吃音は何科・どの病院?|「吃音科」は無い・決め手は言語聴覚士

吃音は何科・どの病院?|「吃音科」は無い・決め手は言語聴覚士
目次

「吃音は何科に行けばいいのか」「そもそも、どこの病院なら診てもらえるのか」——眼科や歯科のように、吃音にも専用の看板がどこかにあるはずだと思って調べ始めた方は多いはずです。「どもり」という昔ながらの言い方で探している方も、たどり着く場所は同じです。ところが出てくるのは子ども向けの案内ばかりで、自分(大人)の行き先が見つからない。そこで手が止まってしまうことがあります。

この記事は、日本言語聴覚士協会の相談ページ、国立障害者リハビリテーションセンター病院の成人向け専門外来の案内、北里大学病院の吃音外来の案内、慶應義塾大学病院の解説、そして発達性吃音(どもり)の研究プロジェクトのQ&Aをもとに、行き先の決まり方を整理します。あわせて、実際に受診した大人5人の記録を並べます。訓練や治療の中身そのものには踏み込みません。

ソンタクマン(toVoice 運営)
吃音当事者。研究論文と当事者の声をもとに、吃音の情報を出典つきで発信しています。

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の判断に代わるものではありません。特定の医療機関をおすすめするものでもありません。ここに引いた診療案内の記載は、いずれも取得した時点のものです。対象年齢・曜日・受付の状況・費用は変わることがあるので、受診の前に必ず各施設の公式ページと電話でご確認ください。

まず結論から

  • 「吃音科」という診療科はありません。ことばの障害を専門に扱う職種は言語聴覚士で、その職能団体のページは、なめらかに話をすることが難しい吃音も「ことばの障害」に含まれると書いています。
  • 実際にかかる科としては、耳鼻咽喉科が挙げられます。ただし、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあり、リハビリテーション科やその他の科が対応している病院もあるとされています。
  • 話しづらさそのものより気持ちの負担のほうが大きい場合は、精神科という道も書かれています。実際、成人の専門外来の初診では、こころの不調が一緒に見つかることが少なくありません。
  • 決め手は科の名前ではなく「そこに吃音を診る人がいるか」です。言語聴覚士の仕事は幅広いため、全員が吃音の指導や支援を行えるわけではなく、病院や協会・都道府県士会に事前に問い合わせるよう案内されています。
  • 年齢で窓口が分かれます。たとえば北里大学病院の吃音外来は中学生以上が対象で、小学生以下の子どもの評価や指導は耳鼻咽喉科・頭頸部外科外来が対応すると案内されています。

ただし、ここで書けるのは「取得した時点で、そのページにそう書いてあった」というところまでです。いま受け付けているかどうかまでは保証できません。実際、その北里大学病院の吃音外来は、問い合わせが集中したため新規の予約受付を停止しており、再開は2027年2月上旬頃を予定していると告知しています。行き先を決める前に、必ずそのページを開き直してください。

「どもりに詳しい先生」を探した先が、精神科だったとき

吃音を診てくれる場所を探すとき、多くの人は「その看板がどこかにあるはずだ」という前提から始めます。ところが実際に連れて行かれた部屋の札は、思っていたものと違うことがあります。

当事者の声(71歳男性。高等専門学校を卒業してめっき会社に技術職で就職した当時の回想/個人ブログ note)

しばらくして、「どもりの矯正に詳しい先生にアポがとれた。」と言われ、「総合病院」に行きました。受診した科は「精神科」でした。

「精神科!」僕は唖然としました。「えっ~!精神科に行って何するの?」。

「勘弁してよ~!!」 の気分で、部長の後をてくてくついて行きました。

就職して最初に待ち構えていたのが、机の斜め左上に置かれた電話でした。技術的な問い合わせは自分に回ってくるのに、内容もよく分からない。見かねた上司が代わってくれることが、たびたびあったと書いています。そんな日が続いたある日、会議室に呼ばれた書き手は、部長から「君には、将来会社を背負う立場になって欲しい。」と言われ、受診先は会社が探すこと、仕事の一環として一緒に行くことを告げられます。その先がこの場面でした。本人は行き先の科を選んでいません。診察のあと医師は、ここではそのような訓練は行っていないと述べ、市の障害福祉センターを紹介します。書き手は次にそこへ通うことになりました。専門でない窓口がいったん受け止めて先へ渡す形は、いまの案内にも残っています。

出典: 吃音のこと⑤│10年ぶりの再会(note)(台帳: V0295)

科がばらけるのには理由があります。吃音は「ことばの障害」として扱われますが、その担い手は医師ではなく言語聴覚士です。日本言語聴覚士協会は、聞こえやことばの障害、飲み込みの障害のある人を支援する専門職が言語聴覚士であり、検査・訓練・指導や援助を行うと説明しています。そして「ことばの障害」の中身を並べたところで、なめらかに話をすることが難しい吃音もそこに含まれる、と書いています。

では、その言語聴覚士はどこにいるのか。吃音ポータルサイトの成人向けのページは、言語聴覚士は主に病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などのリハビリテーションのスタッフとして勤務している場合が多いようだ、と書いています。これが「耳鼻咽喉科」という答えの中身です。科そのものが吃音を担当しているというより、その科に言語聴覚士がいる、という順番になっています。

精神科・心療内科という選択肢も、根拠のない話ではありません。発達性吃音(どもり)の研究プロジェクトのQ&Aは、話しづらさそのものより吃音による心理的な負担のほうが大きい場合には、精神科を受診するという道もあると書いています。ただしこれは手帳の申請という文脈での記述で、「まず精神科へ」という一般的な受診の勧めではありません。

同じ話しづらさに、科によって違う名前がつくことがある

「どこへ行けば、自分の話しづらさの正体が分かるのか」——そう思って受診した先で、科ごとに別の答えが返ってくることがあります。

当事者の声(成人。大人の発達障害や吃音について書くエッセイストと自称している/個人ブログ note)

言葉が詰まって、発音がはっきりしなくなった。

耳鼻科では吃音と構音障害と診断があり、精神科ではストレスが身体症状として表れる「転換症」と診断された。

言葉が詰まり、発音がはっきりしなくなったのは最近のことだ、と書き出される短いエッセイです。書き手は2つの科にかかり、それぞれで違う診断名を受け取っています。「構音障害」は発音そのものがうまく作れない状態を指す言葉で、「転換症」はストレスが体の症状として現れるものを指す言葉です。どちらの科も間違ったことをしたわけではありません。同じ話しづらさを、それぞれの専門の枠から見ているためです。この続きで書き手は、店で注文するときは拙い言葉で頼むか筆談にすること、QRコードで注文できる店が増えたのは助かる部分でもあることを書き、最後は、不便で悲しくなるときもあるけれど自分が愛おしい、と結んでいます。見分けにくさは、専門家の側の資料にも書かれています。

出典: 大人の発達障害 吃音診断(note)(台帳: V0078)

日本耳鼻咽喉科学会の会報に載った総説は、吃音の中核症状——音の繰り返し、引き伸ばし、言葉が出てこない詰まり(ブロック)——を挙げたうえで、診断基準は吃音検査で中核症状が100文節あたり合計3以上あることだ、としています。同じ総説は、見分けが必要になるものとして、ことばの発達の遅れ、構音障害、発声の障害、チック、場面緘黙(かんもく。特定の場面で話せなくなること)、脳の損傷などを並べています。似た見え方をするものが並んでいるからこそ、行った先で名前が変わりうるということです。

こころの不調が一緒に見つかることも珍しくありません。国立障害者リハビリテーションセンターのリハニュースは、成人吃音外来の初診患者を調べたところ、52.3%(102人)に精神疾患の併存があり、自閉スペクトラム症(ASD。対人関係やこだわりに特徴がある発達の特性)は26.4%(52人)に併存していた、と報告しています。慶應義塾大学病院の解説も、病院に来る成人の吃音の半分程度は社交不安障害(人前で強い不安を感じる状態)を伴っているとするデータもある、と述べています。

同じ記事は、よく知られた病名の影に別のものが隠れてしまう現象があることにも触れています。「吃音」という名前がついたことで、その先が見えにくくなることがある——だから受診の場面では、話しづらさ以外の困りごとも一緒に伝えておくほうが安全です。症状の型そのものについては吃音の種類は3つで詳しく扱っています。

「大人でも診てもらえるところ」を探すと、道が細くなる

吃音の情報は、圧倒的に子ども向けが多く出回っています。大人が自分の行き先を探そうとすると、そこで一度つまずきます。

当事者の声(薬剤師。幼少期からの吃音で、中学以降は治療が途切れたまま社会人になったと書いている/個人ブログ note)

薬剤師という仕事上、話す場面が増え、強い不安や言葉が出にくい「難発(話し始めで詰まるタイプ)」に悩むようになりました。そこで「成人でも診てもらえる外来」を探しました。

幼少期から吃音があり、両親も対応を模索してくれたが、当時は情報が少なく専門的な医療機関につながることはできなかった——書き手はそう振り返っています。中学以降は治療が中断し、そのまま社会人になりました。もう一度探し直すきっかけになったのは、病気でも症状の悪化でもなく、新卒で働き始めた頃に仕事で話す場面が増えたことでした。書き手はこのあと、通院先を国立障害者リハビリテーションセンター病院の成人吃音相談外来だと実名で書いています。探しているのは「吃音の病院」ではなく「大人を受け付けている窓口」だったということが、この一節にそのまま出ています。最後は、迷っている人はまずかかりつけ医や地域の医療機関に相談してみるのも一つの方法だ、と結んでいます。大人を診る側の層の薄さは、研究の側からも報告されています。

出典: 大人になってから吃音外来を受診した話(note)(台帳: V0294)

言語聴覚士が吃音の支援にどれだけ自信を持っているかについて、集める条件をあらかじめ決めたうえで既存の研究を集め、まとめて評価した2025年の報告があります。条件に合った13件が集まりました。そのうえでこの報告は、組み入れた研究の参加者について、大人や青年だけを担当する言語聴覚士を集めた研究は一本も無かったと書いています。大人の吃音を扱う力量を正面から調べた論文も、一本しか見つかっていません。

年齢層ごとの自信の差も報告されています。アメリカの学校で働く言語聴覚士を対象にした調査では、大人の治療に自信が無いと答えた割合が98%で最も高く、次いで青年が88%、就学前の子どもが86%、学齢の子どもは38%だった、とまとめられています。ただしこれは学校で働く言語聴覚士に限った調査の値で、病院で働く言語聴覚士の値ではありません。それでも、「大人だから後回しにされている」のではなく、大人を担当した経験そのものが積み上がりにくい構造は見えてきます。

治療する相手の年齢別に「自信が無い」と答えた言語聴覚士の割合。大人98%、青年88%、就学前の子ども86%、学齢の子ども38%。米国オハイオ州の学校で働く言語聴覚士141人への調査(Gabel 2013)を、13件の研究を集めてまとめた報告が要約した値で、学校に勤める言語聴覚士に限った調査であり、病院で働く言語聴覚士の値ではない。
図1: 治療する相手の年齢別に「自信が無い」と答えた割合。米国オハイオ州の学校で働く言語聴覚士141人への調査を、研究を集めてまとめた報告が要約した値。出典: Alegre ら (2025) Speech–Language Pathologists' Perceptions of Their Competence in Managing Stuttering: A Systematic Review With Narrative Synthesis.

同じレビューは、吃音のある人をより多く担当している言語聴覚士ほど、また吃音についての継続的な学びを重ねている人ほど、自己評価が高かったとも書いています。裏返すと、その病院がふだん吃音をどれだけ診ているかは、行き先を選ぶうえで意味のある問いだということです。吃音ポータルサイトも、全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではないとしたうえで、病院や協会・都道府県士会に事前に問い合わせるよう案内しています。誰に会えるのかを先に確かめる話は、吃音と言語聴覚士でさらに詳しく扱っています。

予約の入り口の形が、施設ごとに違う

行き先の見当がついたあと、次の関門は「どうやって申し込むか」です。電話しかない窓口と、そうでない窓口があります。吃音のある人にとって、この差は小さくありません。

当事者の声(20代会社員。首都圏で吃音外来のある病院を探し、実際に受診した日の記録/個人ブログ)

多くの病院は、電話で予約を受け付けています。

吃音持ちの人にとって、電話はなるべく避けたい気持ちはわかります。私もできるだけ電話は避けています。

北里大学病院の吃音外来は、メールでの受付に対応しています。 (⇒とてもありがたい!!!)

東京在住の書き手が、首都圏で吃音外来に対応している病院を調べ、大きな病院が2件見つかったところから始まる記録です。行き先を1つに決めた理由として最初に挙げられているのが、初診の予約が電話ではなくメールで受け付けられていることでした。診療の中身ではなく、申し込みの方法で行き先が決まっているということです。受付では外来診療申込書を書き、診察券と、その日の診察番号が書かれた紙を受け取ったとあります。同じ記事の最後で、書き手は、吃音外来を受け付けている病院は少なく、地方はもっと少ないと感じている、と書いています。窓口の少なさは、専門外来の案内そのものにも表れています。

出典: 【吃音治療】北里大学病院に行ってきました|予約方法や実際のトレーニングの流れについて解説(Kateブログ)(台帳: V0359)

国立障害者リハビリテーションセンター病院の成人吃音相談外来のページには、初診専用の外来であること、受診を希望する場合は予約センターでこの専門外来の予約を取ったうえで受診してほしいことが書かれています。そのすぐ下には、受診希望の方が多く予約が取りにくくなっている、という断り書きがあり、外来担当表にも完全予約制と明記されています。

北里大学病院の吃音外来のほうは、中学生以上を対象に、医師による吃音症の診断と、言語聴覚士による発声・発音練習を中心とした言語訓練を行うと案内されています。よくある質問では、1回の受診に医師の診察と言語訓練を含めておよそ1時間30分程度かかること、通院はおおむね1か月に1回程度で、個人差はあるが5〜7回程度で終了することが答えられています。そして前に書いたとおり、この外来はいま新規の予約受付を停止しており、再開は2027年2月上旬頃を予定していると告知されています。「あるかどうか」と「いま受け付けているかどうか」は別の問いです。

吃音を診る2つの病院の外来が、それぞれの案内に書いている対象年齢を並べた図。北里大学病院は、吃音外来が中学生以上で、小学生以下は耳鼻咽喉科・頭頸部外科が対応。国立障害者リハビリテーションセンター病院は、成人吃音相談外来が18歳以上で、高校生は小児吃音外来が対応。学齢は年齢に置き換えて並べたもの(中学生は12歳から、高校生は15歳から18歳)で、「以上」の行は案内に上限の記載がない。北里大学病院の吃音外来は新規の予約受付を停止中。案内はいずれも2026年8月30日に取得したもの。
図2: 年齢の切れ目は施設ごとに違う。どちらの病院も、対象から外れる年齢を別の外来で受けている。出典: 北里大学病院「診療科について【吃音外来(中学生以上対象)】」/国立障害者リハビリテーションセンター病院「成人吃音相談外来」(いずれも取得した時点の案内)

大学病院では、そもそも本人が直接予約を取れないこともあります。かかりつけ医から予約を入れてもらう順路や、紹介状がないときの負担については、九州大学の吃音外来で1本の線にして書いています。通える範囲に窓口がないときの考え方は吃音の相談先が近くにないにまとめました。

「治すため」ではなく「伝えるため」に受診する人がいる

受診の目的は、話し方を変えることだけではありません。職場や学校に自分の状態をきちんと伝えるために、その裏づけがほしくて出かける人がいます。

当事者の声(40代会社員。吃音を隠したまま働くことが限界に近づいていた、と書いている/個人ブログ note)

吃音を隠したまま働くことが、限界に近づいていた。

このままではいけない。 ちゃんと話そう。 職場に理解してもらおう。

そう思って、私は吃音外来に行った。

受診を決めた理由が、この数行にそのまま書かれています。話し方を変えたいからではなく、職場に理解してもらうためでした。診察室で行われたのは、いくつかの検査と、言葉の出方・詰まり方・緊張の反応を見ることで、そこで正式に吃音と診断された、と記されています。ただし書き手が持ち帰ったのは診断名そのものよりも、そのあとに医師から告げられた一言——吃音は現在の医療では完全に治るものではない、という言葉——のほうでした。その瞬間に絶望はしなかった、代わりに自分の中で何かがすっと決まった、と続きます。受診が終着点ではなく、そこから先の付き合い方が始まったという記録です。医療の側の見立ても、この一言と食い違いません。

出典: 吃音外来に行った日(note)(台帳: V0361)

発達性吃音(どもり)の研究プロジェクトの治療の解説は、吃音に有効性が確立された薬物はないこと、吃音を適応として保険に収載されている薬はないことを明記しています。そのうえで、治療の中心になるのは、周りの人の接し方や話す場面のほうを整えること、ことばの訓練、カウンセリング、心理療法や行動療法であり、どの患者にも一様に有効である治療法はないので、その人に応じて組み合わせることになる、としています。何がどこまで期待できるのかは、吃音治療とトレーニングで別に整理しました。

「伝えるため」に受診するという目的は、制度の側からも裏づけられています。同じ解説は、障害者差別解消法などにより、雇用主は吃音のある人から求められれば合理的配慮をする義務があるとしたうえで(面接時間を長くする、電話業務を免除するなど)、このためには吃音の診断書が必要とされることが多いと書いています。

そして、この紙が絡むと行き先の条件が一段厳しくなります。研究プロジェクトのQ&Aは、発達性吃音の場合、通常は耳鼻咽喉科で診断するが、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあり、リハビリテーション科やその他の科が対応している病院もある、と書いています。医療機関によって対応が分かれるのは実際にあることで、北里大学病院の吃音外来は、この病院では吃音による障害者手帳の交付に関わる診断書の作成は取り扱っていない、とよくある質問の中で明記しています。「吃音を診てくれる」ことと「その書類を書いてくれる」ことは、別々に確かめる必要があります紙そのものの話は吃音の診断書はもらえる?に、手帳の種類や等級、取ったあとに起きることは吃音で障害者手帳は取れる?にまとめています。

病院のほかにも、入り口はある

「病院」と「何科」で行き止まりになったとき、まだ残っている道が2つあります。ここでは施設の一覧は作りません。曜日や対象年齢や費用は公開されていないことが多く、確かめずに並べると事実でないことを書いてしまうからです。代わりに、入り口の形だけを書きます。

1つ目は、専門職の団体から探す道です。日本言語聴覚士協会は、言語聴覚障害を大きく4つ——聞こえの障害、言語機能の障害、話しことばの障害、食べたり飲み込んだりすることの障害——に整理しており、吃音は話しことばの障害に含まれると書いています。聞こえやことばの障害は目には見えにくいが、社会生活を送るうえで深刻な問題を引き起こす、というのがこのページの書き出しです。吃音ポータルサイトは、相談先を探すときの手順として、病院に問い合わせるほか、協会や各都道府県の言語聴覚士会に尋ねる方法を案内しています。

2つ目は、医療機関ではない相談の場です。吃音を専門とする相談室の中には、公的な福祉サービスとオンラインの支援を分けて案内しているところがあります。たとえば、児童福祉法にもとづく公的な福祉サービスのほうは、受給者証(福祉サービスを使うために自治体が出す証明)を取ることで一定の費用負担で利用でき、対象は未就学児から高校生で、通所による利用に限られます。一方、オンラインの支援のほうは受給者証がなくても使え、子どもから大人まで利用できるとされ、初回の相談は無料で、対面のほかオンラインでも受けられる(ただし電話による相談には応じていない)と案内されています。同じ相談室の中でも、条件によって使える窓口が分かれているということです。

吃音を専門とするNPO法人の相談室が公開している、2つの窓口の条件。公的福祉サービスは、受給者証を取得して一定の費用負担で利用し、対象は未就学児から高校生、通所による利用でオンラインは不可、児童発達支援と放課後等デイサービス、1日の利用は原則として1施設10人。オンライン支援サービスは、公的な福祉サービスではなく、受給者証がなくても利用でき、対象は子どもから大人まで、1日の利用者数の制限はない。当施設の利用は完全予約制で、利用の前に必ず初回相談を受ける。初回相談は1時間程度、費用は無料、受給者証は不要、対面のほかオンラインでも受けられる(電話による相談には応じていない)。
図3: 医療機関ではない相談室の例。同じ相談室の中でも、受給者証の要否と対象年齢で窓口が分かれている。出典: つばさ吃音相談室「つばさ吃音相談室とは/公的福祉サービス・オンライン支援サービスの特徴」

当事者どうしの集まりも、入り口の一つとしてよく挙がります。ただし性格が違います。吃音ポータルサイトは、セルフヘルプグループ(当事者の自助グループ)は当事者の集まりなので、言語聴覚士のように吃音についての学術的な知識や、改善のための専門的な指導や支援が受けられるわけではない、とはっきり書いています。そのうえで、同じ問題を持つ仲間と出会い、当事者同士でないと感じることのできない連帯感の中で悩みを聞いてもらったり、具体的な助言をもらったりできるという、そこでしか得られないものがあることも事実だ、と続けています。専門的な支援の代わりではなく、別のものとして数えるのが正確です。

子どもの相談先については、年齢によって入り口の作り方がまったく違います。そちらは小児の吃音治療にまとめました。自分の話しづらさが相談する段階なのかどうかで迷っているときは、吃音症チェックが目安になります。

行き先を探すときに陥りがちな3つのこと

落とし穴1 − 科の名前ひとつで答えが決まると思ってしまう

「耳鼻咽喉科」という答えは間違いではありませんが、それだけでは足りません。言語聴覚士は主に病院のリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などに勤務していることが多いとされる一方で、業務の幅が広いため、全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではないと明記されています。だから同じ「耳鼻咽喉科」でも、吃音を診ているところと、そうでないところがあります。手帳の意見書の場面でも、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあり、リハビリテーション科やその他の科が対応している病院もある、とされています。問い合わせるときは「何科ですか」ではなく「吃音を診ていますか」「言語聴覚士はいますか」と尋ねるほうが、答えが早く返ってきます。

落とし穴2 − 目に入る案内が子ども向けで、自分は対象外だと思ってしまう

吃音の情報は子ども向けが厚く、大人の行き先は見つけにくいのが実際です。研究の側でも、大人や青年だけを担当する言語聴覚士を集めた研究は一本も無かったと報告されています。ただし、大人を対象にした窓口が無いわけではありません。18歳以上を対象にした専門外来の案内も公開されています。年齢の切れ目は施設ごとに違い、中学生以上を対象にし、小学生以下は別の外来へ回す形をとっているところもあります。「子ども向けしか出てこない」は「大人は診てもらえない」ではありません対象年齢は、そのページの一行目に近いところに書かれていることが多いので、そこを先に見てください。

落とし穴3 − 案内の日付を見ないまま、その場所へ向かってしまう

受診先の情報は、傷みが早い部類に入ります。北里大学病院の吃音外来は、問い合わせが集中したため新規の予約受付を停止しており、再開は2027年2月上旬頃を予定していること、再開の際はホームページで知らせること、個別の電話やメールでの問い合わせには答えられないことを、自らのページで告知しています。国立障害者リハビリテーションセンター病院の成人吃音相談外来も、受診希望の方が多く予約が取りにくくなっていると断っています。この記事に書いた案内も、取得した時点のものです行くと決めたら、その施設のページをもう一度開いて、必要なら電話で確かめてください。

行き先を決める前に確かめることを順に並べた図。1、「吃音を診ていますか」と先に聞く——全ての言語聴覚士が吃音を扱うわけではないので、事前の問い合わせが案内されている。2、対象年齢を確かめる——対象は中学生以上、18歳以上などさまざまで、年齢の切れ目は施設ごとに違う。3、いま受け付けているか確かめる——新規の予約受付を停止している外来があり、予約が取りにくいと断る外来もある。4、受診の目的は何か。診断書など書類が要る場合は、5、書類を扱っているかを別に確かめる——吃音による障害者手帳の交付に関わる診断書の作成は取り扱っていない、と明記している外来がある。話しづらさを診てもらう・訓練を受ける場合は、この確認を飛ばして次へ進む。6、予約の入口を確かめて申し込む——完全予約制で、メールのみで受け付ける外来もあれば、予約センターを通す外来もある。
図4: 行き先を決める前に確かめること。案内に書かれていることを確かめる順に並べたもので、診療の手順ではありません。出典: 吃音ポータルサイト「成人の方 ─ 相談や支援」/北里大学病院「診療科について【吃音外来(中学生以上対象)】」/国立障害者リハビリテーションセンター病院「成人吃音相談外来」

よくある質問

吃音は何科に行けばいいですか?

吃音だけを扱う診療科はありません。実際にかかる科として挙げられているのは耳鼻咽喉科で、言語聴覚士が主にリハビリテーション科や耳鼻咽喉科などに勤務していることが多いとされているためです。ただし、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあり、リハビリテーション科やその他の科が対応している病院もあります。話しづらさより気持ちの負担のほうが大きい場合には、精神科という道も書かれています。

大人でも診てもらえる病院はありますか?

あります。18歳以上を対象にした成人向けの専門外来が公開されており、初診専用で完全予約制、予約センターで予約を取ってから受診する形だと案内されています。中学生以上を対象にした外来もあります。ただし、大人を担当した経験のある専門家は多くありません。研究を集めてまとめた報告は、大人や青年だけを担当する言語聴覚士を集めた研究は一本も無かったとしています。行き先を決める前に、その施設が大人を受け付けているかを確かめてください。

「吃音外来」がある病院でないと、診てもらえませんか?

そうとは限りません。吃音は「ことばの障害」に含まれ、その担い手は言語聴覚士だとされています。つまり大事なのは外来の名前ではなく、そこに吃音を診る言語聴覚士がいるかどうかです。吃音ポータルサイトは、病院に直接問い合わせるほか、協会や各都道府県の言語聴覚士会に尋ねる方法を案内しています。なお、名前のついた専門外来は数が限られており、受付が止まることもあります。

診断書や障害者手帳のために受診したいのですが、どこへ行けばいいですか?

まず、その書類を扱っているかどうかを施設ごとに確かめる必要があります。北里大学病院の吃音外来は、この病院では吃音による障害者手帳の交付に関わる診断書の作成は取り扱っていない、と明記しています。診断は通常は耳鼻咽喉科で行われますが、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあります。配慮を求める場面では診断書が必要とされることが多い、とも書かれています。手帳や診断書そのものの話は、この記事とは別にまとめています。

病院に行かずに相談できるところはありますか?

あります。吃音を専門とする相談室には、受給者証がなくても使えて、子どもから大人まで利用でき、初回の相談は無料で、対面のほかオンラインでも受けられると案内しているところがあります(電話による相談には応じていないとのことです)。当事者の自助グループもありますが、こちらは専門的な指導や支援が受けられる場ではないと明記されています。同時に、当事者同士でないと得られないものがあることも事実だ、と書かれています。

まとめ

  • 「吃音科」という診療科はない。吃音は「ことばの障害」に含まれ、その担い手は言語聴覚士だとされている。
  • 実際にかかる科として挙がるのは耳鼻咽喉科。ただし言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあり、リハビリテーション科やその他の科が対応している病院もある。気持ちの負担が大きい場合は精神科という道も書かれている。
  • 決め手は科の名前ではなく「そこに吃音を診る人がいるか」。全ての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではないので、病院や協会・都道府県士会に事前に問い合わせるよう案内されている。
  • 大人の行き先は細い。研究を集めてまとめた報告は、大人や青年だけを担当する言語聴覚士を集めた研究は一本も無かったとし、大人の治療に自信が無いと答えた割合が最も高かったとしている。それでも18歳以上を対象にした専門外来は公開されている。
  • 診断書や手帳が目的なら、扱っているかを施設ごとに確かめる。受付の状況は変わるので、行くと決めたら公式ページと電話で確認を。

参考文献

  1. 一般社団法人 日本言語聴覚士協会「言語聴覚士に相談する」
  2. 吃音ポータルサイト「成人の方 ─ 相談や支援」
  3. 発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト「A05-5 大人の障害の申請について」(2017)
  4. 発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト「治療の解説」(kitsuon-kenkyu.umin.jp)
  5. 国立障害者リハビリテーションセンター病院「成人吃音相談外来」(2026年8月30日取得)
  6. 国立障害者リハビリテーションセンター 病院リハニュース No.370〔特集〕「吃音がある自閉スペクトラム症の人への対応」(2022)
  7. 北里大学病院「診療科について【吃音外来(中学生以上対象)】」(2026年8月30日取得)
  8. 慶應義塾大学病院 KOMPAS「発話流暢性障害(吃音、クラタリング)」(2022)
  9. 「吃音(どもり)の評価と対応」日本耳鼻咽喉科学会会報 123巻9号(2020)抄録
  10. つばさ吃音相談室「つばさ吃音相談室とは/公的福祉サービス・オンライン支援サービスの特徴」
  11. Alegre, Penman, Unicomb & Scarinci (2025) Speech-Language Pathologists' Perceptions of Their Competence in Managing Stuttering: A Systematic Review with Narrative Synthesis. Int J Lang Commun Disord.

当事者の声の出典: V0295(note・名義 ほがらかグランパ)/ V0078(note・名義 星野ねね)/ V0294(note・名義 吃音症の薬剤師)/ V0359(個人ブログ・名義 Kate)/ V0361(note・名義 hana)。いずれも公開記事です。引用は原文どおりで、話者の情報は台帳の事実シートに記載のある範囲までにとどめています。

更新履歴: 2026-09-03 公開

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