まず結論から
- 吃音で申請できる手帳として資料が挙げているのは、「身体障害者手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」の2つです。
- 「4級」という等級が出てくるのは、身体障害者手帳のほうです。吃音が重度で、音声言語のみを用いて家族以外と意思伝達が困難であること(音声・言語機能の著しい障害)が認定されると、身体障害者手帳4級が交付されるとされています。ただしその身体障害者手帳は主に脳卒中による失語症を想定した制度なので、吃音で言語障害に該当する人はごく少数とされています。
- 小児期からの吃音は「発達性吃音」という診断になり、発達障害者支援法によって精神障害者保健福祉手帳の交付対象になります。
- 判定で説明が求められるのは、症状の重さそのものではなく、吃音のためにできないことがあって、他人の助けが必要かどうかです。
- 手帳の申請は「すべき」ものではなく、手帳が役立つと思われる場合に、本人の考えにもとづいて行うものだと資料は書いています。
ただし、取れる・取れないをここで決めることはできません。交付は自治体と医師の個別の判断で、自治体によっては指定された書式もあります。何級になるかを示す資料も手元にはありません。等級や金額を先に思い描くより、まず市区町村の福祉課の窓口で書式と条件を確認するほうが確実です。
あなたが見ている「4級」は、どちらの手帳の等級か
手帳の話がこじれる原因は、名前の違う制度がいくつも並んでいることにあります。吃音で申請が可能な手帳として資料が挙げているのは、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳の2つです。この2つは、根拠になる法律も、判定の考え方も、等級の刻み方も別のものです。
身体障害者手帳のほうは、言語症状が非常に重症で、かつ治療をしても改善が期待できないと判断される場合のみ交付されます。この制度はもともと脳卒中による失語症を想定してつくられているため、吃音で身体障害の言語障害に該当する人はごく少数だとされています。さらに、吃音は相当に重い場合でも治療や職場などでの慣れによって改善することがあるので、一度の認定で一生有効とすることは難しく、一般には数年後に再認定が必要という条件付きになることが多いとも書かれています。
学会の解説は、この身体障害者手帳が交付される条件をもう少し具体的に書いています。吃音が重度で、音声言語のみを用いて家族以外と意思伝達が困難であること(音声・言語機能の著しい障害)が認定されると、身体障害者手帳4級が交付されるとされています。「4級」という数字が出てくるのは、ここです。もし等級表を見比べていて数字が合わないと感じているなら、2つの制度の等級表を1枚に重ねて読んでしまっている可能性があります。
精神障害者保健福祉手帳のほうは、道筋が違います。発達性吃音は2005年に施行された発達障害者支援法の対象に含まれており、吃音によるさまざまな困難な状況を説明した医師の診断書または意見書によって、精神障害者保健福祉手帳が交付されるとされています。用紙は住所地の役所の福祉課で入手します。小児期からの吃音であれば「発達性吃音」という診断になり、この法律によって交付対象になる、という説明です。
注意したいのは、精神障害者保健福祉手帳は、うつ病などの精神疾患でも、自閉症や吃音などの発達障害でも、同じ名前の手帳になるという点です。ただし関係する法律は違いますし、担当する医師も専門が異なるのが普通だとされています。名前が同じだから同じ手続き、とは限りません。
見られているのは、症状の重さではない
「自分の吃音は重度なのか、軽度なのか」を先に測ろうとする人は多いのですが、意見書に書かれるのはそこではありません。意見書では、吃音検査の結果と、吃音のためにできないことがあって、他人の助けが必要であることを説明する必要があるとされています。
裏返すと、こうなります。ひどく吃っても、筆談などの代替手段や他人の助けなしに、自分の発話でなんとか生活も仕事も対応できている、という場合は、手帳の交付対象になりません。また、重症であっても治療を受けたことがない場合は、まず治療を受けるべきだと考えられる、とも書かれています。軸は「話し方がどれくらい崩れるか」ではなく「暮らしと仕事がどれくらい回らなくなっているか」の側にあります。
もうひとつ、入口が分かれる場合があります。言語症状よりも吃音による心理的負担のほうが大きい場合(うつ状態や社交不安障害)は、精神科を受診して、発達性吃音ではなく精神科の病名で精神障害者保健福祉手帳を申請することも可能だとされています。
意見書を書いてもらう医療機関にも、条件があります。発達性吃音の場合、いずれの手帳を申請するにしても通常は耳鼻咽喉科で診断しますが、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあり、リハビリテーション科やその他の科が対応している病院もあります。医療機関によって対応が分かれるのは実際にあることで、たとえば北里大学病院の吃音外来は、吃音による障害者手帳の交付に関わる診断書の作成は取り扱っていないと、よくある質問の中で明記しています。どこで書いてもらうかは、この記事とは別に吃音の診断書はもらえる?で詳しく扱っています。
時間もかかります。精神障害者保健福祉手帳の場合は、初診日から半年以上経たないと意見書を書いてもらえません。その間に治療をして改善するかどうかを確認することになります。そして有効期限は2年で、2年間治療や訓練で改善がなければ、医師から意見書を再度書いてもらって、手帳の継続の申請をすることになります。
手続きの前に、「自分は障害者なのか」で止まっている
制度の説明を読む前に、多くの人がその手前で立ち止まります。取れるかどうかではなく、自分をそこに数えていいのか、という問いのほうです。
当事者の声(難発型。中学生から22歳頃が最も重かったと自述する会社勤めの経験者・個人ブログ)
世の中は「普通に喋ることができる」を当たり前のこととしてルールを設けているが、俺たちはそれができないのに吃音だけでは障碍者にはなれない。
なので、綺麗な形をしている他の人たちと同じ社会のパズルピースの箱に入ることになり、そのせいで自分が歪なピースであることを何度も何度も自覚させられて生きる。そういう類の、ソーシャルな苦しみの面が非常に強いのだ。
接客業のアルバイトで「ありがとうございました」と言わなければならないシーンで、最初の一文字が詰まったように出てこない。こういったシーンは、発話できないことそのものよりも、他の人は誰でもできるのに、自分は業務を完遂できないと自覚することに強い苦しみを覚える。
難発型の当事者が、吃音の苦しさの中心はどこにあるのかを説明していく流れの中に、この一段落を置いています。この書き手は同じ記事で、苦しさの本質は発話できない不便さよりも、他人からの視線や誤解といった社会の側にあると述べており、その説明の途中にこの一行が挟まっています。別の箇所では、これだけ苦しいのになぜ吃音で手帳が取れないのかが不思議だ、とも書いています。ただ、制度の側はこの問いに、20年前から一応の答えを出しています。
出典: 吃音の苦しみを壊した話(note)(台帳: V0066)
発達性吃音は、2005年に施行された発達障害者支援法の対象に含まれています。2016年に施行された障害者差別解消法により、学校や職場での吃音に対する差別的言動および差別的扱いは禁止されており、発表や電話応対の免除、試験等での面接時間の延長などの合理的配慮を求めることができます。ただしその際、医師の診断書や言語聴覚士の報告書の提出などが求められる場合があるとも書かれています。
2024年には改正障害者差別解消法が施行され、国公立の学校だけでなく私立の学校も合理的配慮の提供が義務化されました。高校入試や大学入試の面接試験で、事前に吃音があることを伝えておくと、「過重な負担」となる範囲を除き、寛容な聞き手の姿勢や時間的な余裕の確保といった配慮を受けられるようになっています。ドイツの診療ガイドラインも、学校や仕事でのストレスは不利益が補われるようにすることで防げるとして、口頭試験で追加の時間を認めたり機器の使用を認めたりする例を挙げています。つまり「障害として扱われるかどうか」と「手帳を持つかどうか」は、別々の問いです。前者は法律の側で先に決まっており、後者だけが本人の選択として残ります。
雇う側の席から見ると、障害者雇用は「手帳前提」だった
手帳を取ると何が変わるのか。いちばん具体的な答えは、採用する側の部屋の中にあります。そこに吃音当事者として座っていた人の記録があります。
当事者の声(吃音のある会社員。勤務先の人事担当を務め、当事者団体の会員でもある・個人ブログ)
参加したグループで障害者雇用してない会社はうちだけだったので、色々質問させていただきました。
中小企業グループだったからか、結構ぶっちゃけた話を聞けて、凄く勉強になった。
障害者雇用の職種は事務が多くて、製造、清掃・品出しってのもあった。
事務もサポート役(書類整理とか入力作業とか)が多かった。
参加会社に医療系が無く。医療からもサポートあればって司会の人が言ってました。
吃音の困り感を訴えようと狙ってましたが、何せ「手帳前提」だったので切り出せず。
会社の人事担当を務めている吃音当事者が、ハローワークから案内された障害者雇用のワークショップに初めて参加した日の記録です。参加したグループで障害者雇用をしていない会社は自分のところだけだったと書き、中小企業の担当者から採用の実情を聞き出しています。職種の内訳を書き留めたあとに続くのが、この最後の一行です。自分の吃音の困りごとを持ち出そうとして、話が手帳を前提に進んでいたので切り出せなかった、と書いています。この人は同じ記事の別の箇所で、精神の手帳なので2年更新だ、という点にも触れています。手帳は、この部屋に入るための鍵として働きます。
出典: 障害者雇用のワークショップに参加した(吃音(どもり)ネタを貼ってくブログ)(台帳: V0270)
資料の側も同じことを書いています。手帳があると、障害者雇用促進法によって障害者枠での就職が可能になり、雇用主には合理的配慮をする義務が生じます。学会の解説も、これらの手帳が交付されることで福祉的就労の適応対象となる、としています。就職の面接で障害者枠という選択肢が増えるのも、手帳があるからです。
逆に言えば、この鍵がなければその部屋には入れません。診断書だけでは、障害者雇用促進法の側の枠組みには乗らないということです。手帳を「あってもなくても同じ」と考えるか「入口が一つ増える」と考えるかで、判断はかなり変わります。
取ると決めた人が、その先に見ているもの
手帳を取る選択は、しばしば「頑張れなかった人の選択」のように語られます。それに正面から異を唱えている記録があります。
当事者の声(通信制高校の卒業後に長くひきこもり、現在は精神障害者保健福祉手帳を取得して就労継続支援A型に通う・個人ブログ)
僕は精神障害者保健福祉手帳を取得して、今は就労継続支援A型の作業所に通っている。
一般企業とは違って、障害について配慮してもらいながら働くことができる。
住む場所だって、普通の賃貸だけではない。僕自身、今はアパート型のグループホームという選択肢を検討している。
世間が思い描く「普通の人生」から外れても、生きていく方法はある。
苦手なことを避けてもいい。仕事を辞めてもいい。支援を受けてもいい。障害を乗り越えられなくてもいい。
この記事の主題は、手帳の取り方ではありません。「吃音があっても気にしなければいい」「吃音があったからこそ得られたものもある」といった前向きな価値観が正解のように語られることへの違和感を、書き手は最初から最後まで通しています。苦手な環境は避けてもいい、という立場を述べたうえで、その具体例として自分の選択を最後に置いたのがこの箇所です。手帳と働き方が結びついていることは、制度の側でもそのとおりです。
出典: 吃音症界隈の大嫌いなところ(note)(台帳: V0268)
ここで、手帳を持つことの意味を制度の言葉に戻しておきます。手帳が交付されることで福祉的就労の適応対象となる、というのが学会の解説です。そして手帳があれば、私企業であっても合理的配慮が雇用者の義務になる——ただしこれは障害者雇用促進法によるので、一般就労ではなく福祉就労の枠での対応になる場合があり、会社によっては給料や昇進で一般就労とは差がつくこともあると書かれています。
この一文は、手帳の説明の中でいちばん見落とされやすいところです。手帳は「同じ働き方のまま配慮だけが増える券」ではなく、働く枠そのものが変わりうるものとして書かれています。それを引き受けたうえで選んだ人の言葉が、上の記録です。
取ったあとに、枠を選び直した人もいる
取ったら取ったで終わり、ではありません。手帳を持ったまま一般枠で就職活動をしている人もいます。
当事者の声(大学3年生。手帳を取得した約7か月後に就職活動を始めた・個人ブログ)
前回の記事では障害者枠を視野に入れることを考えていると書き残したが、しっかり働きたい私は一般枠で挑戦するべきなのだろうと思う。
以前、対面インターンに参加した際に人事の社員の方に相談をさせていただいた。一般枠と障害者枠ではやはり最初に振り分けられる仕事が変わってくる。
手帳を取得した大学3年生が、夏のインターンの選考を受けたときの記録です。この人は選考の前に、吃音があること(障害者手帳を持っていること)と、緊張場面で発語に時間を要する可能性を企業にメールで伝え、最後まで話を聞いてほしいと依頼しています。企業からは面接官に伝えるという返信があり、面接には合格したと書いています。引用したのは、そのあと自己分析を進める中で気づいたこととして書かれた箇所です。人事の社員から聞いた話として、企業の側も、障害者枠で入社した人がどこまで仕事をこなせるのかを探りながら割り振るためらしい、とも添えています。枠が違えば最初に任される仕事が違う——この話は、資料の側の記述とも重なります。
出典: 面接を受けた話(note)(台帳: V0267)
手帳を持っていることと、障害者枠で応募することは、同じではありません。手帳があると障害者枠での就職が「可能になる」と書かれているのであって、そちらを選ばなければならないわけではありません。
配慮のほうも、枠だけで決まるものではありません。「合理的」とは、雇用主に過大な負担を生じさせない範囲で、という意味だとされています。そして「合理的」とされる客観的な基準はないので、診断書や手帳の有無にかかわらず、現実には会社や上司の裁量範囲がかなり大きくなっている、とも書かれています。何を希望するのかを具体的に伝えて相談・交渉することが、結局は必要になります。この点は吃音と合理的配慮で詳しく扱っています。
控除を受けても、税がゼロになるわけではない
手帳のメリットとしてよく並ぶのが、税の控除です。ただ、「控除がある」と「税がかからない」は違います。その違いを、あとから知った人の記録があります。
当事者の声(37歳。精神障害者保健福祉手帳3級を所持し、社会不安障害と吃音がある・個人ブログ)
しかし、現実は違ったのです。
年間の収入見込みを計算した時、頭をよぎった一抹の不安。調べてみて、愕然としました。障害者控除によって税負担は確かに軽くなっている。それでもなお、決して無視できない額の所得税と住民税が、やっとの思いで掴んだこの安定した収入から差し引かれることを知ったのです。
37歳の当事者が、いまの職場で1年2か月続き、新人研修を任されるまでになったと書いた、その直後にこの段落が続きます。この人は精神障害者保健福祉手帳3級を持っていて、それによって適用される障害者控除で、これまで税は非課税だったと書いています。収入が安定して初めて、その前提が崩れた場面です。本人は、控除で負担は確かに軽くなっているが、それでも無視できない額が差し引かれる、と書いています。手帳が何を動かすかは、制度ごとに条件が決められています。
出典: 「声が出なくても、未来は変えられる」ー前編(note)(台帳: V0103)
ここは、手帳の記事がいちばん雑になりやすいところです。手元の資料に、手帳を取ると税がいくら軽くなるかを示したものはありません。資料が具体的に挙げているのは、障害者枠での就職が可能になり雇用主に合理的配慮の義務が生じること、福祉的就労の適応対象となること、就職の面接で障害者枠という選択肢が増えること——こうした、制度が手帳を条件にしている場面です。
言い換えると、手帳は暮らし全体を一律に変える券ではなく、「手帳を持っていること」を条件に書いてある制度にだけ効く鍵です。控除の枠が増えることと、手元に戻る額がいくらかは、別の話になります。金額の見通しが判断に効くなら、市区町村の窓口や税の相談先で、自分の収入で確かめるのが確実です。
手帳を調べるときに陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 2つの制度の等級表を、1枚に重ねて読む
手帳の解説記事の中には、身体障害者手帳の等級と精神障害者保健福祉手帳の等級を並べて示したうえで、「吃音の一般的な等級」としてまとめてしまっているものがあります。この読み方をすると、自分がどちらの制度の話をしているのか分からなくなります。「4級」という等級が出てくるのは身体障害者手帳のほうで、音声言語のみを用いて家族以外と意思伝達が困難であること(音声・言語機能の著しい障害)が認定された場合とされています。そしてその身体障害者手帳は、主に脳卒中による失語症を想定した制度で、吃音で該当する人はごく少数です。まず「どちらの制度の話か」を決めてから、等級を見てください。
落とし穴2 − 自分の症状が「重度」かどうかで、可否を先に決めてしまう
「重度でなければ取れない」と思い込むと、判断の軸がずれます。意見書で説明が求められるのは、吃音検査の結果と、吃音のためにできないことがあって他人の助けが必要であることです。ひどく吃っても、筆談などの代替手段や他人の助けなしに生活も仕事も対応できている場合は交付対象になりません。逆に、言語症状よりも心理的な負担のほうが大きい場合は、精神科の病名で申請するという道も書かれています。重い・軽いの自己判定より、「何ができなくなっているか」を書き出すほうが、窓口でも医療機関でも話が早くなります。
落とし穴3 − 一人で調べ続けて、記録を残さないまま窓口をまわる
手続きは時間がかかります。精神障害者保健福祉手帳の意見書は初診日から半年以上経たないと書いてもらえず、有効期限は2年で、継続には意見書をもう一度書いてもらう必要があります。書式は自治体によって指定されている場合があるので、まず市区町村の福祉課の窓口で確認してください。意見書を書ける医療機関も限られていて、通常は耳鼻咽喉科ですが、言語聴覚士がいて吃音の検査をしている病院でないと診断できないことがあります。北里大学病院の吃音外来のように、手帳の診断書は取り扱っていないと明記している医療機関もあります。
この半年のあいだ、どんな場面でどう困ったのかを書き留めておくと、意見書のための受診でも窓口でも役に立ちます。電話が取れなかった日、名乗れなかった場面、言い換えた回数——記憶ではなく記録で話せると、伝えられる中身が変わります。まずは手元のメモから小さく始めて、言語聴覚士やことばの教室に相談できる場合はそちらが確実です。
よくある質問
吃音は「障害」なのですか?
発達性吃音は、2005年に施行された発達障害者支援法の対象に含まれています。2016年に施行された障害者差別解消法により、学校や職場での吃音に対する差別的言動および差別的扱いは禁止されており、発表や電話応対の免除、試験等での面接時間の延長などの合理的配慮を求めることができます。ただし、そのことと手帳を持つかどうかは別です。手帳の申請は「すべき」ものではなく、役立つと思われる場合に本人の考えにもとづいて行うものだとされています。
吃音の障害者手帳は何級になりますか?「4級」という等級はありますか?
何級になるかを示す資料は手元になく、断定できません。ただし「4級」が出てくるのは身体障害者手帳のほうで、吃音が重度で、音声言語のみを用いて家族以外と意思伝達が困難であること(音声・言語機能の著しい障害)が認定された場合とされています。その身体障害者手帳は主に脳卒中による失語症を想定した制度で、吃音で言語障害に該当する人はごく少数です。等級は、どちらの制度で申請するのかが決まってからの話になります。
手帳を取ると、デメリットはありますか?
資料が具体的に書いているのは、制度上の位置づけです。手帳があれば私企業でも合理的配慮が雇用者の義務になりますが、これは障害者雇用促進法によるので、一般就労ではなく福祉就労の枠での対応になる場合があり、会社によっては給料や昇進で一般就労とは差がつくこともあるとされています。また、意見書には吃音のためにできないことがあって他人の助けが必要であることを説明する必要があります。自分のできないことを書類にする手続きだ、という点は先に知っておくほうがよいでしょう。
子どもでも障害者手帳は取れますか?
小児期からの吃音は「発達性吃音」という診断になり、発達障害者支援法によって精神障害者保健福祉手帳の交付対象になるとされています。実際に、4歳の男の子について、園での理解が低いと感じた母親が、吃音を障害として公的に証明し周囲の理解を得るために手帳申請の記載を医師に希望して取得し、取得後は園で手帳を開示することで一定の配慮を認めるようになった、という症例報告があります。ただし従来、吃音のある人が手帳を申請する目的は、成人が福祉的就労のために行うことがほとんどでした。申請時には医師の診断書記載が必須です。
手帳は2年で更新と聞きました。よくなったら、どうなりますか?
精神障害者保健福祉手帳は、初診日から半年以上経たないと意見書を書いてもらえず、有効期限は2年です。2年間、治療や訓練で改善がなければ、医師に意見書を再度書いてもらって継続の申請をすることになります。身体障害者手帳のほうも、吃音は相当に重い場合でも治療や職場などでの慣れによって改善することがあるため、一度の認定で一生有効とすることは難しく、一般には数年後に再認定が必要という条件付きになることが多いとされています。
まとめ
- 吃音で申請できる手帳として資料が挙げているのは、身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳の2つ。「4級」が出てくるのは身体障害者手帳のほうで、音声・言語機能の著しい障害が認定された場合とされている。
- その身体障害者手帳は主に脳卒中による失語症を想定した制度で、吃音で該当する人はごく少数。小児期からの吃音は発達障害者支援法によって精神障害者保健福祉手帳の交付対象になる。
- 意見書で説明が求められるのは症状の重さではなく、吃音のためにできないことがあって他人の助けが必要であること。助けなしに生活も仕事も回っている場合は交付対象にならない。
- 手帳は、障害者枠での就職や福祉的就労といった、制度が手帳を条件にしている場面に効く。一方で福祉就労の枠になり、給料や昇進で一般就労と差がつくこともある。
- 初診日から半年、有効期限は2年で継続には意見書の再取得が要る。書式は自治体によって違い、手帳の診断書を扱っていない医療機関もある。取る・取らないは本人の判断で、「すべき」ものではない。
