RASS吃音研究会とは|言語聴覚士が学ぶ場・間接法・平均3年の訓練

目次

「RASS」という4文字にたどり着いて、そこで止まっている方が多いと思います。団体の名前なのか、方法の名前なのか。自分や家族が申し込める場所なのか、それとも自分には関係のない場所なのか。アルファベットだけでは、そのどれも分かりません。

この記事では、RASS吃音研究会の公式サイトに書かれていることだけを頼りに、そこが誰のための場所なのかを整理します。そのうえで、そこで扱われている「間接法」と呼ばれるやり方について、国立障害者リハビリテーションセンターが出している資料が何と説明しているか、マードック小児研究所やグリフィス大学などの研究者による系統的レビュー(同じテーマの研究を条件を決めて集め、まとめて評価したもの)が子どもについて何を示しているかを並べます。会の評判や費用は扱いません。扱うのは、公開されている記載から何が言えて、何が言えないかです。

ソンタクマン(toVoice 運営)
吃音当事者。研究論文と当事者の声をもとに、吃音の情報を出典つきで発信しています。

この記事は情報提供を目的としたもので、診断や治療の判断に代わるものではありません。気になる症状があるときは、言語聴覚士やことばの教室にご相談ください。

まず結論から

  • RASS吃音研究会は、公式サイト自身が「年表方式のM・R法を含む吃音の間接治療法の紹介サイト」と名乗っている場所です。
  • 案内の宛先は言語聴覚士です。サイトには「言語聴覚士の方へ」という区分があり、研修会の情報や活動履歴がそこに置かれています。
  • この会は2014年9月に「年表方式のメンタル・リハーサル法研究会」から現在の名前に変わった、と沿革に書かれています。つまり RASS は、もともと一つの技法の名前を冠した集まりでした。
  • サイトは「吃音年表のメンタルリハーサル法は専門的なトレーニングを受けた言語聴覚士が臨床にて行うものです」と明記し、類似の名称の訓練法や教材販売とは関わりがないと断っています。
  • 期間についても自分から書いています。この方法は平均3年の訓練期間を要し、短期集中をうたうセミナーや教材販売は理論が異なる、というのがサイトの説明です。国立障害者リハビリテーションセンターの資料も、間接法には平均2〜3年の時間が必要だと書いています。

ただし、この記事はこの会や、そこで学んだ人を勧めるものでも、勧めないものでもありません。ここに並べたのは公開されている記載と、別の資料が同じ方法をどう説明しているかだけです。ある方法について「効く」「効かない」と言い切るには、受けなかった場合と比べた研究の積み重ねが要りますが、手元の資料からそれが揃っているとは言えません。

RASSは、誰に向けて開かれている場所なのか

結論から言えば、この会の案内は当事者ではなく、支援する側の専門職に向いています。ただ「専門職に向いた会がある」と言われても、なぜそんなものが要るのかは伝わりにくいと思います。そこでまず、吃音を担当することになった言語聴覚士自身が、何に困り、どこで学んだのかを書き残した記録から入ります。

言語聴覚士(平良和さん・沖縄リハビリテーション福祉学院 言語聴覚学科 専任教員/自助団体のサイト「言語聴覚士の実践」に寄せた実践記。本人の一人称の文章です)

そのとき、「第一回臨床家のための吃音講習会」があり、送られてきた事前資料の中の、「私は吃音を治せませんと、子どもにも初回面接で伝える」のフレーズは、「治す、改善する」が言語聴覚士の仕事だと思っていた私には、衝撃的でした。不安より、期待をもって参加した講習会のテーマは「ナラティヴ・アプローチ」でした。聞きなれないことばでしたが、生活に密着しており、イメージができ、生活を変える関わりはこれだと思いました。当事者のことは本人に聞き、一緒に考えていく無知の姿勢、今後のことは当事者と医療従事者が対等に話し合う対等性は、私がこれまで臨床で感じていたもやもやを一気に消し去ってくれました。

回復期の病院で機能の訓練にあたり、次に障害者支援施設で利用者の暮らす場に入り、その後に地元の養成校の教員になった人の記録です。担当することになった講義の一つが吃音でしたが、県内に頼れる相手が見当たらず、一から勉強を始めたと書かれています。ここで名前の挙がっている「ナラティヴ・アプローチ」は、本人が自分のことを語る物語のほうを中心に置く関わり方を指します。注目したいのは中身そのものより、資格を取ったあとに、講習会という形で学び直す道筋があったという一点です。吃音を扱う専門職が資格の外で技法を学ぶ場は、こうした形で各地に存在しています。

出典: 言語聴覚士の実践(吃音と上手につきあうための吃音相談室・日本吃音臨床研究会)(台帳: V0114)

RASS吃音研究会のサイトも、同じ構図の中にあります。トップに掲げられているのは「このホームページは、年表方式のM・R法を含む吃音の間接治療法の紹介サイトです」という一文で、左側のメニューには会員向けの区分とは別に「言語聴覚士の方へ」という区分が置かれ、そこにお知らせ・研修会情報・活動履歴が並んでいます。研修会は「理論編(旧基礎編)」と「臨床編(旧実践編)」の二段構えで案内されており、かつては基礎編・実践編と呼ばれていたことが、名称の併記から読み取れます。

会員になる道筋も書かれています。会員専用ページの利用に必要なIDやパスワードは、研修会の基礎編および実践編のすべての過程を修了して会員となった方に伝えている、というのがサイトの説明です。入会規約などの詳細は、実践編の最終講義後に説明していると記されています。研修を全部受けた人だけが中に入る仕組みだということです。さらに、修了後も関東・関西・九州・東海といった地域ごとの勉強会、フォローアップ勉強会、症例検討会、複数の臨床家で互いの事例を検討するグループ・スーパーヴィジョンやピア・スーパーヴィジョンの案内が更新情報に並びます。学び直しが一度きりではなく、続く形になっているのが特徴です。

ここで一つ、前提を確かめておきます。言語聴覚士は、言語障害や聴覚障害のある方への指導や支援を行う専門職で、理学療法士や作業療法士とともに国家資格になっています。その養成課程の中には吃音が含まれており、吃音のある方の指導・支援の中核を担う存在として役割が期待されている、と公的な案内は書いています。そのうえで同じ案内は、言語聴覚士の扱う業務は多岐にわたるため、必ずしもすべての言語聴覚士が吃音の指導や支援を行えるわけではない、とはっきり書いています資格の中に吃音は入っているけれど、資格を持っているだけで吃音を担当できるとは限らない。研修会という形の場が要るのは、この隙間があるからです。

そこで扱われている「間接法」とは、何をする方法なのか

サイトが名乗っている「間接治療法」という言葉も、そのままでは中身が見えません。どんな練習をするのか、何が「間接」なのか。ここでも先に、吃音のある人が専門の教育に入って初めて知ったことを書き残した記録を置きます。

当事者本人(幼少期から吃音があり、受診経験のないまま言語聴覚士の養成校に進んだ方が、個人ブログに書いた記事)

そんなこんなで大学を卒業し、発達障害の専門家になりたい!と考え言語聴覚士の専門に入ると、なんと吃音は言語聴覚療法で改善が目指せるらしいと知りました。。

えぇ!!!!!嘘でしょ!!!!治せんのこれ!!!!!!!

あんなに小さい頃から苦しんで来たのに。私も病院行ってたらもっとマシだったんでは???自然治癒し切ってないんだから、治療行きたかったよ!!と心の底から叫びました。

小学校の低学年で自分の話し方を意識し始め、高学年で周りから話し方をいじられ、それでも病院にはかからないまま高校・大学を過ごした人の記録です。大学卒業後に入った養成校の授業で、自分の話し方が支援の対象として教えられていることを知った場面が、この一節にあたります。ここで浮かび上がるのは、専門職の側に技法があることと、それが当事者に届いていることは別だという事実です。だから、名前だけが見えている方法については、まず中身の説明を探すことになります。

出典: 言語聴覚士を志すまで、吃音は治療できる疾患であると知りませんでした(note)(台帳: V0172)

国立障害者リハビリテーションセンターが出している資料が、青年期以降の訓練法を二つに分けて説明しています。話し方そのものに働きかけるやり方が「直接法」で、代表的なものとして、吃音が出にくいように調整された話し方を身につける方法(流暢性形成法)と、楽にどもることを目標にする方法(吃音緩和法)が挙げられています。もう一方の「間接法」にはメンタルリハーサル法があり、話し方に直接は手を入れず、日常生活では話すことへ意識を向けず、言い換えや回避をしないように指導しながら、夜、寝る前に頭の中のイメージで毎日話す練習をすると説明されています。RASSのサイトが「間接治療法」と名乗っているのは、この後者の側です。

同じ資料は、どちらにも限界があると続けます。直接法では、本来その人が持っている話し方とは違う調整された話し方になるため違和感を持つ方もおり、効果の維持が難しいという意見もある。間接法は効果の維持は比較的良いものの、そもそも治療自体に平均2〜3年の時間が必要で、うつ病など精神疾患の合併があると用いることができないと書かれています。RASSのサイトが自分から「平均3年の訓練期間を要します」と掲げているのは、この期間の話と重なります。年単位で続くことが、方法そのものの性質として説明されているわけです。

子どもについては、別の物差しがあります。マードック小児研究所やグリフィス大学などの研究者による2021年の系統的レビューは、就学前の子どもへの介入を、直接的なものと間接的なものに分けて整理しています。直接的な介入は子どもの発話そのものに働きかける方法で、間接的な介入は子どものすぐ周りの環境を変えて、流暢さが出やすい環境をつくる方法だと定義されています。このレビューは、就学前の子どもについては、代表的な直接的方法と間接的方法のどちらも吃音を減らすのに有効だったとしたうえで、学齢期の子どもと思春期の当事者については、質の高い根拠が存在しないと明記しています。近年では、この二つは割り切れるものではなく連続したものの上にあり、どちらも直接的な要素と間接的な要素を組み合わせていると論じられている、とも書かれています。

就学前の子どもについて、系統的レビューが採用した研究のあいだで、どもった音節の割合(%SS)が開始時から追跡時までどの範囲にあったかを示した図。直接的な方法であるリッカム・プログラムは、開始時が3.8〜9.4、追跡時が0.9〜3.7。間接的な方法であるRESTART-DCMは、開始時が5.3〜7.9、追跡時が1.5〜3.1(いずれも単位は%SS)。リッカムの幅は採用された8件すべてから、RESTART-DCMの幅は2件からの範囲で、帯の長さは研究間の幅であって効果の大きさではない。
図1: 就学前では、直接的な方法も間接的な方法も、開始時より追跡時のほうが低い範囲に入っている。出典: Brignell ほか (2021) J Fluency Disord. 考察
就学前の子どもで、リッカム・プログラムを受けた群と、治療を先送りした対照群を比べた2件を統合した結果を、95%信頼区間つきで示した図。どもった音節の割合の差は平均差−3.80%SS、95%信頼区間は−7.32〜−0.27で、差なしを表す0の線を越えていない。研究間のばらつきを表すI²は97.9%と大きく、2件の結果はよく揃ってはいない。統合されたのはJonesら2005(54人)とLattermannら2008(45人)の2件。0より左は、治療を受けた群のほうがどもった音節が少なかったことを表す。
図2: 就学前の直接的な方法について、いちばん高いレベルの根拠とされた統合の結果。出典: Brignell ほか (2021) J Fluency Disord. 結果3.4.1

年単位で通うということは、相手を選ぶということでもある

平均3年、あるいは平均2〜3年という期間は、方法の性質を語る数字であると同時に、通う側にとっては別の意味を持ちます。同じ人と、それだけの時間を過ごすということです。二か月で通うのをやめた保護者の記録があります。

保護者(吃音のある娘さんの母。教員として働きながら、通い先を探した経過を個人ブログに連載しています)

結果的にこの病院内のことばの教室に通院したのはほんの2カ月程度でした。念の為お伝えしておきますが、あくまで私の娘と私には相性が悪かったというだけで、この言語聴覚士さんに救われている方もきっと多くいらっしゃるのだと思います。次回は放課後デイケアサービスの話をしようと思いますが、こちらの言語聴覚士さんとの相性は最高でした!!病院に2カ月通って一度も吃音を出すことがなかった娘が、こちらの施設では見学に行った1日目にたくさんおしゃべりして吃音出しまくりでした笑。同じ言語聴覚士さんといっても、やはり人によってこんなにも変わるのだなと驚きました。

保険が使える病院内のことばの教室を探し、待機を経て通い始めた家庭の記録です。保育園のあとに車で長く移動してから受ける形になり、娘さんが後半に眠くなってしまうことが何度かあった。もっと近くで早い時間帯に受けられる場所を検討していると伝えたところ、担当者の対応が変わった経過が書かれています。母親は最後に、娘さんに支援が必要だと認めてもらえるかを確認し、その一言を受け取ってから終えています。合わないと感じたときに、次の場所を確保してから動いたという順序が、この記録の要点です。年単位で通う方法なら、この判断はなおさら早いほうがよいことになります。

出典: 病院内のことばの教室を2カ月で辞めた話(note)(台帳: V0106)

RASSのサイトは、自分たちの方法と紛らわしいものについて、めずらしくはっきりした書き方をしています。「吃音年表のメンタルリハーサル法は専門的なトレーニングを受けた言語聴覚士が臨床にて行うものです。類似の名称の訓練法、教材販売とは一切関わりはございません」——これがトップに置かれた断り書きです。続けて、平均3年の訓練期間を要すること、短期集中をうたったセミナーや教材販売は当訓練法の理論とは異なることが書かれています。名前が似ているものが世の中にあるという前提で、提供側が自分から線を引いているということです。

通う先を考えるときに確かめられるのは、効果の見込みではなく、こうした手続きの部分です。どれくらいの期間を見込む方法なのか。担当する人はどこでその方法を学んだのか。合わないと感じたときに、別の選択肢へ移れるのか。公的な案内は、言語聴覚士を探すときの手順として、病院に事前に問い合わせること、日本言語聴覚士協会や各都道府県の言語聴覚士会に尋ねることを挙げています。問い合わせは失礼ではなく、案内の側が想定している手順です

「研究会」と名の付くものが、当事者の会とは限らない

吃音の周辺には、名前の似た集まりがいくつもあります。当事者が集まる会、専門職が集まる会、研究者が集まる学会。RASS吃音研究会は、公開されている記載から見るかぎり二番目にあたりますが、この区別は名前からは読み取れません。

当事者の集まりについて、公的な案内はこう書いています。吃音のある当事者が日を決めて集まり、互いの吃音の問題について話し合ったり、改善に向けたさまざまな取り組みを行う言友会や日本吃音臨床研究などのセルフヘルプ(自助)グループが、日本各地に設置されている。そして、セルフヘルプグループは当事者の集まりなので、言語聴覚士のように、吃音についての学術的な知識や、吃音改善のための専門的な指導や支援が受けられるわけではないと明記されています。

ただし、同じ案内は続けて、自分と同じ問題を持つ仲間と出会い、当事者同士でないと感じることのできない連帯感を感じながら悩みを聞いてもらったり、同じ悩みを持つ者同士という立場で具体的な助言をもらったりと、セルフヘルプグループでないと得られないものがあることも事実だ、と書いています。役割が違うのであって、優劣の話ではないということです。

この三つを並べると、RASSに当たる場所の位置がはっきりします。当事者が悩みを分かち合う場でもなく、誰でも相談を申し込む窓口でもなく、言語聴覚士が特定の技法を学び、学んだあとも事例を持ち寄って検討し続けるための場です。実際、サイトの更新情報に並ぶのは、研修会の受付開始、地域ごとの勉強会、症例検討会、そして学会出張交流会といった項目で、当事者向けの催しの案内ではありません。もし相談先を探しているのであれば、入口は別にあります。

そもそも、吃音を診られる専門家は足りているのか

研修会という場が各地で続いている背景には、人の数の問題があります。国立障害者リハビリテーションセンターの総長が、幼児吃音臨床ガイドラインの公開について書いた文章の中で、現状を直接的な言葉で述べています。

そこにはこう書かれています。世界的には2000年前後から吃音の研究が急速に進み、有効率の高い治療方法が複数報告され、先進国では幼児の吃音は早期治療が標準になっている。しかし日本では、吃音になる幼児の10分の1だけが医療機関を受診するとしても、全員を診られるだけの人数の吃音の専門家はいない。「幼児の吃音についてはすでに医療崩壊状態と言ってもいいくらいです」——これが同センターの総長の表現です。

続けて、自然に治らない子を早期に見分けられるとよいが確実な指標はなく、就学前に治療するには、自然に治らないことを確認してからでは遅すぎるとしています。そのうえで、吃音の専門家はすぐには増やせないので、現状では一般の相談・診療機関が吃音の詳しい説明や、できれば経過観察も担当し、必要を見極めて治療施設につなぐという連携の形が示されています。

専門家がすぐには増やせないという一文は、裏返せば、すでに資格を持っている人がどこで吃音を学ぶかという問題が残るということでもあります。公的な案内も、吃音の指導・支援に意欲的に取り組む言語聴覚士が近年増えてきており、今後の体制の拡充が期待されると書いています。研修会や勉強会の案内が地域ごとに並んでいるという事実は、その途中経過として読むことができます。

ここに挙げたのは、特定の会や施設を評価するための基準ではありません。名前だけが見えている集まりが、どの役割の場所なのかを見分けるための手がかりです。

この名前を調べるときに陥りがちな3つの落とし穴

落とし穴1 − 「研究会」の名前から、自分が申し込む窓口だと思ってしまう

RASS吃音研究会のサイトが掲げているのは、間接治療法の紹介であり、案内の宛先は言語聴覚士です。会員専用ページに入れるのも、研修会のすべての過程を修了して会員になった方だと書かれています。相談先を探しているときに最初に当たるべき場所ではありません。相談の入口としては、言語聴覚士のいる病院に事前に問い合わせる、日本言語聴覚士協会や都道府県の言語聴覚士会に尋ねる、という手順が公的な案内に示されています。

落とし穴2 − 名前が似ているものを、同じものだと思ってしまう

サイト自身が、類似の名称の訓練法や教材販売とは一切関わりがないと断っています。さらに、短期集中をうたったセミナーや教材販売は当訓練法の理論とは異なるとも書かれています。名前の一部が同じでも、提供している相手が別なら中身も別だということを、提供側が先に言っている形です。

落とし穴3 − 期間の見込みを確かめないまま始めてしまう

この方法は平均3年の訓練期間を要するとサイトが書いており、国立障害者リハビリテーションセンターの資料も、間接法には平均2〜3年の時間が必要だと述べています。短期間で結論が出る前提で始めると、途中で判断を誤ることになります。始める前に、どのくらいの期間を見込むのか、何がどうなったら区切りと考えるのかを聞いておくと、続ける・やめるの判断を、その日の気分ではなく期間で切れるようになります

記録は紙のノートでも構いません。どんな場面で話せたか、何を避けずに済んだかを書き留めておくと、相談に行くときにそのまま持っていけます。

よくある質問

RASSとは、団体の名前ですか、方法の名前ですか?

公開されている記載の範囲でいえば、団体の名前です。RASS吃音研究会は、2014年9月に「年表方式のメンタル・リハーサル法研究会」から名称を変更したと沿革に書かれています。サイトそのものは、年表方式のM・R法を含む吃音の間接治療法の紹介サイトだと名乗っています。

当事者や家族でも参加できますか?

サイトの案内は言語聴覚士に向いています。左側のメニューには「言語聴覚士の方へ」という区分があり、お知らせ・研修会情報・活動履歴がそこに置かれています。会員専用ページのIDやパスワードは、研修会の基礎編および実践編のすべての過程を修了して会員になった方に伝えていると書かれています。当事者どうしの集まりを探している場合は、言友会などのセルフヘルプグループが各地に設置されていると公的な案内が紹介しています。

「間接法」とは、具体的に何をするのですか?

国立障害者リハビリテーションセンターの資料によれば、間接法にはメンタルリハーサル法があり、話し方に直接は働きかけず、日常生活では話すことへ意識を向けず、言い換えや回避をしないように指導しながら、夜、寝る前に頭の中のイメージで毎日話す練習をするとされています。話し方そのものを変えにいく直接法——吃音が出にくい話し方を身につける方法や、楽にどもることを目標にする方法とは、入り口が違います。

どれくらいの期間がかかるのですか?

RASS吃音研究会のサイトは、吃音年表のメンタルリハーサル法は平均3年の訓練期間を要すると書いています。国立障害者リハビリテーションセンターの資料も、間接法は効果の維持は比較的良いものの、治療自体に平均2〜3年の時間が必要で、うつ病など精神疾患の合併があると用いることができないとしています。

子どもの場合、間接法と直接法のどちらがよいのですか?

2021年の系統的レビューは、就学前の子どもについては代表的な直接的方法と間接的方法のどちらも吃音を減らすのに有効だったとしています。一方で、学齢期の子どもと思春期の当事者については質の高い根拠が存在しないと明記されています。また、この二つは割り切れるものではなく連続したものの上にあり、どちらも直接的な要素と間接的な要素を組み合わせていると論じられているとも書かれています。どの方法が合うかは個別の判断になるので、言語聴覚士に相談してください。

まとめ

  • RASS吃音研究会は、年表方式のM・R法を含む吃音の間接治療法の紹介サイトを掲げ、案内の宛先を言語聴覚士に置いている。
  • 2014年9月に「年表方式のメンタル・リハーサル法研究会」から改称した会で、研修会は理論編と臨床編の二段構え、会員専用ページに入るのはすべての過程の修了者。
  • 修了後も地域ごとの勉強会・症例検討会・事例を持ち寄る検討の場が続く形になっている。
  • 間接法とは、話し方に直接は手を入れず、言い換えや回避をしないよう指導しながら、寝る前に頭の中のイメージで話す練習をする方法だと公的な資料が説明している。
  • 期間は、サイト自身が平均3年、公的な資料が平均2〜3年としており、短期集中をうたうものとは理論が異なるとサイトが断っている。
  • 就学前の子どもでは直接的・間接的どちらの方法も吃音を減らすのに有効だったが、学齢期と思春期については質の高い根拠が無い。
  • 言語聴覚士は国家資格で養成課程に吃音が含まれるが、全員が吃音の指導や支援を行えるわけではない。相談先は事前の問い合わせで確かめる。

参考文献

  1. RASS吃音研究会(旧 年表方式のM・R法研究会)公式サイト(2026年9月12日取得)
  2. 吃音ポータルサイト「相談や支援」(成人の方)
  3. 北條具仁「〔トピックス〕青年期吃音に対する認知行動療法を用いた最新治療−グループ介入研究のご紹介−」(国立障害者リハビリテーションセンター リハニュース No.361)
  4. 森 浩一「〔特集〕『幼児吃音臨床ガイドライン』の作成と公開」(国立障害者リハビリテーションセンター リハニュース No.370・2022年)
  5. Brignell, A., Krahe, M., Downes, M., Kefalianos, E., Reilly, S., & Morgan, A.「Interventions for children and adolescents who stutter: A systematic review, meta-analysis, and evidence map」Journal of Fluency Disorders(2021年)

当事者・専門職の声の出典: V0114(日本吃音臨床研究会「言語聴覚士の実践」に寄せられた実践記)/ V0172(note・言語聴覚士養成校の学生による記事)/ V0106(note・「じぇ@ことばの教育」さんの記事)。いずれも公開記事。引用は原文どおり。

更新履歴: 2026-09-12 公開