まず結論から
- 九州大学病院で吃音の診療を担当しているのは、耳鼻咽喉・頭頸部外科の菊池良和 助教です。2026年4月22日に開かれた九州大学のセミナーの告知に「現在は、九州大学病院の耳鼻咽喉科にて吃音外来を担当しており、これまでに600名以上の診察を行ってまいりました」とあります。
- たどり着く順路は、まずかかりつけ医を受診し、そのかかりつけ医から初診患者専用の予約センターへ申し込んでもらい、紹介状と受診予約票を持って初診を受けるという形で案内されています。耳鼻咽喉・頭頸部外科の初診日は火・木です。
- 本人が電話で初診の予約を取る経路は案内されていません。案内には「初診の方は医療機関からの予約、および紹介状が必要です」とあり、紹介状が無いと治療費とは別に定額負担として医科7,700円がかかります。
- 担当医を指名できるか、紹介状をこの先生あてに書いてもらえるかは、公式の案内には書かれていません。
- 公式サイトの診療案内には「吃音」の語も吃音を冠した枠も無く、この先生の専門分野は「音声言語医学」と書かれています。名前が見つからないことは、診療が無いことと同じではありません。
ただし、ここに書けるのは「その時点の文書にそう書いてあった」というところまでです。担当しているという記述はセミナーの告知で、診療案内ではありません。外来担当医表にも、記載があっても変更になる場合があるので受診前に電話等で確認してほしい、と書かれています。
九州大学で吃音を診ている先生は誰か——公式の記載を時点の順に
「九州大学の吃音外来」と「菊池先生」は、多くの人の頭の中では同じものを指しています。ところが、九州大学病院の診療案内はその2つを結びつけて書いていません。そこで、九州大学と九州大学病院が自分で出している文書を、日付の古い順に並べます。
- 2025年10月8日・九州大学病院のお知らせ——耳鼻咽喉・頭頸部外科の菊池良和 助教が、西日本文化賞の奨励賞(学術文化部門)を受賞したという告知です。専門は吃音をはじめとした音声言語医学(声とことばの働きを扱う医学)で、九州大学病院など福岡県内2か所で全国的に珍しい「吃音外来」を開いている、と紹介されています。受賞の理由は、吃音症の研究と正しい知識の啓発を進め、多様性を支える社会の形成に努めた功績です。
- 2026年4月22日開催・九州大学 アジア・オセアニア研究教育機構のセミナー告知——講演者の紹介に、現在は九州大学病院の耳鼻咽喉科で吃音外来を担当し、これまでに600名以上を診察してきたこと、吃音に関する著書がこれまでに16冊あることが書かれています。
- 2026年8月22日更新・九州大学の研究者情報——所属は九州大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科、職名は助教。ひとことの欄には「吃音症を専門にしている医師です。」とあり、プロフィールには音声言語医学・嚥下医学・吃音の臨床、研究、教育を行っていると書かれています。
- 2026年8月30日取得・九州大学病院の外来担当医のご紹介と外来担当医表——この先生の専門分野は「音声言語医学」と書かれ、ページの中に「吃音」の語は出てきません。再診の表に並ぶ専門の枠にも、吃音を冠したものはありません。
並べてみると、「吃音外来」という呼び名はお知らせや告知の側で使われ、診療案内の側では診療科と専門分野の言葉で書かれていることが分かります。公式サイトの診療案内で名前を探しても見つからないのは、このためです。この記事で確かめられた中で、「吃音外来を担当している」とはっきり書いた九州大学の文書でいちばん新しいのは、2026年4月のセミナー告知でした。
一方で、これらの文書には、吃音の診療の対象年齢・曜日・予約の方法は書かれていません。お知らせにある「福岡県内2か所」のもう1か所がどこなのかも、このお知らせには書かれていません。受診の手順は、次の節から初診案内のほうで確かめます。
その先生に診てもらいたい——自分で電話して予約できるのか
担当の先生が分かったら、次は予約です。病院に電話をかければ、その日に予約が取れる——多くの人が持ってきたこの前提が、ここで一度崩れます。
40代半ばの当事者の声(吃音歴30年近く・高齢者福祉の相談員/個人ブログ note。受診先の病院名は原典で伏せられている)
「当院の規模的に、紹介状がない初診は自己負担額が高額となります。
先に近隣のクリニックで、紹介状を書いてもらえるか聞いてみてくださいね。」
親切にアドバイスをいただいた。
制度としては知っていたから、初診費用が高額になることも覚悟していたけれど、
せっかく提案をいただいたことだし、一旦クリニックを探してみることにした。
正式な診断を受けようと決めた書き手が、病院を探すところから書き起こしている記録です。住んでいる都道府県名と「吃音 外来」でインターネットを調べると、出てきたのはほとんどが子ども向けだった。「成人」の語を足してようやく近隣の都道府県で2か所を見つけ、そのうちの1つの外来予約窓口に電話をかけたところ、返ってきたのがこの案内でした。予約が取れるか取れないかの返事ではなく、先に別のところへ行ってほしいという順路の案内です。受診先の病院名は原典で伏せられていますが、九州大学病院の公開されている案内も、これと同じ形をしています。
出典: 吃音外来に行ってみました!受診体験記|吃音×社会福祉士(note)(台帳: V0252)
九州大学病院の耳鼻咽喉・頭頸部外科のページには、初診日は火・木、再診日は月・水・金と書かれ、そのすぐ下に「初診の方は医療機関からの予約、および紹介状が必要です」とあります。病院全体の初診案内は、その順路をもっと具体的に示しています。原則として医療機関からの紹介・予約制で、まず「かかりつけ医」を受診し、そのかかりつけ医が初診患者専用の「予約センター」へ初診の予約を入れる流れです。菊池先生に診てもらいたい場合も、入口はこの順路です。先生の名前から入る別の予約窓口は、公式の案内には書かれていません。
同じページの注意欄には、紹介状を持っていないと治療費とは別に定額負担として医科7,700円が必要になること、紹介状が無い場合は受診できない診療科があること、そして医科の再診でも1年以上あけて受診する場合は初診の扱いになることが書かれています。
この「電話をかける」工程そのものが、吃音のある人にとって軽くないことも報告されています。米国で吃音のある成人16人に聞き取った研究では、受付の職員と電話で話すことがとくに強い抵抗の原因になっていました。参加者は吃音の大会で募られた16人で、著者ら自身がその偏りを限界として挙げています。九州大学病院の順路では、予約センターへの申し込みはかかりつけ医の側が行います。電話が負担な人にとっては、自分でかけずに済む道が最初から用意されているとも読めます。
紹介状はどこでもらう? 先生を指名できるのか
「紹介状が要る」と分かると、次に浮かぶのは「どこで書いてもらえばいいのか」「その紹介状を、あの先生あてにしてもらえるのか」という2つの問いです。
当事者本人の寄稿(石黒栄亀・研究職/NPO法人日本吃音協会のメディア)
数日後、その先生から直接スマホに電話がありました。
「自分の後輩に、吃音外来をやっている医師がいる。話したらそちらに繋げてもらって構わない」ということでした。
3か月の予約待ちの後、特急列車に乗って自宅からやや離れた都市の病院へ出かけました。
電車をさらに乗り継いで、病院で受付を済ませ、吃音外来の前で静かに待っていました。
大人になって症状が重くなった研究職の当事者が、自助団体のメディアに実名で寄せた手記です。会議で語頭の繰り返しが止まらなくなったあと、通っていた心療内科では薬が変更されましたが結果は変わらず、「私は吃音の専門家ではないので、耳鼻咽喉科に診てもらってください。」と言われます。その足で以前かかっていた耳鼻咽喉科へ向かうものの、そこでも専門外だと言われる。会計を済ませて出ようとしたところで受付に呼び止められ、後で連絡すると伝えられた——その続きが、この場面です。専門でない医療機関がいったん受け止め、そこから先へ渡す。幼児の吃音についての記述ですが、そうした連携が要ると国の機関の解説も述べています。
出典: 大人になり悪化した吃音「先生、私はこのままなんですか?」(HAPPY FOX/NPO法人日本吃音協会)(台帳: V0093)
まず、指名について。九州大学病院の初診案内、外来担当医のご紹介、外来担当医表のどれにも、担当医を指名できるかどうか、紹介状を特定の医師あてに書いてもらえるかどうかは書かれていません。書かれているのは、外来担当医表の初診の欄が診療科ひとまとめの1行で、菊池良和 助教の名前が木曜の列に並んでいる、というところまでです。その表にも、記載があってもやむを得ない事情で変更になる場合があるので、受診前に電話等で確認してほしいと書かれています。
次に、どこで書いてもらうか。「幼児吃音臨床ガイドライン」の公開を伝える国立障害者リハビリテーションセンターの解説は、吃音の専門家はすぐには増やせないという前提に立って、一般の相談・診療機関が吃音の詳しい説明や経過観察を担い、必要を見極めて治療施設に紹介する連携が必要だ、と述べています。幼児についての記述なので大人にそのまま広げることはできませんが、最初にかかるところと専門の施設は別でよいという考え方は、紹介状の順路とそのまま重なります。
紹介という経路が実際に増えている、という報告もあります。福岡県久留米市の耳鼻咽喉科の診療所が吃音の診療を始めてからの4年間の報告では、始めた当初はインターネット経由の受診が半数以上だったのが、他機関からの紹介や家族・知人の紹介が増えていったとされています。
福岡で、近くに相談できるところが見つからないとき
福岡県内に住んでいても、大学病院まですぐに通えるとは限りません。紹介状より前の段階——「まずどこに相談すればいいのか」で長く止まってしまった保護者の記録があります。
保護者の声(福岡県在住の母親・仮名。次男は2歳8か月で吃音が始まった/育児メディアの取材記事)
だれかに助けてほしい、早く答えがほしい、とあせる気持ちでしたが、近くに吃音に関する支援の場所は見つかりませんでした。療育や言語聴覚士のいる小児科も調べましたが、遠方だったり、予約がいっぱいだったりと、現実的に相談をするのが難しい状況でした
福岡県に住む母親が、次男の吃音について取材に答えた記事です。2歳8か月のある日から、次男はことばの最初の音を繰り返すようになった。幼稚園の先生や、地域の市民センターの発育相談で保健師に相談しても、具体的な治療についての情報はなかなか得られず、母親が忙しすぎて子どもと一緒にいる時間が少ないのではないか、とまで言われて「ショックでした」と振り返っています。近くに相談先が見つからないまま年長の11月を迎え、本人が自分の話し方について母親に尋ねてきたことで、母親は再び支援先を探し始めます。たどり着いたのは、SNSで見つけた東京の言語聴覚士の相談室で、面談はオンラインでした。吃音の受け入れ先が少ないことは、福岡県内の診療所からも報告されています。
出典: 「どうして僕はうまくしゃべれないの?」ある日突然、3才の息子に吃音の症状が…。誰にも相談できずに悩み続けた日々【体験記】(たまひよ)(台帳: V0006)
その診療所の報告は、久留米市の耳鼻咽喉科の診療所が2017年9月から全年齢を対象に吃音の診療を始めたところ、2021年8月までに239例の新規来院があり、久留米市外・福岡県外からの来院も増えていった、というものです。著者らはそこから、吃音で困っている患者が多い一方で受け入れ先が少ない、と結論しています。1つの診療所の実績にもとづく結論で、県内の窓口の数を数えた値ではありません。県内のほかの窓口については、福岡で吃音外来を探す記事にまとめています。
相談に動く目安については、九州大学病院の担当医が耳鼻咽喉科の専門誌(2025年4月)に書いた、診療ガイドラインの要点解説の概要が、九州大学の研究者情報に載っています。要点として挙げられているのは、4歳以上で、1年以上続いていて、中くらい以上の吃音であれば言語聴覚士などに紹介すること、吃音が始まるかどうかも自然に収まるかどうかも予測できないこと、そして吃音の原因を親の育て方のせいにしないようにすることです。
九州大学の耳鼻咽喉科も加わり、福岡県を含む5県15か所の保健センターで3歳児健診を受けた子の保護者に尋ねた調査では、健診の時点で吃音があった子は6.5%、3歳までに一度でも吃音が始まっていた子は8.9%でした。著者らはこの差から、始まった子の全員がすぐに治療を要するわけではないとし、自然に収まっていく子と長引きやすい子を早く見分ける手立てを探す必要がある、と述べています。
「菊池先生」は何を言っている人か——研究と本
先生の名前を本や報道で知った方の中には、受診より先に「この先生が何を言っているのかを知りたい」「どの本から読めばいいのか」を確かめたい方もいるはずです。本から入った保護者の記録があります。
保護者の声(小学1年生の子の親。吃音の本を続けて読み、3冊目に『吃音の世界』を読んだ記録/個人ブログ)
たかだか1、2年前(つまり2021,2022年頃)にインターネットで検索して複数ヒットした主流の情報が、「意識させないほうがいい」だったことを考えると、問題の根深さがわかる。
子が年長のころの私の家にタイムマシンで行って、今すぐこれを読みやがれとこの本を届けてやりたい(ちなみに本書の初版発行は2019年1月である。医師に吃音と正確に診断されていなかったこともあり、そうした書籍を探そうとしなかったわたし……のアホ!)。
子どもの吃音についてもう少し知ろうと、本を続けて読んできた親の読書記録です。3冊目に選んだのが新書『吃音の世界』で、何冊もの本の著者としてその名前を見かけたことがきっかけでした。同じ著者の、ことばの教室の指導者向けの一冊もあわせて購入しています。原因をめぐる誤解の歴史の章では、昔の新聞記事にまで載っていたことに衝撃を受けたと書き、そのうえで、自分自身も以前は「子どもに吃音を意識させないほうがいい」という情報をうのみにしていた時期があった、と振り返ったのがこの一節です。その「意識させない」の前提に関わる研究を、同じ著者のグループが日本の子どもで行っています。
出典: 『吃音の世界』(菊池良和/光文社新書)読書記録(あのてんぽ:At your own pace)(台帳: V0389)
九州大学の耳鼻咽喉科のグループ(筆頭著者は菊池良和 助教)は、吃音のある3〜7歳の子ども54人の保護者に、子どもが自分の吃音に気づいているかを7つの質問で尋ねました。気づいたそぶりを少なくとも一度は見せていた、と答えた保護者は76%で、3歳の時点でも7割にのぼり、著者らは3歳でもすでに多くの子が自分の吃音に気づいていた、と結論しています。保護者が観察して答えた値で、子ども本人に尋ねたものではありません。少なくとも「小さい子はまだ気づいていない」とは言えない、というのがこの研究の示したところです。
同じ担当医が2025年に小児神経学の学会誌『脳と発達』に書いた総説の著者抄録(九州大学の研究者情報に掲載)は、かつて吃音の原因は環境や母親の接し方とされてきたが、最新の根拠により遺伝子の影響が大きいことが分かってきた、と述べています。同じ抄録は、続いていく吃音については二次的に起こる社交不安症(人前で話す場面への強い不安が続く状態)の予防が必要なこと、支援として合理的配慮(学校や職場が本人の求めに応じて行う個別の調整)が重要なことにも触れています。研究テーマの欄には、吃音のある人の脳の研究、吃音と社交不安、吃音のある子の親の心理、吃音が始まる割合の調査が並んでいます。
本については、研究者情報の書籍の欄に、単著・編著・共著・監修が並んでいます。「吃音ドクター」という呼び方は、そのうちの書名に使われている言葉です。主なものを書名と出版社・刊行年で挙げます(誰に向けた本かは、書名と書籍の種別から読み取れる範囲にとどめます)。
- 一般向けの新書・入門書: 『吃音の世界』(光文社新書・2019年)、『吃音のことがよくわかる本』(講談社・2015年・監修)
- 保護者に向けた書名: 『子どもの吃音 ママ応援BOOK』(学苑社・2016年)
- ことばの教室の先生に向けた書名: 『もう迷わない!ことばの教室の吃音指導』(学苑社・2022年・編著)
- 学校や職場の配慮を書名に掲げた本: 『吃音の合理的配慮』(学苑社・2019年)、『吃音ドクターが教える「なおしたい」吃音との向き合い方 : 初診時の悩みから導く合理的配慮』(学苑社・2024年)
- 書名に「吃音ドクター」が入る本: 『ボクは吃音ドクターです。』(毎日新聞社・2011年)、『吃音ドクターが教える人と話すのが楽しくなる本』(KADOKAWA・2016年)
本の中身は、それぞれの出版社の案内でご確認ください。本の選び方の考え方は吃音の本の選び方の記事にまとめています。九州大学のセミナー告知には、吃音に関する著書がこれまでに16冊あると書かれています。
福岡で、同じ立場の人に会える場所はあるか
診察室とは別に、吃音のある人どうしが集まる場もあります。福岡県内では、福岡と北九州の2つの会が全国組織の加盟団体に並んでいます。
当事者本人の手記(40代男性。約10年前に北九州言友会の例会に初めて参加し、以後も言友会の活動を続けている/広島言友会のサイトの体験談欄)
言友会を知ったのは、約10年前のことです。
初めて北九州言友会の例会に参加して、同じように吃音で悩む人が多くいることを知るとともに、何年も前からの友人のように暖かく私を受け入れてくれた先輩会員のやさしさに触れて、ようやく自分の居場所を見つけた思いがしました。
名前を尋ねられて詰まったときにクラスメートにからかわれ、体育の号令で「ご」が出ないまま何秒間か静まり返った——子どものころの場面をそう書き起こした40代の男性の手記です。親は吃音ではなく、どもると「何でゆっくりしゃべらないんだ」と怒られる毎日で、成長するにつれて「どもることは悪いことであり、恥ずべきことなのだ」という思いが強くなり、思春期以降は必要最低限の会話しかしなくなった、と書いています。その後に出会ったのが、北九州言友会の例会でした。この書き手に診断名が付いていたかどうかは書かれていません。ただ、思春期に話す場面から遠ざかっていく経過は、九州大学の耳鼻咽喉科のグループが中高生を対象に調べています。
出典: 体験談「3.40代男性」(広島で吃音に悩む当事者の会・広島言友会)(台帳: V0202)
その研究では、吃音のある中学生・高校生84人のうち約4分の1が不登校の群で、不登校の群のほうが社交不安症(人前で話す・注目される場面への強い不安が続く状態)の割合が有意に高くなっていました。二段目の調査に参加した40人では半数が社交不安症の基準を満たし、社交不安症のある生徒は、人前で話すときに手足が震えるか、どもったあとに自分を否定的に考えるか、という2つの質問で点数が高くなっていました。著者らは、吃音のある中高生を診るときに社交不安症が重なっていないかを確かめることが、より良い支援につながるかもしれない、と述べています。
当事者の集まりについては、全国言友会連絡協議会の加盟団体一覧の九州・沖縄ブロックに、福岡言友会と北九州言友会が並んでいます。この一覧に載っているのは団体名だけで、例会の日時や連絡先は書かれていません。全国組織は、子どもの吃音への対応方法の確認や医療機関の紹介といった個別の相談には原則として応じられないので、希望する場合は近くの加盟団体に連絡してほしい、と案内しています。例会の中身や初めて参加するときのことは、言友会の記事にまとめています。
九州大学の吃音外来をめざすときに、つまずきやすい3つのこと
落とし穴1 − 診療案内に名前が無い=やっていない、と読む
九州大学病院の外来担当医のご紹介と外来担当医表には「吃音」の語も吃音を冠した枠もありませんが、九州大学のセミナー告知には、現在は九州大学病院の耳鼻咽喉科で吃音外来を担当していると書かれています。診療案内は診療科と専門分野の言葉で書かれるので、名前で確かめられないときは電話で確かめることになります。担当医表にも、受診前に電話等で確認してほしいと書かれています。
落とし穴2 − 先生の名前を出して、まず大学病院に電話してしまう
初診は原則として医療機関からの紹介・予約制で、かかりつけ医から予約センターへ申し込む順路が案内されています。担当医の指名についての記載は、公式の案内にはありません。順番を1つ前に戻して、かかりつけ医にかかるところから始めてください。電話で受付の職員と話すことが強い抵抗の原因になる、という報告もあり、電話が負担な人にはむしろ通りやすい道でもあります。
落とし穴3 − 古い記事や別の施設の条件を、そのまま当てはめる
担当や肩書き、外来の曜日は、時点ごとの記載です。この記事でも、お知らせは2025年10月、セミナーの告知は2026年4月、外来担当医表は2026年8月の時点のものを並べました。入り口の型も施設ごとに違い、本人が予約センターで専門外来の予約を取る型の窓口もあります。見つけた1つの手順を「吃音外来はどこもこうだ」と読み替えず、行きたい施設のページと電話で、そのつど確かめてください。
よくある質問
九州大学病院で「吃音外来」はやっていますか?
2026年4月22日に開かれた九州大学のセミナーの告知には、耳鼻咽喉・頭頸部外科の菊池良和 助教が、現在は九州大学病院の耳鼻咽喉科で吃音外来を担当し、これまでに600名以上を診察してきたと書かれています。2025年10月8日付の病院のお知らせにも、九州大学病院など福岡県内2か所で「吃音外来」を開いているとあります。ただし診療案内には「吃音」を冠した枠が無く、担当医表には受診前に電話等で確認するよう書かれているので、最新の状況は公式ページと電話でご確認ください。
菊池先生を指名して予約できますか?
担当医を指名できるか、紹介状を特定の医師あてに書いてもらえるかは、九州大学病院の初診案内・外来担当医のご紹介・外来担当医表のどれにも書かれていません。初診は原則として医療機関からの紹介・予約制で、かかりつけ医から予約センターへ申し込む順路です。外来担当医表の初診の欄では、この先生の名前は木曜の列にありますが、変更になる場合があると断り書きが添えられています。
自分で電話して予約を取れますか?
九州大学病院の初診案内には、原則として医療機関からの紹介・予約制で、まずかかりつけ医を受診し、そのかかりつけ医から初診患者専用の予約センターへ予約を行う、と書かれています。耳鼻咽喉・頭頸部外科のページにも「初診の方は医療機関からの予約、および紹介状が必要です」とあります。これは施設ごとの決まりで、本人が予約センターで専門外来の予約を取る型の窓口もあります。
紹介状が無いとどうなりますか?
九州大学病院の初診案内の注意欄には、紹介状を持っていないと治療費とは別に定額負担として医科7,700円が必要になること、紹介状が無い場合は受診できない診療科があることが書かれています。医科の再診でも、1年以上の間をおいて受診する場合は初診の扱いになる、とも書かれています。金額は2026年8月30日に取得した時点の記載なので、必ず公式ページでご確認ください。
福岡教育大学でも吃音の相談ができますか?
医療機関の診療とは別のものとして考えてください。福岡教育大学 特別支援教育センターの教育相談は、障害のある子どもとその保護者または関係者に対して相談や指導等のサービスを提供するもので、大学の教育・研究施設としての趣旨・目的にそって行うものだと明記されています。このページに「吃音」という語は出てこないので、吃音の相談窓口として案内されているわけではありません。
まとめ
- 九州大学病院で吃音の診療を担当しているのは、耳鼻咽喉・頭頸部外科の菊池良和 助教。2026年4月22日開催のセミナーの告知に、現在は吃音外来を担当し、600名以上を診察してきたとある。
- 入口は「かかりつけ医を受診 → かかりつけ医が予約センターへ申し込む → 受診予約票と紹介状を持って初診」。紹介状が無いと定額負担 医科7,700円がかかり、受診できない診療科もある。
- 担当医の指名や紹介状の宛名の扱いは、公式の案内には書かれていない。診療案内には「吃音」を冠した枠も無い。
- 担当医のグループの研究では、吃音のある3〜7歳の子の多くが自分の吃音に気づいていた。吃音のある中高生では、社交不安症との重なりが調べられている。
- 福岡県内には、当事者の集まりとして福岡言友会と北九州言友会がある。担当・曜日・費用は変わるので、受診前に必ず公式ページと電話で確認を。
