吃音の相談先が近くにない|オンラインで足りるか・3つの入口

吃音の相談先が近くにない|オンラインで足りるか・3つの入口
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「吃音を診てくれるところを調べたけれど、県内に一つも見当たらない」「見つかったと思ったら、車で片道1時間かかる」——相談先を探し始めた人が最初にぶつかるのは、たいてい話の中身ではなく距離のほうです。近くにいないという事実だけで、探すのをやめてしまいそうになりますよね。

この記事は、その「距離」という前提そのものを一度外してみます。オンラインで受けた場合と対面で受けた場合を比べた研究、最初の一回だけは話が別になる理由、そして窓口の名前を知らなくても辿り着ける公的な入口を、当事者4人の言葉と一緒に並べていきます。

ソンタクマン(toVoice 運営)
吃音当事者。研究論文と当事者の声をもとに、吃音の情報を出典つきで発信しています。

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の判断に代わるものではありません。気になる症状があるときは、言語聴覚士やことばの教室にご相談ください。

まず結論から

  • 吃音では、オンラインで届けた場合と対面で届けた場合を比べても、どもった音節の割合に、治療の直後から18か月後までどの時点でもはっきりした差は見られませんでした。
  • ただし、まとめられた試験の数が少ないこと、生活の質・満足度・費用についての証拠が乏しいことを、同じ研究が限界として挙げています。
  • 遠隔と対面の両方を受けた人への聞き取りでは、対面のほうがよいと答えた人が最も多い一方、参加者全員が遠隔を他の吃音のある人にも勧めると答えました。
  • 最初の評価と診断まで遠隔でできるかどうかは、まだ確かめられていません。
  • 近くの窓口の名前を知らなくても、病院に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会・各都道府県の言語聴覚士会に尋ねる、という経路が案内されています。

ただし、「差が見られなかった」は「どんな場合でも同じ」という意味ではありません。体に触れる診察ができない問題への対処として、初回は対面での受診が勧められていますし、年齢によって向き不向きもあるとされています。

相談できる場所が、そもそも近くにない

近くで吃音を診てもらえるところを探し始めると、たいてい同じ順番で行き止まりに当たります。まず住んでいる地域の名前と「吃音」で調べる。それらしい名前がひとつかふたつ見つかる。地図を開いて、そこまでの距離を知る——という順番です。

名前が分かったあとに残るのが、この距離のほうです。次の手記は、インターネットがまだ普及していなかった時代の話ですが、距離の重さそのものは今もあまり変わっていません。

物心ついた頃から吃音のある男性(愛知県。NHK障害福祉賞の最優秀作品として全文が公開されている手記)

当時はインターネットもまだまだ黎明(れいめい)期で、情報を集めるのが本当に難しい時代だったはずですが、新聞で吃音のある人のセルフヘルプグループの記事を見つけ、僕に参加してみることを勧めてくれました。当時、中学校二年生の反抗期真っ盛りでしたが、僕は意外と素直に応じ、車で一時間くらいかかる会場に父と一緒に行きました。

新聞の小さな記事を見つけたのは、中学校の教員をしていた父親でした。情報を集めること自体が難しかった時代に、紙面のその一本が唯一の手がかりになっています。会場までは車で一時間。反抗期の只中にいた中学二年生の本人は、意外と素直に応じて父の運転で出かけました。ここで確かめておきたいのは、この一時間が特別な事例ではないということです。相談できるところが数えるほどしかない地域では、話の中身より先に距離のほうが立ちはだかります。そして研究の側でも、この距離のことは遠隔での提供を検討する理由として整理されています。

出典: 第52回NHK障害福祉賞 最優秀作品「ことばを取り戻す」(NHK厚生文化事業団)(台帳: V0113)

吃音の遠隔での支援(テレプラクティスと呼ばれる、通信の技術を使って離れたところへ言語聴覚療法を届ける方法)について、使われ方を左右する要因を四つに分けて整理した包括的なレビューがあります。そこでは、地理的な距離による受診のしにくさは、遠隔での提供によって取り除きうると整理されています。予約を自分の生活の都合に合わせやすくなること、通うために仕事や学校を休む時間が減ることも、同じ整理の中に並んでいます。

ただし、このレビュー自身は、遠隔を対面の置き換えとは位置づけていません。結論の部分では、遠隔は吃音の治療において対面を補う方法として使えるものであり、対面の受診に取って代わるものとは考えられない、と述べられています。距離の問題が小さくなることと、対面が要らなくなることは、別の話だということです。

画面越しでも、対面と同じ結果になるのか

「オンラインで受けられます」と言われても、素直にうなずけない感覚は残ります。それは技術への不信というより、会って話すことでしか起きないものがある、という実感に近いものです。その実感は、当事者の側にもあります。

北海道言友会の会員である当事者本人(札幌で開かれた上映会と語り合いの会に参加した日の個人ブログ)

お会いできて良かったと思うのと、会ってみないとわからないなぁと改めて。

ここ数年、北海道言友会の活動に参加するのが前向きではない。その理由は「ネットで繋がれてるから」なのだけど、今回のイベントで「会ってみないとわからん」と改めて思いました。

自助団体に所属している当事者が、市内の施設の6階で開かれた会に出た日の記録です。参加者は10人ほど。上映のあと、軽い自己紹介を挟んで、お菓子を食べながらの質疑応答という進み方でした。ここ数年、集まりに足が向かなくなっていた理由を、本人は「ネットで繋がれてるから」と書いています。その人が、当日その場に居合わせたことで「会ってみないとわからん」と書き直している——画面越しでは足りないのではないかという感覚は、確かにあるということです。では、治療として測ったときはどうなるのでしょうか。

出典: 「当事者の語りがアートになるとき」札幌上映会&お喋り会雑感(吃音(どもり)ネタを貼ってくブログ)(台帳: V0246)

あらかじめ条件を決めて研究を集め、まとめて評価する方法は系統的レビューと呼ばれます。言語聴覚療法をオンラインで届けた場合と対面で届けた場合を、参加者をくじ引きのように振り分けて比べた試験(無作為化比較試験)だけに絞って評価した系統的レビューが、2025年に出ています。

このうち吃音を扱った試験について、どもった音節の割合は、治療が終わった直後・6〜9か月後・18か月後のいずれの時点でも、遠隔と対面のあいだにはっきりした差が見られませんでした。研究どうしの食い違いもごく小さいものでした。吃音の重さの評定でも、二つの試験がそろって差を示していません。

オンラインで届けた場合と対面で届けた場合の、どもった音節の割合の平均差を3つの時点で並べた図。治療の直後はマイナス0.17(95%信頼区間 マイナス2.18〜1.84)、6〜9か月後は0.65(マイナス0.21〜1.51)、18か月後は0.10(マイナス0.39〜0.58)。どの時点でも横線が0をまたいでおり、原典は「はっきりした差は無かった」としている。ただし束ねられた試験は2本で、生活の質・満足度・費用の証拠は乏しいと原典が断っている
図1: どもった音節の割合は、どの時点でも遠隔と対面ではっきりした差が見られなかった。出典: Scott, Clark, Cardona et al. (2025) J Telemed Telecare.

ただし、同じ研究が限界も述べています。束ねられた無作為化比較試験の数が少ないこと、そして生活の質・満足度・費用についての証拠が乏しいことです。実際、吃音を扱った二つの試験は、どちらも生活の質を測っていません。「差が無いと確かめられた」のではなく、「比べられた範囲では差が見えなかった」——いまはそこまでです。

受けた人がどう感じたかは、また別の話になります。遠隔と対面の両方を受けた11人に聞き取った研究では、対面のほうがよいと答えた人が5人(46%)で最も多く、遠隔のほうがよいと答えた人が3人、どちらとも決められない人が3人でした。それでも、参加者全員が遠隔を他の吃音のある人にも勧めると答えています。なおこの研究は、自己申告に頼っていること、人数が少ないこと、一つの施設の利用者に限られることを、自ら限界として挙げています。

オンラインと対面の両方を受けた11人に、どちらがよかったかを聞いた結果。対面のほうがよいが5人、遠隔のほうがよいが3人、どちらとも決められないが3人。対面がよいと答えた人が最も多かったが、11人全員が遠隔を他の吃音のある人に勧めると答えている
図2: 気持ちの上では対面がよいという人が多く、それでも全員が遠隔を勧めた。出典: Hoosain, Abdoola, Krüger & Pillay (2025) S Afr J Commun Disord.

最初の一回だけは、まだ話が別

ここまでを読むと「では全部オンラインで」と考えたくなりますが、そこにひとつ段差があります。治療を続ける段階と、最初に見てもらう段階は、いまのところ同じようには扱えません。

そしてその最初の一回にたどり着くまでが、そもそも簡単ではない、という記録があります。

オーストラリア在住の成人当事者(難発。治療の記録に絞った個人ブログ。当時は在学中で11月に口述試験を控えていた)

メルボルンの3つの病院にメールを送って治療期間や費用を聞きました。費用とGoogleマップのレビューを見てメルボルンセントラルから一時間ほどの病院に決めました。

語学力の問題で言いやすい言葉への言い換えが使えなくなり、授業やカフェで注文することにも支障が出たところから、治療できる病院を探し始めた人の記録です。三つの病院にメールを送って期間と費用を尋ね、返ってきた金額と地図アプリの評価を並べて、片道一時間ほどの病院に決めています。ここで起きているのは治療そのものではなく、治療にたどり着くまでの手間のほうです。そして、この「最初の一回」については、遠隔でどこまでできるのかがまだ確かめられていません。

出典: キャンパーダウンプログラム吃音治療 〜初診〜(アメブロ)(台帳: V0091)

吃音の遠隔治療を集めて整理した系統的レビューは、ビデオ通話での治療は有望な届け方だとしたうえで、最初の評価と診断まで遠隔でできるかどうかを判断するには、さらに研究が必要だと結論しています。有望かどうかと、入口から任せられるかどうかは、別々に扱われているということです。

先ほどの包括的なレビューも、同じところで慎重です。遠隔では体に触れる診察ができないという問題への対処として、患者の状態を評価し診断できるように、初回のセッションは対面で行うことが勧められています。

この二つを合わせると、問い合わせるときの現実的な聞き方が見えてきます。「全部オンラインでできますか」ではなく、「初回だけそちらへ伺って、その後を遠隔にできますか」です。片道一時間を毎週ではなく、一度だけにできないか、という交渉に変わります。

名前を知らなくても、たどり着ける道がある

ここまでは「どう受けるか」の話でした。残るのは「どこに連絡するか」です。相談室や病院の固有名を先に探すと、その名前が見つからない地域では手詰まりになります。名前ではなく入口の種類から辿る方法があります。

保護者の語り(吃音のある幼稚園児の息子をもつ母/自助団体の公式noteのインタビュー。記事内の呼称は「Aさん」)

その後すぐに、地域の保健センターに電話をして、「病院から、はっきり『診断書は出せない』と言われてしまって困っています」って言ったんです。そしたら、「それでしたら、こちらでやりましょう。」となって、話が進み始めたんです!

転居先で息子の小学校生活を考え、放課後等デイサービス(学校のあとや休みの日に子どもが通える福祉サービス)を使うには受給者証という書類が要ると知って動き出した母親の記録です。役所は診断書があれば取れると言い、療育センターは診断書は要らないと言い、区役所は保健センターへ行くように言い、病院からは書類は出せないと言われる。誰もがあまり分かっていないという感じだった、と本人は振り返っています。行き詰まりが動いたのは、有名な窓口を探し当てたからではなく、地域の保健センターという公的な入口に一本電話をかけたことでした。

出典: 「全てが曖昧で、情報に振り回されて大変でした。」吃音がある幼稚園児のお母様にインタビューしました。(北海道吃音・失語症ネットワーク note)(台帳: V0075)

入口の種類は、大きく三つに分けて覚えておくと辿りやすくなります。

ひとつめは、言語聴覚士です。吃音ポータルサイトは、言語聴覚士の指導・支援を希望する場合は、あらかじめ病院等に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会、各都道府県の言語聴覚士会に尋ねるよう案内しています。個々の病院の名前を知らなくても、県の単位でまとめて聞ける先があるということです。実際、日本言語聴覚士協会のサイトには都道府県士会の一覧が置かれ、47都道府県ぶんが並んでいます。なお、言語聴覚士が扱う仕事の範囲は広く、必ずしも全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではない、とも案内されています。その見分け方は吃音と言語聴覚士の記事にまとめてあります。

ふたつめは、教育の側です。「教育センター」や「特別支援教育センター」は各都道府県、政令指定都市等に設置されており、子どもと保護者、教員を対象に教育相談を行っていると案内されています。市区町村の教育委員会も、教育相談と就学相談を併せて行っているとされています。多くの機関では電話による相談と来所相談があり、学校への巡回相談に応じているところもあります。

みっつめは、福祉の側です。発達障害者支援センターは各都道府県や政令指定都市に設置された公的な施設で、幼児から成人までが対象とされています。ただし、人口規模や面積、交通アクセス、地域の資源の有無などによってセンターの事業内容は異なるため、初めて利用する人や支援内容を詳しく知りたい人は、まず住んでいる地域を担当しているセンターに問い合わせるように、と国立障害者リハビリテーションセンターは案内しています。

この記事に県別の一覧や電話番号を写していないのは、地域の窓口の情報が変わりやすいからです。担当者も、所在地も、ときにはサイトそのものも入れ替わります。名前を書き写すより、上の三つの入口から今の情報に自分で辿り着けるようにしておくほうが確実です。

どこから始めればよいか迷うときの目安は吃音症チェックの記事(受診の目安と相談先)に、学齢期の「ことばの教室」や言語聴覚士が実際に何をするのかは吃音のリハビリの記事にまとめてあります。

オンラインが向く場面、向きにくい場面

遠隔は、誰にでも同じように向くわけではありません。整理されている条件のうち、はっきりしているのは年齢です。

先ほどの包括的なレビューは、遠隔は6歳より上の子どもに向いており、年齢は考慮しなければならない重要な要因だと述べています。その直前に置かれているのは、子どもの注意を引きつけるのが難しいために、遠隔が子どもには向かない場合があるという指摘です。同じレビューには、声の小さい内気な子どもとのあいだで良い関係をつくるのに障害があったという報告や、家でくつろいでいる子どもの注意を引くのがとても難しいという報告も並んでいます。

一方で、「内気」が逆向きに書かれている箇所もあります。何らかの理由で治療者に直接会って相談することができない内気な人にとっては、とくにやりとりを同時に行わない形の遠隔のほうが望ましい、というものです。同じ言葉でも、子どもについて書かれていることと、そうでない場合に書かれていることが違う、ということです。

学齢の子どもについては、6〜12歳の37人を対象にした試験があります。親がビデオ通話で指導を受け、リッカム・プログラムという方法を家庭で行うもので、本格的な比較試験の前に有望かどうかを見る段階の試験(第II相試験)として実施されました。開始から12か月の時点で、次の段階の基準に達したのは12人(32.4%)でした。研究者はこれを「およそ3分の1」と表現し、この年齢層については無作為化比較試験が求められるとも述べています。

移動の時間とお金は、どう変わるか

通う先が遠いとき、天秤にかかるのは効果だけではありません。時間と費用がどう動くかも、いくつか測られています。

先ほどの系統的レビューが束ねた試験のうち、幼い子どもを対象にした試験では、1回の相談にかかった時間の平均が対面で40.4分、遠隔で33.4分となり、この差ははっきりしたものでした。一方、大人を対象にした試験では、治療を終えるまでに言語聴覚士と接した時間の合計に、はっきりした差は見られませんでした(遠隔617分・対面774分)。同じ大人の試験で、遠隔での治療を「とても便利だ」と表現した人は、対面よりはっきり多くなっています。

費用の側では、遠隔を受けた人への聞き取りで、11人中8人(73%)が移動にかかる費用が減ったことを利点に挙げています。反対に3人(27%)は、携帯のデータ通信の費用が増えたと述べています。この研究は南アフリカで行われたもので、通信の環境や費用のかかり方は国や地域によって違います。日本の保険診療と自費の相談を金額で比べられる資料は手元に無いため、この記事では金額の比較には踏み込みません。

「近くにいない」で陥りがちな3つの落とし穴

落とし穴1 − 近くに無いという理由だけで、探すのをやめる

地理的な距離による受診のしにくさは、遠隔での提供によって取り除きうると整理されています。そして吃音では、遠隔と対面のあいだで、どもった音節の割合にはっきりした差が見られませんでした。「県内に一つも無い」は、そのまま「受けられない」ではありません。まず、病院等に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会・各都道府県の言語聴覚士会に尋ねる方法が案内されています。そこで「吃音を扱っている人がいるか」「オンラインに対応しているところがあるか」まで聞いてみる、というところから始められます。

落とし穴2 − 「差が無い」を「どんな場合でも同じ」と読む

差が見られなかったのは、比べられた範囲での話です。束ねられた試験の数は少なく、生活の質や満足度、費用についての証拠は乏しいとされています。最初の評価と診断まで遠隔でできるかどうかは、まだ確かめられていません。年齢による向き不向きもあるとされています。「オンラインで全部済む」と決めてから問い合わせるのではなく、どこまでを遠隔にできるかを相手に聞く、という順番のほうが噛み合います。

落とし穴3 − 見つけた窓口の情報を、そのまま当てにする

地域の窓口の情報は変わります。検索で上位に出てくるページが、すでに辿れなくなっていることもあります。発達障害者支援センターについても、事業内容は地域によって異なるため、まず住んでいる地域の担当センターに問い合わせるよう案内されています。電話をかける前に、いつ・どこに・何を聞いて・何と言われたかを一行ずつ書き留めておくと、次の窓口で最初から説明し直す手間が減ります。日々の話しにくさの記録も、相談の場で「どんな場面で出やすいか」を伝えるときに役立ちます。まずは書き留めることから小さく始め、相談できる先が見つかったらそちらが確実です。

よくある質問

オンラインの言語療法でも、対面と同じ結果になりますか?

吃音では、どもった音節の割合について、治療の直後から18か月後までのどの時点でも、遠隔と対面のあいだにはっきりした差が見られなかったと報告されています。ただし同じ研究が、束ねられた無作為化比較試験の数が少ないこと、生活の質・満足度・費用についての証拠が乏しいことを限界に挙げています。「差が無いと確かめられた」とまでは言えない段階です。

最初の1回目からオンラインで大丈夫ですか?

最初の評価と診断まで遠隔でできるかどうかを判断するには、さらに研究が必要だとされています。体に触れる診察ができない問題への対処として、初回のセッションは対面で行うことが勧められてもいます。初回だけ足を運んで、その後を遠隔にできるかを問い合わせるのが現実的です。

子どもでもオンラインで受けられますか?

遠隔は6歳より上の子どもに向いており、年齢は考慮すべき重要な要因だとされています。家でくつろいでいる子どもの注意を引くのが難しい、という報告も同じレビューにあります。6〜12歳の37人に親がビデオ通話で指導を受けて行った試験では、12か月の時点で次の段階の基準に達した子どもが12人(32.4%)でした。

近くに吃音を診てくれる人がいるか、どう調べればいいですか?

病院等に直接問い合わせるか、日本言語聴覚士協会、各都道府県の言語聴覚士会に尋ねる方法が案内されています。協会のサイトには都道府県士会の一覧が置かれています。教育の側では教育センター・特別支援教育センターが、子どもと保護者、教員を対象に教育相談を行っています。福祉の側の発達障害者支援センターは、事業内容が地域によって異なるため、まず担当のセンターに問い合わせるよう案内されています。

オンラインだと相談の時間は短くなりますか?

幼い子どもを対象にした試験では、1回の相談時間の平均が対面40.4分・遠隔33.4分で、この差ははっきりしたものでした。一方、大人を対象にした試験では、治療を終えるまでの言語聴覚士との接触時間の合計にはっきりした差はありませんでした。同じ試験では、遠隔を「とても便利だ」と表現した人が対面より多くなっています。

まとめ

  • 吃音では、遠隔と対面のあいだで、どもった音節の割合に治療直後から18か月後までどの時点でもはっきりした差は見られなかった。ただし試験の数は少なく、生活の質・満足度・費用の証拠は乏しいと同じ研究が断っている。
  • 遠隔と対面の両方を受けた人では、対面のほうがよいと答えた人が最も多かったが、参加者全員が遠隔を他の吃音のある人に勧めると答えた。
  • 最初の評価と診断まで遠隔でできるかはまだ確かめられておらず、初回は対面での受診が勧められている。問い合わせるなら「初回だけ伺って、その後を遠隔に」の形で。
  • 遠隔は6歳より上の子どもに向くとされ、年齢は考慮すべき要因とされている。学齢の子どもを対象にした試験では、12か月時点で基準に達したのは約3分の1だった。
  • 窓口の名前を知らなくても、言語聴覚士会・教育センター・発達障害者支援センターという三つの入口から辿れる。一覧を書き写さず、そのつど今の情報に当たること。

参考文献

  1. Scott, Clark, Cardona et al. (2025) Telehealth versus face-to-face delivery of speech language pathology services: A systematic review and meta-analysis. J Telemed Telecare.
  2. Bayati & Ayatollahi (2021) Comprehensive Review of Factors Influencing the Use of Telepractice in Stuttering Treatment. Healthc Inform Res.
  3. McGill, Noureal & Siegel (2019) Telepractice Treatment of Stuttering: A Systematic Review. Telemed J E Health.
  4. Hoosain, Abdoola, Krüger & Pillay (2025) How I experienced tele-intervention: Qualitative insights from persons who stutter. S Afr J Commun Disord.
  5. Johnson, Onslow, Carey, Jones & Kefalianos (2024) Lidcombe Program telehealth treatment for children 6-12 years of age: A Phase II trial. J Fluency Disord.
  6. 吃音ポータルサイト「成人の方/相談や支援」
  7. 日本言語聴覚士協会「都道府県士会一覧」
  8. 発達障害教育推進センター「身近な相談機関」
  9. 国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター「発達障害者支援センター・一覧」

当事者の声の出典: V0113(NHK厚生文化事業団「第52回NHK障害福祉賞」最優秀作品)/ V0246(はてなブログ「吃音(どもり)ネタを貼ってくブログ」)/ V0091(アメブロ「吃音治療をオーストラリアの主治医とともに」)/ V0075(北海道吃音・失語症ネットワーク 公式note)。いずれも公開記事。引用は原文どおり。

更新履歴: 2026-08-30 公開

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