まず結論から
- 吃音症とチックは別の状態です。吃音は話し言葉がなめらかに出ない発話の障害で、音を繰り返す「連発」、音を引き伸ばす「伸発」、ことばが出せずに間があく「難発(ブロック)」を中核症状とします。
- 声を出そうとして顔や体に力が入り、目を固くつぶる・顔をしかめる・手足を振り下ろすといった動きが出ることがあります。これは随伴症状(随伴運動)と呼ばれ、中核症状とは別の二次的な症状です。この動きは吃音にかなり特異的だとされる一方、チックは吃音と見分けるべき状態のひとつとして挙げられています。
- 同じ子どもに両方みられることはあります。日本の5歳児を対象にした調査では、吃音でもチックでも、自閉スペクトラム症・注意欠如多動症・体の動かし方の不器用さが目立つ発達性協調運動症が4〜5割程度併せてみられたと報告されています。
- 吃音のある子は、吃音のほかに何か1つ以上を併せもつことが多く、アメリカの全国調査では60.32%でした(吃音のない子は26.44%)。多かったのは注意欠如多動症・ぜんそく・自閉症です。なお、この調査が数えた12の状態にチックは含まれていません。
- 「吃音のある人の何%にチックがあるか」を正面から示した数字は、この記事で使った資料の中にはありません。「必ず併発する」とも「まず併発しない」とも言えない、というのが誠実な答えです。
ただし、ここに並べた数字はどれも集団を横から見たもので、目の前のお子さんに何が起きているかを決めるものではありません。チックは専門家でも吃音と見分けるべき状態のひとつに挙げられているので、迷う段階で言語聴覚士やことばの教室に相談してください。
「これはチックだったのか」と気づく日
多くの家庭で最初に起きるのは、診断ではありません。ふだんと違う動きや声に気づいて、「これは何なのか」と調べ始めるところから始まります。
吃音と自閉症のある小学生の息子をもつ母(個人ブログ)
うんうん言い出したのは春休みの終わり頃
喉でも痛いのかと思い「喉痛いの?薬飲む?」と聞いたら「痛くないよ。なんか勝手にこうなるんだよ」と言うのです
勝手に…?
もしかして:チック
「息子のチックが気になってうるさい件」と題した記録の一節です。母親はまず喉の痛みを疑い、薬を勧め、そこで返ってきたのが「なんか勝手にこうなるんだよ」という息子自身の言葉でした。検索して「チック」に行き当たり、吃音と自閉症に加えてもう一つ、と受け止めるまでが数行のうちに書かれています。同じ稿には、隣の布団で眠る父親が声を気にして眠れなくなり、子どもたちが寝ついてから寝室へ行くようにしたものの、三日で子どもたちにせがまれて元に戻ったことも記されています。この子の音声チックは小声で「うん……うん……うん……うん……」と言うもので、一日中続いていたといいます。家庭でまず立つのは、診断名ではなく「これは何なのか」という問いのほうです。医学の側でも、チックは吃音と見分けるべき状態のひとつとして名指しで挙げられています。
出典: 息子のチックが気になってうるさい件(個人ブログ)(台帳: V0178)
手がかりのひとつは、その動きが「話そうとする場面」と結びついているかです。日本耳鼻咽喉科学会の会報に載った総説は、発話に際しての渋面(顔をしかめること)や手足を動かすといった随伴症状は吃音にかなり特異的だとしたうえで、吃音と見分けるべき状態として、ことばの発達の遅れや異常・構音障害(発音の障害)・発声障害(声そのものの障害)・チック・場面緘黙(場面や人によって話せなくなること)・脳損傷などを挙げています。家庭で迷うこの区別は、診断の場でも実際に通る道だということです。
学会の資料も、随伴症状は「発話に際して、なんとか声を出そうと、顔面や身体に力を入れ、不必要な身体運動を行うもの」だと説明しています。手足を振り下ろす、飛び跳ねる、前かがみになる、息を荒げる、顔をしかめる、目を固くつぶる——幼児期はさまざまな随伴症状が出るので、家族が驚くことが多いとも書かれています。
ここから、家庭で見ておける手がかりを3つに整理します。どれも吃音の側の特徴から導いたもので、診断ではなく「相談のときに伝えられる材料」として読んでください。
- ポイント1|その動きは、話そうとする場面と結びついて出ているか。吃音の随伴症状は、発話に際して声を出そうと力むなかで起こります。話していないとき(黙って遊んでいるときなど)にも同じ動きが出るのかは、見ておく価値があります。
- ポイント2|話し方の乱れと一緒に出ているか。連発・伸発・難発という3つの中核症状と同じ場面で動きが出ているなら、随伴症状のほうを考えやすくなります。
- ポイント3|調子に「波」があるか。吃音は状況によって症状が出やすかったり出にくくなったりし、調子の良い状態・悪い状態が数週間から数か月にわたって続く人も多いとされています。
いずれにしても、見た目が似る以上、最後の判断は自己流ではなく専門機関に委ねるのが安心です。「いつ・どんな場面で・どんな動きや詰まりが出たか」を書きとめておくと、相談のときに伝えやすくなります。
日によって出たり、出なかったり — 吃音の「波」
もうひとつ、家庭を戸惑わせるのが「日によって違う」ことです。昨日はほとんど出なかったのに、今日はずっと出ている。良くなったのか悪くなったのか、判断がつきません。
吃音当事者の hiro さん(都内で働く会社員・自助グループ運営/Webメディア soar のインタビュー。聞き手である記事の書き手も吃音当事者)
普通の会話でもすごくどもったり。あとチックってありますよね。指をすごく動かしたり、顔をしかめたり。僕はそれもあって。小さい頃からストレスが溜まると出てたんです。今でも疲れてたりストレスが溜まると出るんですけど。
子どもの頃は連発が中心で、いまは難発が多いタイプだと紹介されている当事者の語りです。チックのほうは小さい頃からで、疲れやストレスがたまると出る、と本人は説明しています。このあと聞き手が「僕は寝不足だと結構出るんですよ」と応じ、hiro さんも「本当に波があります」と返しています。取材の時点で hiro さんは都内で会社員として働き、自助グループを運営し、吃音のあるパーソナリティーとしてネット番組にも出ています。長く付き合ってきた人の語りの中で、二つはどちらも「その日の出方」として語られています。同じ人の中で日によって出方が変わることは、吃音でもよく知られた性質です。
出典: 吃音とともに生きる当事者へのインタビュー(soar)(台帳: V0032)
学会の資料は、吃音には状況によって症状が出やすかったり出にくくなったりする特徴があり、調子の良い状態・悪い状態が数週間から数か月にわたって続く人も多く、こうした変動を「波」と呼ぶと説明しています。歌うときや2人で声を合わせるとき、独り言のときには一時的に流暢になる人が多いことも知られています。
ここで気をつけたいのは、波があることと、原因がストレスであることは別の話だという点です。同じ資料は、吃音は病気ではなく、緊張やストレスや家庭環境のみから生じるものでもなく、本人がわざとやっているものでもないと、はっきり書いています。日ごとの出方が揺れることと、なぜその特性があるのかは、別々に考える必要があります。
重なるのは、吃音とチックの2つだけとは限らない
「吃音とチックの併発」を調べていると、二者の関係だけを見てしまいがちです。けれど実際の家庭では、もっと多くのことが同じ時期に重なっています。
自閉スペクトラム症・注意欠如多動症の特性がある小学1年生の息子をもつ母(個人ブログ・名義 hachimi。4歳のころをふり返った記録)
吃音があり、ずっと喋ってる子なので、なかなか聞いてるのも辛かった。
またチックはその後も動きだったり色々形を変えて、6歳まで出たり治ったりを繰り返していた。
この頃から登園しぶりをすることも多かった。
4歳・年少の一年をふり返った「幼児期まとめ」の中に、吃音とチックと登園しぶりが同じ見出しの下に並んでいます。同じ稿でこの頃の特徴として挙げられている中には「ずっとしゃべってる」もあり、音や匂いへの敏感さも別の見出しで書かれています。眠れない夜が続いたことをきっかけに行政に連絡し、療育につながったのもこの年でした。発達検査を受けたのも4歳のときです。母親が書き残しているのは症状の名前ではなく、その年の暮らしのほうです。よく喋る子だから、聞いているのも辛かった。チックは形を変えながら6歳まで出たり治ったりを繰り返した。——重なっていたのは、吃音とチックの2つだけではありませんでした。この「1つだけでは終わらない」という形は、集団を対象にした調査でも繰り返し出てきます。
出典: 【幼児期まとめ4】4歳、年少(個人ブログ)(台帳: V0180)
アメリカの全国調査(3〜17歳・吃音のある子2,258人と、ない子117,725人)では、吃音のある子の60.32%が吃音以外に少なくとも1つの状態を併せもっていました。吃音のない子では26.44%です。よく見られた併存として挙げられているのは、どちらの群でも注意欠如多動症・ぜんそく・自閉症でした。
日本の5歳児の調査でも、吃音でもチックでも、自閉スペクトラム症・注意欠如多動症・発達性協調運動症が4〜5割程度併せてみられ、どちらも社会への適応に影響があるため発達面・心理面からの適切な支援が必要だと示唆された、と報告されています。「もう1つ重なる」こと自体は、例外的なことではありません。
両方をもつ本人にとって、二つはどう関係しているのか
ここまでは、主に子どもを見ている側からの話でした。では、吃音とチックの両方を長く抱えてきた本人は、二つの関係をどう感じているのでしょうか。当事者の集まりで、その問いが直接ぶつけられた記録があります。
吃音当事者・堤野瑛一さん(当時31歳)と、聞き手の伊藤伸二さん(日本吃音臨床研究会)/大阪吃音教室「当事者研究」の記録
伊藤 現在のチックの症状は、これまでと比べてどうなの? 吃音との相関関係はありますか?
堤野 一番ひどかったころに比べれば、今はだいぶ軽い状態ですが、なくなりはしません。吃音との関係は、自覚的には、ほとんどありません。
堤野さんは高校2年で吃音が始まり、ピアノで入った芸術大学を20歳で中退しています。チックのほうは、それより前からありました。親からは治すよう四六時中言われ続け、殴られもしたと語っています。今も写真を撮られるのが苦手で、その理由もチックの症状が人目に触れることにあると本人は説明しています。二つを長く抱えてきた人の実感として、チックは一番ひどかったころより軽くなったがなくなりはせず、吃音との関係は自覚のうえではほとんどない——そう答えました。ただしこれは一人の語りです。二つを同じ物差しで並べた数字は、集団を対象にした調査のほうにあります。
出典: 【当事者研究】どもりを豊かさの糧にして(日本吃音臨床研究会)(台帳: V0181)
同じ集団を同じ方法で調べれば、二つを並べることはできます。スペイン・メノルカ島の6歳児全体を代表する289人を対象にした調査では、21.5%が何らかの神経発達症(生まれつきの発達の特性をまとめた枠のこと)にあてはまり、その内訳として吃音が0.34%、チックの仲間では一過性のチック症が1%、慢性のチック症が0.34%、トゥレット症候群が1%と報告されています。
この調査が使っているアメリカ精神医学会の診断の手引き(DSM-5-TR)では、吃音もチックも同じ神経発達症の仲間として数えられます。別々の状態でありながら、同じ枠の中に並んでいる——それがこの数字の位置づけです。ただし数字そのものは、対象にした地域も、年齢も、調べ方も違えば変わります。日本の子どもについては、次に見る調査のほうが近いところにあります。
数字ではどこまで言えるのか — 「併発率」が見つからない理由
まず、それぞれがどのくらいみられるのかから見ていきます。厚生労働科学研究として弘前市の乳幼児健診を対象に行われた調査では、吃音やチックは月齢19か月の時点でも出現していたと報告されています。同じ調査で、5歳の時点にチェックリストを使って推定された割合は、吃音が保護者の評定で0.7%・先生の評定で1.2%、チックが保護者の評定で5.4%・先生の評定で6.8%でした。同じ物差しで並べると、5歳の時点ではチックのほうが数倍多く見つかることになります。
では、「吃音のある人の何%にチックがあるか」はどうでしょうか。検索して出てくる数字の中には、一見それに答えているように読めるものがあります。ひとつ、実例を見てみます。
アメリカの大学病院の電子カルテから発達性吃音の症例1,143人を見つけ出し、そのうち572人と対照2,765人を比べた研究があります。吃音の側にとくに多かった診断は、発達の遅れ・障害と、ことばの障害でした。ただしこの上位2つについては、論文自身が「吃音そのものと構音障害を含む」と註記しており、探していた吃音が想定どおり拾えていることの確認だと位置づけています。つまり上位2つは、併存症としては読めません。それに次いだのが、広汎性発達障害(自閉症などを含むくくり)と「チックおよび吃音」というひとまとめの分類です。ここだけを取れば、併発の証拠に見えます。
ところが同じ論文が、続けてこう注意しています。その分類には大人になってから始まった話し方の障害のコードが含まれており、経験のある言語聴覚士によれば、そのコードは大人まで持ち越した発達性吃音にもよく使われていた——つまりチックの多さではなく、吃音そのものを別の名前で数えていた可能性がある、というのです。何を数えているのか分からない数字は、併発の根拠にはできません。
正直に書くと、「吃音のある人の何%にチックがあるか」を正面から示した数字は、この記事で使った資料の中には見当たりませんでした。だからこの記事は「必ず併発する」とも「まず併発しない」とも書きません。同じ子に両方みられること自体はあり、そのときは頻度の推測より、実際に見てもらうほうが早く進みます。
吃音のほうの見通し — 多くは自然におさまる
チックの心配があるときほど、吃音そのものがこの先どうなるのかも気になります。幼児期に始まった吃音の多くは、自然におさまっていきます。学会の資料は、Yairi らの研究(2005年)の集計として、吃音が始まってから2年後までに31%、3年後までに63%、4年後までに74%が自然に治ると紹介しています。
ただし、始まってから4年以上たつ(あるいは8歳以上になる)と、自然に治る確率は下がっていくとされています。つまり幼児期の吃音は「様子を見ているうちに落ち着く」ことが多い一方で、続く場合もあるということです。そのうえ、先に見たとおり調子の波は数週間から数か月にわたることがあります。良くなったか悪くなったかを短い期間で判断するのは、そもそも難しいのです。心配な動きが重なっているときは、様子見だけにせず、相談の窓口につないでおくと安心です。
どこに相談すればいい? 受診の目安と相談先
吃音の相談先として学会の資料が挙げているのは、小児を扱う言語聴覚士と、ことばの教室の教員です。そこでは、楽に話しやすくなるよう周りの人の接し方や場面のほうを整える方法(「環境調整」と呼ばれます)、直接発話に働きかける方法、吃音について理解する方法などを、年齢や状態に合わせて組み合わせた指導が行われます。
「いつ相談するか」の目安もあります。先ほどの総説は、幼児期はまず楽に話せる環境を整えながら経過を追い、話すときに苦しそうな力みがある・悪くなっていく傾向があるとき、あるいは就学の1年前ごろになっても良くなる気配がないときに、ことばの治療を始めるとしています。どちらも家庭で見て取れる目安です。
チックのことも気になる、あるいは吃音の力みなのかチックなのか分からない——という場合は、まずかかりつけの小児科に相談し、必要に応じて子どもの発達をみる専門機関につないでもらうのが現実的です。どちらを先にすべきかで迷って動けなくなるより、身近な窓口に一度つなぐほうが早く進みます。
なお、健診で自動的に見つかるとは限りません。先ほどの厚生労働科学研究は、吃音やチックのように表に出にくい特性について、既存のスクリーニングでは早期発見が難しいことが示唆された一方、5歳児の時点なら特定のチェックリストで早期に拾えると結論しています。気になることがあるなら、こちらから伝えたほうが確実です。
また、発達性吃音は発達障害者支援法の対象に含まれており、支援や合理的配慮の枠組みのなかで扱われます。制度面について知りたいときも、上記の専門機関に相談すると整理しやすくなります。
見分けようとするときに陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 見た目だけで「これはチック」「これは吃音」と決めつける
話すときの力みから出る動きは吃音にかなり特異的だとされますが、同じ総説は、吃音と見分けるべき状態としてチックをはっきり挙げています。専門家でも見分けの対象にしているものを、見た目の印象だけで決めるのは無理があります。「いつ・どんな場面で・どんな動きや詰まりが出たか」を記録して、専門家に見てもらうのが確実です。
落とし穴2 − 気になる動きや話し方を注意してやめさせようとする
吃音は病気ではなく、緊張やストレスや家庭環境のみから生じるものでもなく、本人がわざとやっているわけでもありません。それどころか、吃音を恥ずかしいと思って出さないように力を入れてもがくと、かえって悪化するとされています。動きや詰まりを注意して直させるより、安心して話し続けられる雰囲気をつくるほうが建設的です。
落とし穴3 − 「併発率」の数字を探して、それだけで決めようとする
併発を示すように見える数字が、実は何を数えているのか分からないことがあります。数字探しに時間を使うより、日々の様子を記録して相談に持っていくほうが早く進みます。まずは記録から小さく始めるのが現実的で、発話の記録を続けたいときは、記録を助けるアプリを補助的に使う方法もあります(あくまで記録・継続の支援であって、治療の効果を示すものではありません)。専門機関に相談できる場合は、そちらが確実です。
よくある質問
吃音の随伴症状とチックはどう見分けますか?
吃音では、声を出そうと力むなかで顔や体に力が入り、目を固くつぶる・顔をしかめるなどの動きが出ることがあります。こうした発話に際しての渋面や手足を動かす動きは吃音にかなり特異的だとされますが、同じ資料はチックを見分けるべき状態として挙げてもいます。話そうとする場面と結びついて出ているかどうかは手がかりになりますが、最終的な判断は専門家に相談するのが安心です。
吃音とチックは併発しますか?
同じ子どもに両方みられることはあります。ただし「吃音のある人の何%にチックがあるか」を正面から示したデータは見当たらず、併発を示すように見える数字も、実は何を数えているのか分からない場合があります。吃音のある子が吃音以外の状態を併せもつことは多く、アメリカの全国調査では60.32%と報告されていますが、その中心は注意欠如多動症・ぜんそく・自閉症です。気になる場合は専門機関で相談するのが確実です。
吃音症とチックは何科を受診すればいいですか?
吃音の相談先としては、小児を扱う言語聴覚士やことばの教室が挙げられています。チックも気になる場合や、どちらか迷う場合は、まずかかりつけの小児科に相談し、必要に応じて子どもの発達をみる専門機関を紹介してもらうとよいでしょう。なお、話すときに苦しそうな力みや悪くなっていく傾向があるとき、あるいは就学の1年前ごろになっても良くなる気配がないときに、ことばの治療を始めるとされています。相談のタイミングを考えるときの目安になります。
吃音やチックのような動きは、親のしつけやストレスのせいですか?
吃音については、親の接し方や愛情不足を原因とする考えは、双子研究・脳研究・遺伝子研究の進展により否定されており、生まれ持った体質的な要因が大きいとされています。緊張やストレスのみから生じるものではなく、本人がわざとやっているのでもありません。自分を責めるより、安心して話せる環境づくりに目を向けるほうが役立ちます。
子どもの吃音は自然に治りますか?
幼児期に始まった吃音の多くは自然に回復するとされ、学会の資料が紹介している集計では発症から3年で63%、4年で74%が自然に治るとされています。ただし続く場合もあり、発症から4年以上たつと自然に治る確率は下がるとされるため、気になるときは専門機関に相談するのが近道です。
まとめ
- 吃音症とチックは別の状態。吃音は連発・伸発・難発を中核症状とする発話の特性で、力むときに出る動き(随伴症状)は吃音にかなり特異的とされるが、チックは見分けるべき状態として挙げられている。
- 吃音には「波」がある。状況によって出やすさが変わり、調子の良い時期・悪い時期が数週間から数か月続く人も多いとされる。短い期間で良し悪しを判断するのは難しい。
- 重なるのは2つだけとは限らない。吃音のある子の60.32%が吃音以外に1つ以上を併せもち、日本の調査でも吃音・チックとも自閉スペクトラム症などが4〜5割程度併せてみられた。
- 「併発率」を示すように見える数字は、何を数えているのかを確かめる必要がある。正面から示したデータは見当たらない。
- 相談先は、吃音なら言語聴覚士・ことばの教室。両方が気になるときは、まずかかりつけの小児科から専門機関へつなぐのが現実的。
