まず結論から
- 吃音のほとんどは幼児期に始まります。2〜4歳をピークに始まると報告されており、新しく始まる危険の大半は5歳までに過ぎている、というのが、集団を数えて調べる研究(疫学)の見方です。
- ですから中学生の「急に」の多くは、新しく始まったのではなく、もともとあった吃音の出方が変わったものだと考えられます。そして吃音の9割以上は、低年齢のうちに始まる発達性吃音だとされています。
- 思春期以降は、音を繰り返す形や引き伸ばす形よりも、ことばが出ずに間があいてしまう形(難発)が中心になります。同じ人の中で症状の形が入れ替わるので、「急にひどくなった」と感じられます。
- 脳のけがや病気のあと、あるいは強いストレスやつらい出来事のあとに始まる吃音(獲得性吃音)もありますが、この型が始まるのは青年以降(10代後半〜)とされています。それでも、けがや体調の変化のあとに急に始まったなら、自己判断せず医療機関で確かめてください。
- 発表や音読がつらくて学校へ行きたがらない状態が続くなら、様子見をやめる目安です。中高生は人前で強い不安を感じる状態(社交不安症)を発症しやすい時期にあたり、学校での生活に影響が及ぶことがあると指摘されています。
ただし、ここに書けるのは「多くの場合はこうです」までです。目の前の一人がどれに当たるかは、この記事では決められません。切り分けの見当をつけたら、その先はことばや聞こえの専門職である言語聴覚士や、学校の中でことばの相談にのってくれる教室(ことばの教室)に渡してください。
背景① 「急にひどくなった」——変わったのは症状の形
吃音の症状には、大きく3つの形があります。音を繰り返す形(「か、か、からす」)は連発、引き伸ばす形(「かーーらす」)は伸発、ことばが出ないまま間があいてしまう形(「・・・・からす」)は難発、あるいはブロックと呼ばれます。
この3つは、同じ人の中でずっと同じ割合で出るわけではありません。だから、症状の量は変わっていなくても、形が変われば「急に別のものになった」ように見えます。次の手紙は、その変わり目を家族の側から書いたものです。
中学1年の次男が3歳ごろからどもる母親の手紙(自助団体・日本吃音臨床研究会「保護者の体験」)
現在中学1年の次男が3歳頃からどもることに気づき、市のことばの先生に相談をしました。小学校に入っても授業参観の時の発表など、ことばの出だしが「繰り返し」の状態でどもっていましたが、一度ことばが出るとあとは普通に話していて調子の良い時や悪い時もありましたので、そのまま特に何をするでもなく過ごしていました。
ところが中学1年の夏休み頃からどもりが急にひどくなり、今までの繰り返しの状態ではなく「・・・・・」とつまりが10秒位長い間が続くような状態が続き、しまいには話すのをやめてしまうようになってしまったのです。
3歳のころに気づいてから、この母親が相談した先は市のことばの先生でした。小学校の授業参観でも出だしはつかえる。けれど一度出れば普通に話せる。調子の良い時期と悪い時期があるまま、年月が過ぎていきます。それが中学1年の夏休みを境に変わりました。二学期に入ると、朝は暗い顔で家を出て、金曜の夕方に帰ってきたときがいちばんほっとした表情になる。ある朝、支度をせずに部屋で下を向いていた息子に理由を聞くと、返ってきたのは「学校でみんなの前で話す発表があるから…」でした。母親が市の保健センターに電話をすると、息子の年齢が大きいため市の相談所では対応できないと言われ、吃音の相談に合う病院をいくつか勧められます。予約が取れた小児精神科の診察は、1か月半ほど先でした。学齢期の吃音は、担任の先生の対応や、周囲の友達との関係に大きく左右されるとされています。
出典: 保護者の体験(吃音と上手につきあうための吃音相談室・日本吃音臨床研究会)(台帳: V0108)
この「繰り返しから、長い間へ」という変わり方は、この家庭だけの出来事ではありません。学会の解説は、思春期以降は、連発や伸発より難発が中心になると書いています。国立障害者リハビリテーションセンター研究所の解説も、症状が進むと、話そうとしても最初のことばが出なくなることが多い、と同じ順序を示しています。
つまり中学生の「急にひどくなった」は、多くの場合、新しく別のものが始まったのではなく、もともとあった吃音の中心が、繰り返しから「詰まり」へ移ったということです。詰まりは音が出ないぶん沈黙になるので、周りにも本人にも、以前より重く感じられます。
背景② ずっとあったのに、気づいたのが中学だった
2つめの背景は、症状ではなく本人の側で起きた変化です。吃音が始まった時期と、本人が「自分は他の子と違う」と気づく時期は、同じではありません。そして中学生は、この2つがずれたまま追いついてくる年齢です。
大阪出身・現在は社会人の当事者(自助団体メディア・NPO法人日本吃音協会「吃音の体験談」)
中学校に入学した当初は吃音を気にせず、非吃音者と同じように学校生活を送っていました。その時までは言葉に詰まることもなく、発表することにも抵抗はありませんでした。
吃音をより意識するようになったのは、中学2年生からです。しかし、吃音自体は小学3年生からありました。
小学生時代は、吃音を意識していなかったせいか、話しづらさを感じていませんでした。そのおかげで、悩むことがなかったのだと思います。
始まった時期と、自分で気づいた時期が5年ずれている——本人は同じ文章の中で、その両方を淡々と並べています。中学2年になってからは、サ行のことばを言うときに「言葉が出ないかもしれない」と身構えるようになり、サ行をなるべく使わないように避けるようになった。当時はまだ吃音症ということばを知らず、周りの子と少し違う、話し方がおかしい、とだけ思っていたと書いています。そして深刻には思っていなかったので、先生にも周りの子にも相談していません。国立障害者リハビリテーションセンター研究所の解説は、成長とともに周囲から指摘される場面が増え、子どもは自分のことばの出づらさをはっきり意識するようになる、と説明しています。
出典: 吃音を自覚した中学2年生。人前で話す授業はこう乗り越えた!(NPO法人日本吃音協会 HAPPY FOX)(台帳: V0160)
この「ずれ」があり得ることは、発症の時期を調べた数字が裏づけています。学会の解説によれば、吃音の発症は2〜4歳がピークで、そのほとんどが幼児期に起きます。幼児期を対象にした近年の調査では、吃音の発症率が約8〜11%程度と報告されています。日本の研究では、3歳までに発症する割合が8.9%でした。一方、学童期以降おとなまでの割合はぐっと下がり、ある時点で数えると人口の0.8%ほどが妥当とされています(この数え方を「時点有症率」と呼びます)。
これまでの疫学研究をまとめた論文(総説)も、吃音が新しく始まる危険の大半は5歳までに過ぎていると結論づけており、著者ら自身の調査では95%が4歳までに過ぎていたと報告しています。中学生という年齢は、統計で見るかぎり、吃音が新しく始まりやすい時期ではありません。
背景③ 中学で増えるのは「逃げられない場面」
3つめは、本人も症状も変わっていないのに、置かれる場面のほうが変わるという背景です。音読、授業での指名、日直、部活の号令、そして高校入試の面接。中学生活は、言い換えがきかず、みんなが聞いている場面が急に増えます。
当事者本人・執筆時32歳の会社員(自助団体の作品公募「ことば文学賞」受賞作)
思春期真っ只中の中学2年の時、社会の授業で本読みをさせられた私は、たった一つの言葉を前に立ち止まっていた。どうしても声がでない。ことばの信号の赤が青にならない。教室は静まりかえっている。頭が真っ白になってそして真っ黒になった。先生が「もういいよ」と言って座った後、授業が終わるまでの記憶はない。
この作品の書き出しで、書き手は「初めて公にどもった時のことを私は忘れることができない」と記しています。場面は中学2年の社会の授業、指されて読んだ本読みの、たった一つの言葉の前。その日は最後の授業で、泣きながら帰宅し、家でも布団にもぐって泣いたと書かれています。もう学校には行かないつもりだった、とも。数日後、担任からクラスメイトに説明があり、嫌々ながら迎えられて登校し、元の生活には戻りました。それでもここから、本読みや発表にますます敏感になっていったと本人は書いています。学会の解説も、中高生が話しづらさを感じやすい場面に、部活動や入学面接を挙げています。
出典: 第16回ことば文学賞~わるくない~(吃音と上手につきあうための吃音相談室・日本吃音臨床研究会)(台帳: V0156)
ここで起きていることには、順序があります。話す場面でうまくいかない経験が積み重なると、口を開く前から不安や恐怖が先に立ち、やがて人と話すこと・人の集まる場そのものを避けるようになる。さらに、言いにくい単語を別の言い方に差し替えて吃音を隠す工夫が加わります。すると外から見える吃音のほうはむしろ目立たなくなる一方、本人は吃音が出ないかと日々警戒しながら暮らしているため、悩みやストレスを内に抱え込みやすくなる——学会はこの経過をそう説明しています。症状が重い方へ動いていくこの過程を、専門家は「進展」と呼びます。
逆に言えば、吃音の出方は場面しだいで大きく変わります。歌うときや、2人で声をそろえて言うとき、独り言のときなど、一時的に流暢になる人が多いことも知られています。また、調子の良い状態・悪い状態が数週間から数か月続く「波」があるとも書かれています。「先週はあんなに話せていたのに」は、珍しいことではありません。
誰に相談するか——中学2年の教室から、言語聴覚士の前まで
中高生は、吃音の悩みを自分ひとりで抱え込み、人に打ち明けられずにいることが少なくない、と学会は書いています。背景②で紹介した人も、深刻には思っていなかったから相談しなかった、と振り返っていました。相談は、症状の重さより先に「言えるかどうか」でつまずきます。
当時中学2年の女子(自助団体・小中高校生の吃音のつどい/中学校生徒意見発表会で読まれた原稿)
そんな私を心配して、昨年の夏、両親が専門の病院に連れて行ってくれる事になりました。そこで初めて「言語聴覚士」の先生に出会いました。先生は、「治す事より、これから吃音とどう付き合っていくかを考えよう」と言いました。そして、吃音者で作られているグループ、「小中高校生の吃音のつどい」を紹介してくれました。
この人が中学2年の教室でいちばん困っていたのは、お礼を言う場面でした。プレゼントをもらって「ありがとう」がすぐに声にならず、黙ってしまう。授業で意見を言えば、半分ほど話したところで先生に結論をまとめられてしまい、「違います」も出てこない。その様子を心配した両親が、前の年の夏に専門の病院へ連れて行きます。紹介された集まりでは、吃っても皆が静かに次の言葉を待っていてくれた、と本人は書いています。担任と顧問の先生に手紙を書き、クラスの皆に伝えてもらったことも原稿に残しています。学会の解説も、同じ吃音のある人たちと出会うことは、吃音を悪いものと捉える気持ちが減るといった心理的な変化のきっかけになることがある、と述べています。
出典: ともに―吃音と生きる―(体験談)(小中高校生の吃音のつどい)(台帳: V0069)
相談先は、大きく3つに分かれます。ひとつはことばや聞こえの専門職である言語聴覚士です。本人が治療を望む場合には、言語聴覚士のもとで発話の訓練を受けるという道があり、訓練だけでは症状がよくならないときや、吃音への不安が強いときには、心理療法やカウンセリングが役立つこともあるとされています。実際に受けるときは、言語聴覚士のいる医療機関を探すことになります。ふたつめは学校の中でことばの相談にのってくれる教室(ことばの教室)で、小児を扱う言語聴覚士とあわせて、まず相談する先として挙げられています。これは学会の解説では、幼児期・学齢期の子どもについて書かれている部分です。みっつめは当事者どうしが集まる自助団体で、1965年に発足した言友会が国内で最も歴史が古く、若い世代を対象にした団体もあります。
学校に対しては、苦手な場面での配慮や支援をお願いすることができます。障害者差別解消法(2016年施行)のもとでは、発表や電話応対を免除してもらう、試験などで面接時間を延ばしてもらうといった対応を申し出ることができるとされており、こうした対応を「合理的配慮」と呼びます。ただしその際には、医師による診断書や、言語聴覚士による報告書の提出を求められることがあります。具体的な訓練の中身や、学校への伝え方は中学生の吃音症の治し方の記事にまとめています。
そのうえで、様子見をやめる目安を挙げておきます。これは診断ではなく、相談を考えるためのめやすです。
- これまで全く無かった吃音が、中学生になって本当に新しく始まった——発症のピークは2〜4歳とされているので、確かめておく価値があります
- 頭やからだのけが、体調の急な変化のあとに始まった——脳に損傷を受けて起きる吃音があるとされているので、この場合はまず医療機関へ
- 音読や発表がつらくて、学校に行きたがらない日が出てきた——不登校や、ひきこもりへと発展することがあると指摘されています
- 話す場面や特定の授業を避けるようになった——うまく話せない経験が積み重なると、口を開く前から不安や恐怖が先に立ち、人と話す場を避けるようになるとされています
- 言いやすい言葉への言い換えが増えた——吃音が重い方へ動いていく過程(進展)につながる場合があると説明されています
- 本人が強く気にしている——隠す工夫が進むほど吃音は目立たなくなる一方で、本人は出ないかと日々警戒しながら暮らしていると説明されています
当てはまる項目があっても、すぐに重い状態とは限りません。逆に、当てはまらなくても本人がつらいなら相談してかまいません。
けがや病気のあとに、本当に急に始まったとき
ここまでは「もともとあった吃音」の話でした。では、本当に新しく始まった場合はどうか。幼児期に始まるふつうの吃音を発達性吃音と呼ぶのに対し、それ以外は獲得性吃音と呼ばれます。9割以上を占めるのは発達性のほうです。
獲得性吃音は、さらに2つに分かれます。脳腫瘍・脳の外傷・脳卒中といった、脳が損傷を受けて起きるものは「神経原性吃音」と呼ばれます。もうひとつは、心的なストレスや外傷体験に続いて生じるもので、「獲得性心因性吃音」と呼ばれます。国立障害者リハビリテーションセンター研究所の解説は、この2つはどちらも発症時期が青年以降(10代後半〜)だとしています。中学生の年齢は、この説明にあてはまりません。
さらに大切なのは、学会の解説が、子どものうちに始まった吃音は、精神的な要因が関わっていたとしても、発達性吃音とみなして対応するのが通常だ、と明記していることです。つらい出来事のあとにどもりが強くなったとしても、それだけで「心因性の別の病気」と考えるのは、この記述からは離れます。
研究の側では、脳卒中や頭部のけがなどのあとに大人で吃音が始まる現象は、失語や運動性の話しにくさに比べてずっとまれだと総説が述べています。しかも、聞こえ方だけで神経の損傷によるものと心理的な背景によるものを確実に見分けることはできず、判別は難しいとされています。神経の損傷の証拠がない成人発症の4例を調べた研究では、どもり方の種類・頻度・出る場所のどれも発達性吃音と統計的に意味のある差は無く、原因のはっきりしない吃音の症状が大人になってから始まることはありうる、と結論づけられています。
まとめると、中学生で「本当に新しく始まった」かどうかを、話し方の聞こえ方だけで切り分ける方法は用意されていません。だからこそ、けがや体調の変化のあとに急に始まったときは、自己判断で様子を見ずに医療機関で背景を確かめる——これが、この節から言える唯一の実務的な結論になります。
保護者へ——話し方ではなく、話の中身を聞く
急に吃音が出はじめると保護者は驚きます。これは幼児期・学齢期の子どもの保護者に向けて書かれている部分ですが、学会がそこで求めているのは、心配そうな顔をして見せず、子どもが話す内容のほうに耳を傾けて聞くことです。かつては、吃音に気づかせないほうがよいという対応が主流でした。しかしその考え方は、今では否定されています。むしろ、親子で吃音の話ができる関係をつくってほしい、と書かれています。
原因についても、はっきりした否定があります。親の接し方の悪さ(愛情不足)に原因を求める説や、親が吃音だと受け止めて対応したことが原因だとする説(吃音診断起因説)は、間違った原因論のうち最も問題のあるものとして名指しで挙げられています。2000年ごろ以降、双子研究・脳研究・遺伝子研究によって、吃音の原因は環境よりも生まれつきの体質のほうが多くを占めると分かった、というのが現在の整理です。中学生の「急に」も、育て方や本人の性格に原因を探すところからは始まりません。
中高生の保護者に固有の役割として学会が挙げているのは、本人の気持ちに寄り添うことと、吃音について正しい情報を得ること、そして本人が望む場合には学校に配慮や支援を求めて環境を整えることの3つです。順序が大事で、学校への働きかけは本人の意思の後ろにあります。「誰に相談するか」で紹介した中学2年の女子も、担任と顧問へ手紙を書いたのは本人でした。
中学生の吃音で陥りがちな3つの落とし穴
落とし穴1 − 「急に発症した」と決めて、原因さがしを始める
発症のピークは2〜4歳で、新しく始まる危険の大半は5歳までに過ぎています。中学生の「急に」は、症状の形が変わったか、気づいた時期が来たか、場面が変わったかの、どれかに近いことが多いです。原因を一つに決める前に、この3つのどれに近いかを見てください。
落とし穴2 − 「気の持ちよう」「性格」の問題にしてしまう
吃音の原因としては、環境よりも生まれつきの体質のほうが多くを占めると整理されています。緊張する場面で出やすいことと、緊張が原因であることは別の話です。まず、本人の努力不足にしないところから始まります。
落とし穴3 − 隠せているうちは大丈夫、と考える
言い換えで隠す工夫が進むと、外からは目立たなくなる一方で、本人は吃音が出ないかと日々警戒しながら過ごすことになります。見た目の軽さは、負担の軽さではありません。いつ・どんな場面で出やすいかを書きとめておくと、相談のときに経過を正確に伝えられます。記録を続けたいときは、発話の記録を続けやすくするアプリを使う方法もあります(アプリは記録と継続を支えるもので、治療をうたうものではありません)。言語聴覚士など専門機関に相談できる場合は、そちらが確実です。
よくある質問
中学生になって急に吃音が出ました。新しく発症したのでしょうか?
吃音の発症は2〜4歳がピークで、そのほとんどは幼児期に起きると報告されており、新しく始まる危険の大半は5歳までに過ぎているとされています。そのため「急に」と感じても、多くはもともとあった吃音の出方が変わったものと考えられます。気になるときは、言語聴覚士のいる医療機関やことばの教室にご相談ください。
中学生でも、新しく吃音が始まることはありますか?
ゼロではありませんが、まれです。脳の損傷や心理的な原因で生じる獲得性吃音は、どちらも発症時期が青年以降(10代後半〜)とされています。獲得性吃音では、原因として脳腫瘍・脳の外傷・脳卒中などが挙げられているため、けがや病気のあとに急に始まった場合は、自己判断せずまず医療機関にご相談ください。
中学に入って急に「詰まる」ようになりました。悪化しているのでしょうか?
思春期以降は、音を繰り返す形や引き伸ばす形よりも、ことばが出ずに間があいてしまう形(難発)が中心になるとされています。症状の形が変わったために重く感じられている場合があります。ただし中高生では、人と話す場を避けるようになり、不登校や、ひきこもりへと発展して学校生活そのものに影響が及ぶこともあると指摘されています。話す場面を避けるようになったり、学校に行きたがらない日が出てきたときは、様子見にせず相談してください。
吃音は緊張やストレスが原因ですか?
双子研究・脳研究・遺伝子研究から、吃音の原因は、育つ環境よりも生まれつきの体質のほうが多くを占めると分かっています。一方で、中高生なら部活動や入学面接などが、話しづらさを感じやすい場面に挙げられており、思春期は生活環境が変わるなかで吃音が悪化する場合もあるとされています。原因の話と、出やすさの話は分けて考えてください。
何科に相談すればいいですか?学校にお願いできることはありますか?
まず相談する先として挙げられているのは、小児を扱う言語聴覚士と、学校の中でことばの相談にのってくれる教室(ことばの教室)の教員です。実際には、言語聴覚士のいる医療機関やことばの教室が入口になります。学校には、発表や電話応対を免除してもらう、試験などで面接時間を延ばしてもらうといった対応(これを「合理的配慮」と呼びます)を申し出ることができるとされていますが、その際に医師による診断書や、言語聴覚士による報告書の提出を求められることがあります。
まとめ
- 中学生の「急に」を、この記事では3つの背景に分けました。症状の形が変わった/前からあったものに気づいた/場面が変わった。どれも「新しく始まった」ではありません。
- 発症のピークは2〜4歳で、新しく始まる危険の大半は5歳までに過ぎています。中学生での新規の発症は、統計的にはまれです。
- 思春期以降は、ことばが出ずに間があく形(難発)が中心になります。沈黙になるぶん、周りにも本人にも重く見えます。
- けがや病気のあとに本当に急に始まった場合、聞こえ方だけで原因を見分けるのは確実ではないとされています。脳に損傷を受けて起きる吃音があるとされているので、自己判断せず医療機関で背景を確かめてください。
- 隠せるようになるほど負担は見えなくなります。出やすい場面を書きとめ、つらいときは言語聴覚士やことばの教室に相談しましょう。
