英語圏のオンラインの支援グループ、英国の全国団体、そして英国マンチェスターの地域グループの原データから推定した研究では、吃音のある成人のうち当事者のコミュニティに関わっている割合は、国際的な集まりで0.99%、全国団体で0.63%、地域のグループで1.01%でした。同じ論文は、実際の関与はこれより低かったはずだとも述べ、結論として吃音のある成人のうち当事者コミュニティに関わっているのは1%未満だとしています。日本の数字ではありませんが、桁の感覚はつかめます。

吃音のある成人のうち、当事者のコミュニティに関わっている割合の推定。英語圏のオンライン支援グループ(国際)で0.99%、英国の全国団体で0.63%、英国マンチェスターの地域グループで1.01%。3つの原データからの推定で、実際の関与はこれより低かったはずだと原典は述べ、結論として1%未満だとしている
図2: 案内された場に行っている成人は1%未満、と原典は結論づけている。出典: Gattie, Lieven & Kluk (2025) J Fluency Disord.

行っていないことは、その人の努力の問題ではありません。吃音のある成人264人へのインターネット調査では、社会的な孤立が成人当事者として生きる経験に広く共通していることが自由記述から示されました。同じ調査で、孤立の強さと結びついていたのは、不安やうつの自己申告の診断ではなく、吃音を隠さずにいようとする姿勢が少ないことと、外向性の低さのほうでした。原典は、孤立には性格の違い・環境の要素・これまでの経験が関わっているとしています。

逆に、行った経験と結びついている数字もあります。日本の成人当事者180人へのオンライン調査では、自助グループの経験があること、自己受容が高いこと、自己スティグマ(自分で自分を否定的に見てしまう気持ち)が低いことが、吃音を打ち明ける水準の高さと関連していました。ただしこれは一時点で測った調査で、どちらが原因でどちらが結果かを示すものではありません会に行ったから打ち明けられるようになった、とは読めない、ということです。

子どもと保護者が行ける場は、東京にあるのか

「吃音親子カフェ」という言葉で探している人もいます。大人の当事者会とは別に、子どもと保護者が一緒に行ける場を探しているケースです。

小学4年の娘と初めて吃音の親子キャンプに参加した母親(自助団体のサイトに寄せられた保護者の手記)

娘に感想を聞くと、「楽しかった! 自分の他にもどもっている人はたくさんいることがわかった。また来年も行きたい!」と言っていました。

この感想を聞けただけで、私は、思い切ってキャンプに参加して、よかったなと思います。小4は1人だけで、女の子もいませんでしたが、卒業後スタッフとして参加されていた方々、またスタッフの皆様のあたたかさがあってこその、娘の発言だと思います。

旅慣れていない家族で、まず準備をすることから大変だった、とこの母親は書いています。3日間のキャンプで、同じ学年の子は娘ひとり、女の子もいませんでした。それでも、終わってみると親子ともにとても大きな経験をさせてもらったと振り返っています。子どもが持ち帰ったのは、技術ではなく「自分の他にもどもっている人はたくさんいる」という一つの発見でした。学会の公式解説も、こうした団体の活動の中心は、吃音があるのは自分だけではないと認識し、共通の体験を語り合うことだとしています。

出典: 保護者の体験(吃音と上手につきあうための吃音相談室・日本吃音臨床研究会)(台帳: V0108)

東京でも、こうした親子の集まりが開かれた記録があります。2026年9月6日には、学会大会の共催イベントとして「第11回 親子きつおん交流会」が、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターと、オンラインとのハイブリッドで告知されていました。対象は吃音のある小学生から高校生とその保護者、学校の先生などで、参加費は無料、事前申し込み制(先着順)と案内されています。主催は横浜の当事者団体と学会大会で、後援に全国言友会連絡協議会が入っています。

これは一回きりのイベントの告知です(2026年8月30日に閲覧)。この記事を読んでいる時点では終わっている可能性が高く、「毎年ある」「今も申し込める」という根拠にはできません。同じ主催者が次を開くかどうかは、それぞれの団体の告知でご確認ください。

もう一つの入口は学校です。たとえば大田区は、在籍している学校から別の設置校に通って個別や少人数の指導を受ける「通級指導学級」を小学校4校・中学校1校に置いており、その種別として「言語障がい」を挙げています。ただしこの区の案内ページに「吃音」という語は一度も出てきませんですから「吃音の子が必ず通える」とは読まず、まずは相談の入口として考えるのが正確です。区は、こうした指導の利用については在籍している学校に相談するよう案内しています。

「当事者会」は、行くと何をするところなのか

当事者会という言葉は聞くけれど中身が想像できない、という人のために、資料が書いていることを整理しておきます。当事者会とは、同じ困りごとを持つ人が集まって話す会のことです。

学会の公式解説によれば、日本にはさまざまな吃音の自助団体があり、団体によって目的も規模も違いますが、活動の中心はおおむね共通しています——吃音のある当事者が「吃音があるのは自分だけではない」ということを認識し、共通の体験を語り合い、苦悩を分かち合い、互いに援助し合うことです。そのなかで1965年に発足した言友会は日本で最も歴史が古く、定例会や全国大会を開いていると記されています。近年では若者を対象とした団体や、女性の集いを開く団体もあります。世界的には1995年に国際吃音連盟が設立され、10月22日を国際吃音啓発の日と定めています。

実際に通っている人が何を得たと語っているかを調べた研究もあります。南アフリカで自助グループに通う成人当事者13人に電話で聞き取った質的な研究では、13人中7人(53.9%)が、会に出て、吃音とともに生きているのは自分だけではないと気づいたと語りました。これは20歳から58歳までの13人の語りをまとめたもので、効果を測った試験ではありません。

南アフリカで自助グループに通う20〜58歳の成人13人への聞き取りで、会について語られた内容と、それを語った人数。吃音を受け入れられるようになった8人、自信がついた5人、吃音とともに生きるのは自分だけではないと気づいた7人、会は互いに支え合う場だ3人、ほかの当事者からやり方を学べる7人、励まされ力づけられた5人、安心して話せる場だと感じた9人、言語聴覚士が進行に入るのがよい2人。1人が複数を語っている
図3: 通っている13人が語ったのは、受け止め方・つながり・学びのことだった。出典: Bloye, Abdoola & Eslick (2023) S Afr J Commun Disord.

学会の解説も、吃音の自助団体に参加してほかの吃音のある人と出会うことが、吃音を否定的に捉えることが減るといった心理的な変化のきっかけになることもある、という書き方をしています。「なることもある」であって、「なる」ではありません。行けば必ず何かが変わる場所として案内するのは、資料の書き方を超えています。

情報はいちばん先に古くなる——東京で確かめる3つの入口

この記事に書いた日程や費用は、2026年8月30日に各サイトを見た時点のものです。会場の都合や担当者の交代で、こうした情報はすぐに変わります。日付を覚えるより、確かめ方を持っておくほうが長持ちします。入口は3つあります。

  • 大人の当事者会を探すとき— 全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧から、住んでいる地域の団体を探します。関東ブロックには東京言友会などが載っています。全国組織のほうは個別の相談には原則として応じられないと明記しているので、連絡先は地域の団体になります。東京言友会の例会日程と参加費は、同会の公式サイトの予定表で確認できます。
  • 公的な施設の相談枠を使うとき— 東京都障害者福祉会館の吃音相談は、会館が主催し、東京言友会の相談員が対応する形で案内されています。会場へ直接行っても電話でも利用でき、費用はかかりません。日時は変わりうるので、会館に確認してから出かけてください。
  • 子どものことで相談するとき— まずは在籍している学校が入口です。区市町村の教育委員会に直接聞きたい場合は、東京都教育委員会が62の区市町村の教育委員会の所在地と電話番号を一覧にして公開しています。

そして、話しにくさそのものについて専門家に相談したいときの相談先も決まっています。学会の解説は、年齢や状態に合わせた指導について、小児を扱う言語聴覚士や、ことばの教室の教員に相談するよう案内しています。次のようなときは、当事者会だけで抱えず、専門機関にも相談することを考えてみてください(あくまで目安で、当てはまらなくても相談して構いません)。

  • 子どもの吃音が就学が近づいても続いていて、園や学校での様子が気になる
  • 話しにくさのために、学校や職場で必要な連絡や発表ができなくなってきた
  • 話す場面を避けることが増えて、生活の範囲が狭くなってきた

治療や訓練として何が行われているかは、この記事の範囲を超えます。吃音の治療についての記事に別途まとめています。

「東京の吃音カフェ」で陥りがちな3つの落とし穴

落とし穴1 − 店舗を探し続けて、時間だけが過ぎる

公式ページが自ら、決まった地域での定期開催や常設店はないと書いています。地名を足して探す限り、店は出てきません。探すものを「店」から「日付」に切り替えるのが近道です。開催情報は公式サイトとXに出ますし、予約制の回の案内は約2週間前あたりだと書かれています。それより早く探しても、まだ出ていないことのほうが多いはずです。

落とし穴2 − 「行けば変わる」と思って行く/行けない自分を責める

当事者会について資料が書いているのは、参加が心理的な変化のきっかけに「なることもある」という言い方までです。実際に通っている人への聞き取りでも、自分だけではないと気づいたと語ったのは13人中7人でした。そして、吃音のある成人のうち当事者コミュニティに関わっているのは1%未満と推定されています。行っていない人のほうが圧倒的に多く、それは怠慢ではありません。孤立には性格の違いや環境、これまでの経験が関わっているとされています。

落とし穴3 − ネットで見つけた日程を、そのまま信じて出かける

この記事も含めて、ウェブに載っている日程は書かれた時点のものです。東京言友会の例会は第2週土曜と第4週金曜で案内されていますが、開催時間が変更されたという告知が同じページに出ていました。公式ページの開催一覧にも、同じ日付が曜日ちがいで載るなどの揺れがあります。出かける前に、主催者の予定表か会場に一度あたってください。

行ける場所が見つかるまでのあいだ、どんな場面で話しにくいのか、どのくらいの頻度なのかを書き留めておくと、相談のときに役に立ちます。まずは気づいたことを記録するところから小さく始め、相談できる状況になったら、言語聴覚士やことばの教室に持っていくのが確実です。

よくある質問

「吃音カフェ」に東京の常設店はありますか?

公式ページは、接客をしたい若者や企業からの依頼を受けて開催するため、決まった地域での定期開催や常設店はないと書いています。東京では世田谷・中野・品川・大田・渋谷・港・台東・荒川などで、そのつど別の会場で開かれてきたと記載されています(2026年8月30日閲覧時点)。

予約はいつ、どこで案内されますか?

予約制の回は、開催の約2週間前あたりに公式サイトとXで案内されると書かれています。ただし、主催者の希望でお客さんを一般募集しない回もあると明記されているので、日程が出ていても告知が出ないことがあります。

東京で、毎月行ける吃音の集まりや相談先はありますか?

東京言友会は例会を月2回(第2週土曜・巣鴨/第4週金曜・三田)開いており、入会前の見学は事前連絡がいらず、途中参加もできると案内しています。東京都障害者福祉会館では、毎月第4日曜の午後に、同会の相談員による無料の吃音相談が行われていると案内されています。全国組織は個別相談に原則として応じられないため、連絡先は地域の加盟団体になります。いずれも取得時点の案内なので、行く前にご確認ください。

当事者会に行かないといけませんか?

いいえ。吃音のある成人のうち当事者コミュニティに関わっているのは1%未満と推定されており、行っていない人のほうがはるかに多数です。社会的な孤立は成人当事者に広く共通した経験だという調査もあり、その背景には性格の違いや環境、これまでの経験が関わっているとされています。行けないことを自分の問題として抱え込む必要はありません。

子どもや保護者が行ける場はありますか?

2026年9月6日には、学会大会の共催イベントとして親子きつおん交流会が、東京都渋谷区の会場とオンラインで、無料・事前申込制で告知されていました。ただしこれは一回きりの告知です。学校側の入口としては、区が「言語障がい」の種別で通級指導学級を設置している例があり、利用の相談はまず在籍校が窓口になります。区市町村の教育委員会の連絡先は、東京都教育委員会が一覧を公開しています。

まとめ

  • 「吃音カフェ」=「注文に時間がかかるカフェ(Slow Order Cafe)」は依頼を受けて開く催しで、公式ページ自身が、決まった地域での定期開催や常設店はないと書いている。地名で店を探しても出てこないのは、そのためである。
  • 東京では2021年8月の世田谷区を皮切りに、8つの区での開催が公式ページに並ぶ。予約制の回の案内は約2週間前あたりで、一般募集をしない回もある(2026年8月30日閲覧時点)。
  • 公式ページはこのカフェを「吃音のある人同士の交流というよりは、一般のカフェ」と位置づけている。当事者どうしで話す場を探しているなら、行き先は別にある。
  • 東京で継続的に開かれているのは、東京言友会の例会(月2回・見学は事前連絡不要)と、東京都障害者福祉会館での無料の吃音相談(毎月第4日曜の午後)。全国組織ではなく地域の加盟団体が入口になる。
  • ただし、当事者コミュニティに関わっている成人は1%未満と推定されており、行っていないことは責める材料にならない。自助グループの経験と打ち明けやすさの関連を示した日本の調査もあるが、因果を示すものではない。
  • 子ども・保護者向けの集まりは東京でも開かれた記録があるが単発の告知で、継続の根拠にはできない。学校側の入口は在籍校と区の教育委員会である。話しにくさそのものの相談先は、言語聴覚士とことばの教室。

参考文献

  1. 注文に時間がかかるカフェ|Slow Order Cafe 公式サイト(2026年8月30日閲覧)
  2. 一般社団法人 東京言友会 公式サイト(2026年8月30日閲覧)
  3. 一般社団法人 東京言友会「東京都吃音者相談会」(2026年8月30日閲覧)
  4. 特定非営利活動法人 全国言友会連絡協議会「加盟団体一覧」(2026年8月30日閲覧)
  5. 日本吃音・流暢性障害学会 広報委員会「吃音について」
  6. 日本吃音・流暢性障害学会 第14回大会「親子きつおん交流会」(2026年8月30日閲覧)
  7. 大田区ホームページ「特別支援教育」(2026年8月30日閲覧)
  8. 東京都教育委員会「区市町村教育委員会所在地等一覧」(2026年8月30日閲覧)
  9. Gattie, Lieven & Kluk (2025) Adult stuttering prevalence II: Recalculation, subgrouping and estimate of stuttering community engagement. J Fluency Disord.
  10. Bloye, Abdoola & Eslick (2023) Why do people who stutter attend stuttering support groups? S Afr J Commun Disord.
  11. Gerlach, Hollister, Caggiano & Zebrowski (2019) The utility of stuttering support organization conventions for young people who stutter. J Fluency Disord.
  12. Tichenor, Gore, Palasik & Yaruss (2026) Social Isolation in Adults Who Stutter: A Mixed-Methods Investigation of Risk and Correlates. Am J Speech Lang Pathol.
  13. Iimura, Takahashi, Aoki et al. (2026) Relationships between psychosocial aspects of stuttering and self-disclosure of stuttering in a Japanese sample. J Fluency Disord.

当事者の声の出典: V0153(note・shima)/ V0244(関西テレビ カンテレ「特集」2022年10月25日)/ V0011(note・hiro)/ V0152(note・ちな)/ V0108(日本吃音臨床研究会「保護者の体験」)。いずれも公開記事。引用は原文どおり。話者を特定できる氏名は、事実シートに記載があっても記事には書いていません。

更新履歴: 2026-08-30 公開

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